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角閃石(かくせんせき、amphibole[1]、アンフィボール)はケイ酸塩鉱物のグループ名。結晶構造と化学組成により細かく分類され、日本語名には「〜閃石」という名前がついている。水酸基 (OH-) を持つ含水鉱物としても有名。
2012年、国際鉱物学連合 (IMA) の新鉱物・鉱物名委員会 (CNMMN) により、角閃石グループは187種類に整理された。ただし、新発見及び承認待ちの種類があるため、記載種及びグループの数は増え続けている。詳細は各グループおよび鉱物種を参照[2]。これにより、長く使われてきた普通角閃石は鉱物名としては消滅し、「苦土普通角閃石グループ」となった。
これらのグループは、一般にはマグネシウムとアルミニウムを端成分とした鉱物名がルート名として採用されるが、名称を変更すると混乱をきたすとして、ヘスティング閃石(鉄とアルミニウム)、アルベゾン閃石とリーベック閃石(鉄と鉄)のみ端成分が異なる[3]。また、緑閃石は本来透閃石に統一されるべきであるが、上記の理由と色彩、産状の違いから独立種とされた[4]。これらの不一致は、しばしば分類上混乱を引き起こしている。
堀秀道は、角閃石の細分化が中等教育や鉱物コレクターにとって問題となり、結果角閃石が敬遠されることを危惧し、専門家と鉱物アマチュアと教育者が相談して、学術的な分類とは別に角閃石の野外名の基準を作ることを提案しているが、「三者は一般にあまり仲がよくないので、実現の見込みは残念ながらとぼしい」と述べている[5]。
角閃石類は一般的な造岩鉱物であり、様々なところに広く分布している。角閃石の中でもっとも多く産出するのは普通角閃石(苦土普通角閃石または第一鉄普通角閃石)であり、「角閃石黒雲母花崗岩」や「角閃石安山岩」などの岩石名における「角閃石」は、普通角閃石を指す場合がほとんど。安山岩や斑れい岩などの中性~塩基性の火成岩に多く含まれる。緑色片岩や角閃岩などといった変成岩中にもよく見られ、上記の普通角閃石の他、緑閃石(アクチノ閃石)、透閃石などが多く含まれる。
日本産新鉱物[37]として、神津閃石(Mangano-ferri-eckermannite、1969年)、カリ第一鉄定永閃石(Potassic-ferro-sadanagaite、1984年)、カリ定永閃石(Potassic-sadanagaite、1984年)、定永閃石(Sadanagaite、1997年)、プロト鉄直閃石(Proto-ferro-anthophyllite、1998年)、プロトマンガノ鉄直閃石(Proto-mangano-ferro-anthophyllite、1998年)、カリ第二鉄リーキ閃石(Potassic-ferri-leakeite、2003年)、プロト直閃石(Protoanthophyllite、2003年)[38]、愛媛閃石(Chromio-pargasite、2011年)、カリ第二鉄定永閃石(Potassic-ferri-sadanagaite、2012年再定義)、フェロフェリホルムクイスト閃石 (Ferro-ferri-holmquistite、2022年)[39]、マンガニエッケルマン閃石(Mangani-eckermannite、2023年)[40]の12種がある。
色は、無色・緑色・褐色・青色などで、ガラス光沢を持つ。単斜晶系または斜方晶系で、自形結晶は長柱状である。結晶形は輝石によく似るが、約120°で交わる2方向のへき開で区別される(輝石は約90°)。比重3.0~3.5。モース硬度5~6。
1797年、ルネ=ジュスト・アユイによって命名された。彼は「不確かな」とか「あいまいな」の意味だと述べ、原論文にはそれ以上のことが書かれていないが、ギリシャ語の amphiballein が語源で「両側をたたく・投げつける」の意である。
日本では、明治初年、佐沢太郎により「陰精石」と訳されたことがある(1879年)が、hornblende と同じ角閃石の字をあてたのは小藤文次郎(1884年)である[要出典]。
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