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日本の政治団体 ウィキペディアから
日本保守党(にっぽんほしゅとう、英語: Conservative Party of Japan)は、日本の政治団体[27]。小説家の百田尚樹とジャーナリストの有本香によって、LGBT理解増進法成立後の2023年10月17日に設立された[22][3]。百田が代表、有本が事務総長、河村たかし名古屋市長が共同代表を務めている[33][34]。
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日本保守党 Conservative Party of Japan[1] | |
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代表 | 百田尚樹 |
共同代表 | 河村たかし |
事務総長 | 有本香 |
成立年月日 | 2023年10月17日(9月1日に公式Xを開設)[2][3] |
本部所在地 | 非公表 |
市区町村議数 | |
党員・党友数 |
65,000[5] |
政治的思想・立場 |
極右[6][7] 右翼ポピュリズム[8] 保守主義[9][10]・復古主義[11] 新保守主義[12] 反LGBT[注 1] 超国家主義[16][2][17][18][19] 民族主義[20]・排外主義[21][注 2] 憲法改定[注 3] 歴史修正主義[26][27] 陰謀論[28][29][30][31] |
公式カラー | |
公式サイト | hoshuto.jp |
愛知県の地域政党・減税日本と特別友党関係を結んでいる[1][32]。 |
「日本の国体、伝統文化を守る」と主張し、日本におけるLGBTの権利、移民、男女平等に反対し、福祉排外主義、憲法改正、対中・対北朝鮮外交の強化などに賛成している[22][15][24]。
設立のきっかけは、自民党の岸田政権下で審議中だった「LGBT理解増進法(LGBT法)」に対する保守層の強い反発が背景にあるとされる[22][35]。朝日新聞は、安倍晋三元首相亡き後、自民党の政策に不満を持つようになった人々から支持を得ていると指摘している[36]。
2023年6月10日、百田尚樹は自身のYouTubeで、LGBT法案が成立すれば社会の根幹をなす家庭や皇室制度が崩壊し、日本が徹底的に破壊される恐れがあると指摘し、「LGBT法案が成立したら、私は保守政党を立ち上げます」と宣言した[14]。LGBT法は6月16日に可決、成立した[37][38]。
同年9月1日、百田と有本香は「百田新党(仮称)」の党名でXアカウントを開設したことを発表した[17][39]。党の正式な活動開始は、2023年10月に予定された[40][27]。9月2日、百田は党のXアカウントのフォロワーが20万人を超えたら、党の正式名称を明らかにすると投稿した[17][27]。9月13日、目標のフォロワー数を超えたため、党の正式名称「日本保守党」が発表された[17]。名称には、「日本人の党」「保守本流」の意味が込められている[41]。同日、結党メンバーの小坂英二・荒川区議が[42]、荒川区議会で所属していた一人会派の名称を「日本保守党」に変更した[17][43]。
9月30日に党員の募集を開始したが、翌10月1日までに約3万人が党費を払って党員になった[44]。党費は、年6000円、特別党費は年2万円などがあり[22]、12月までに約4億円を集めた[45]。党員登録やパーティー券の販売などは、全てオンラインで完了する[44]。10月4日に初の政治資金パーティーの参加募集を開始し、1枚2万円のパーティー券が1時間で売り切れた[44]。
10月17日、「日本保守党」の結党記者会見を開き、百田が代表に、有本が事務総長に就任したことを発表した[46][47]。また、名古屋を拠点とする地域政党「減税日本」と特別友党関係を結び、減税日本代表で名古屋市長の河村たかしが共同代表に、減税日本副代表の広沢一郎が事務局次長に就任したことを発表した[48][16]。法律顧問には北村晴男が就任した[49]。
11月時点で、党員数が5万人を超えたと発表した[33][50][51]。
12月11日に愛知県に名古屋支部(名古屋市/支部長:河村たかし)、東三河支部(豊橋市/支部長:竹上裕子前愛知県議会議員)を設立[52]。
12月28日に東京八重洲の党本部事務所[53]を退去したことが、有本香事務総長により明らかになった[54]。「百田尚樹代表の闘病について」というお知らせの中で公表されたが、移転先は公表されなかった[54]。
2024年2月、梅原克彦・元仙台市長が事務局に参画し、特別顧問に就任した[55][56]。
2024年8月に日本保守党群馬支部(支部長:伊藤純子)が設立[57]。
2024年4月21日、地方議員選で愛知県碧南市議選に党公認候補を初めて擁立し、当選した[58][59]。5月には、特別党員の古川透が小田原市長選に出馬し、「移民の受け入れ」や「男女共同参画」反対などを訴えたが[60][61]、当選した加藤憲一の4万6038票、次点の守屋の2万5528票に対して、古川は3630票で最下位落選した[62]。
