計算尺
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計算尺(けいさんじゃく)とは対数の原理を利用したアナログ式の計算用具である。棒状や円盤状のものがある。円盤状のものは目盛りがループしているため目外れが生じないというメリットがあるが、滑尺のスライドがしづらく内周の尺は目盛りが荒くなるというデメリットがある。
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/40/Keisanjaku_1.jpg/250px-Keisanjaku_1.jpg)
ほとんどのものが乗除算および三角関数、対数、平方根、立方根などの計算用に用いられる。加減算を行えるものは非常に稀である。そろばんのようなデジタル(離散的)な計算機と異なり、計算尺で得られる値は概数である。目盛りの読み方によって桁の多い数や、小数点のある数の計算も可能で、物理定数などが刻印されているものも多い。
棒状計算尺の長さは10インチ(25cm)が一般的で、このほかに携帯用の4インチ、5インチ、高精度の20インチも存在した。戦艦大和の設計では4メートルの特注の計算尺が使用された。
特定の目的の計算に特化した計算尺も数多く作られている。航空エンジニア向けの航空機の燃料計算、家電セールスマン向けの電球の寿命計算、写真撮影用の計算尺式露出計、操縦士・航空士が航法計算に用いる「フライトコンピューター」など、さまざまな分野で特化型の計算尺が作られ、現在も様々な計算尺が製造されている。
1970年代頃まで理工学系設計計算や測量などの用途に利用されていたが、1972年に世界初の「ポケットに入る関数電卓」HP-35の登場で市場が徐々になくなり、1980年頃には多くのメーカーで生産が中止された。かつては無線や電気関係の資格試験において持ち込みが認められていたが、2000年代前半ごろから禁止されるようになった。