同年4月28日、東京15区補選に国政選挙として初めて公認候補として飯山陽を擁立した[22][35]。東京新聞は、「右派論客として著名な作家百田尚樹」が代表を務めており、その国政選挙デビュー戦であると報じた[63]。街頭演説には、選挙区民以外に各地から多くの支持者が参加した[63][5]。開票結果は、情勢調査通り9候補者中4位(約2万4000票)だった[63][35]。当選した立憲民主党公認の酒井菜摘候補には2倍以上の票差をつけられたが、5位で都政与党の地域政党「都民ファーストの会」が推薦する無所属で作家の乙武洋匡候補を4600票以上上回り、3位の日本維新の会公認候補には約4200票差まで迫った[64][63][35]。このことから朝日新聞は「一定の得票を得た」と選挙後に報道した[36]。5月、飯山は、選挙中に街頭演説や事務所で妨害を受けた結果、「不眠や耳鳴り」などの症状が起きていることから、疾病療養のために東京15区支部長を退任した[65][66]。飯山は、今後も日本保守党の政策アドバイザーおよび特別党員として助言を行う予定とされた[65][67]。
同年7月、東京都知事選の出馬は見送り、また参政党と近い関係にあるとされる田母神俊雄候補の応援も行わなかった[68]。百田は、田母神の過去の公選法違反事件を引き合いに出し、批判的な発言を行った[68]。
結党宣言には、「日本ほど素晴らしい国はないと私は断言します」「神話とともに成立し、およそ二千年、天皇を中心に、一つの国として続いた例は世界のどこにもありません」と書かれている[22][45]。
重点政策は、「日本の国体、伝統文化を守る」「憲法9条改正や移民政策の是正」「消費税減税」「電気自動車への補助金廃止」「名古屋城の天守木造化完遂」「男女共同参画関連の公的資金支出の見直し」など[22][50]。
「LGBT理解増進法(LGBT法)」の改正を支持し、具体的な改正要求箇所として「子どもへのLGBT関連教育に関する規定の削除」と、「ジェンダー・アイデンティティという言葉の変更」の2つを挙げている[25]。産経新聞は、一部のゲイの人々が同党にシンパシーを感じながらも「LGBT法」を支持する理由として、より厳格な「差別禁止法」の制定を防ぐ効果があると考えていることを紹介した[69]。百田は、LGBT法は段階的なプロセスの一部であり、最初は罰則のない法律として導入され、その後罰則が追加される可能性があるとし、このアプローチを「左翼がよくやる手法だ」と指摘した[13]。
日本は多文化共生主義から同化主義的な移民政策へ転換すべきと述べている[13][70]。現行の移民政策に対して複数の改正を求めている。具体的には、「亡命を拒否された難民を当局が拘束し、送還することを可能にする出入国管理及び難民法の改正と運用の厳正化」「特定技能2号と留学生の受け入れ拡大の見直し」「外国人居住者のための独立した健康保険を設けるための健康保険法の改正に賛成」などを主張している[24]。同党は、無制限な移民受け入れ・実現不可能な多文化共生主義に反対な立場であり、日本のルールを遵守する意思と能力を持つ外国人の受け入れには賛成であることを表明している[13]。
朝鮮総連関連組織への制裁など、北朝鮮に対する制裁措置の拡大を支持している[71]。
台湾との関係強化に賛成しており、米国の台湾関係法に相当する日本の法律制定を提案している[24]。
主な支持層は、中高年の日本のネットユーザーである[75][76]。党の創設者である百田と有本は、日本のネットユーザーに影響力を持つ保守系論壇人であり[77]、ネット番組『虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)などを通して支持を得てきた[78][35]。結党式以前は、同党の動向は有本がコラムの連載を持つ産経新聞社の「夕刊フジ」とそのWebサイト「zakzak」が主に取り上げていた[27][75][8]。
LGBT理解増進法以前から現在の自民党に不満を持つ人が保守界隈に存在した[78][79][17]。同党は、安倍晋三亡き後の自民党の現状に失望した保守派によって支持されている[36][72][80]。百田は、安倍の死後、自民党が保守的な立場から離れ、リベラルな政策を採用するようになったと批判している[36][81]。この批判は主に、LGBTの権利、移民、外交政策への不満に基づいている[79][3][6]。フランスの日刊紙『リベラシオン』は、同党の設立について、安倍の政治的遺産を継承しようとする極右勢力の台頭として取り上げた[6]。
ネット上で大きな存在感を示しているが、選挙でどれだけの議席を得られるかは未知数である[8][45]。JX通信社が2023年10月に実施した調査によると、73.4%が政党の存在を知らず、19.7%が「知っているが支持しない」と答え、「知っていて、支持する」と答えた人は7%だった[76]。政治学者の秦正樹が行った世論調査によると、自民党より日本保守党に高い好感度を示したのは主に小規模政党の支持者だった[33]。岩盤保守層内で「百田派」と「反百田派」の対立があり、保守層の票が一本化されていない状況も指摘されている[35][78]。保守層の票の分散につながる可能性があり、小選挙区制では、自民党が存在する状況下で日本保守党が議席を獲得するのは困難であるとも予想されている[33][45][82]。文筆家の古谷経衡は、結党の表向きの理由は「LGBT理解増進法」への反発だが、真の要因は安倍元総理の死去と、それ以前から起きていた保守界隈の分裂であると指摘している[35]。百田と有本は、2022年に終了したネット番組『虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)の2大看板だったが、同番組の出演者は2020年のアメリカ大統領選で「トランプ勝ち組」と「負け組」に分裂した[35][78]。古谷は、同党の政策には「憲法9条改正」「移民反対」「選択的夫婦別姓反対」などが含まれており、これらは既存の保守界隈と共通しているが、保守界隈の分裂により、限られた保守層の支持者を巡って各グループの競争が激化していると分析した[35]。
日本保守党と参政党は、右派で保守色の強い政党という点で似た特徴を持ち[83][51][76]、政策においても、「LGBT関連法や移民政策に反対」「消費税引き下げに賛成」などの点で類似している[51][76]。主な支持層がインターネットを活用する50代であるところも共通し、参政党支持者の約38%が日本保守党に好感を持っているという調査結果もある[76]。2024年4月、衆院選補欠選挙では、日本保守党候補に投票した人の一部が以前参政党に投票していたことが分かった[64][84]。この選挙には参政党の公認候補が出ていたため、参政党の潜在的支持者が日本保守党に流れた可能性が指摘された[84]。参政党は、SNSや動画チャンネルで日本保守党を批判し、両党のネットユーザー間で激しい対立が見られているが[78]、日本保守党の有本事務総長や参政党の神谷代表は「協調できるところは協調したい」と述べている[23][83][85]。
東京15区補選前、保守系論壇誌の『月刊Hanada』は、毎号、日本保守党への支援を明確にしていた[78]。同誌では、我那覇真子や武田邦彦、茂木誠、ジェイソン・モーガン、ほんこん、松木国俊などが日本保守党を応援した[72][86][87]。他に、桂春蝶[88]などが同党への期待を表した。
2023年11月11日、同党は大阪梅田のヨドバシカメラ前で初の大阪街宣活動を行った[89][90]。この街宣には、百田と有本香、河村たかし名古屋市長が参加した[89][91]。しかし、予想を大きく上回る聴衆が集まり、人混みで危険な状態になった[89][90][92]。この状況を受けて、ヨドバシカメラの店員とみられる男性が、安全上の懸念から演説の中止を要請したが、聴衆からは「無理や、帰れ」「許可取ってるからええやんけ」などの野次が飛んだ[89][92]。街宣開始から約20分後、警察からの要請により演説は中止された[89][90][45]。この間、「人が将棋倒しになっている」という通報があり、消防車や救急車が現場に到着したが、搬送者は確認されなかった[93][94]。同党は13日に声明を発表し、「『将棋倒し』の事実はなかった」と説明したうえで、予想を超える聴衆が集まったことで通行に不便をかけたことを謝罪した[89][90][95]。また、ヨドバシカメラの責任者に対しても翌日謝罪を行ったことを明らかにした[89][90][95]。
2024年の東京15区補欠選挙では、飯山陽を擁立し、日本各地から多くの支持者が街頭演説に集まった[63]。同党はLGBT理解増進法への反対を重要政策としてを掲げており、選挙区内の当事者団体「クロスオーバー・こうとう」は、選挙運動という文脈のもと、性的少数者を排斥するような主張が演説やビラを通じて広められたとして、「憤りと不安、無力感を覚えた」と訴えるコメントを東京新聞に寄せた[63]。団体の担当者は、選挙期間中に「出歩くのを控えざるを得なかった」と述べている[63]。同団体は、同党の移民政策に対しても「対立や分断を煽ることで支持を得ようとする政治スタイル」への危惧を表明した[63]。また、メディアの報道姿勢についても批判し、日本保守党など右派勢力の伸長を報じることが「お墨付きを与えてしまう効果がある」と指摘した[63]。
2023年9月26日、百田代表はABEMA Primeのインタビューで、日本が当時の西洋帝国主義の手から東南アジアを「解放」したと主張し、第二次世界大戦への日本の関与は正しかったとした[96]。また、現代に至るまでアジアの多くの地域が欧米列強の植民地となっていることから、もし日本がなかったら、「恐ろしい世界になっていた」と主張した[96][97]。百田は、南京事件をはじめとする戦前・戦中の日本の戦争犯罪を否定する発言を繰り返してきた[98][99]。2014年のNHK総裁時代にも同様の発言をし、国際的な注目を集め、1年後の辞任につながった[100][101]。河村も同様の発言をしており[102]、その結果、南京市は2012年に名古屋市との姉妹都市提携を解消した[103]。有本と河村は、2012年に河村が南京事件を否定した発言で知り合った[50][73]。百田と有本、河村は、あいちトリエンナーレの「表現の不自由展」をめぐり、愛知県知事リコール運動で共闘した同志である[104][105][35]。
No. | 代表 (出生–死亡) |
選挙区 | 就任 | 退任 | 選挙結果 | ||
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1 | 百田尚樹 (1956年生) |
該当なし | 2023年9月1日 | 現職 | 該当なし |
選挙日 | 候補者 | 関係 | 投票数 | % | 順位 | 候補者数 | 選挙結果 |
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2024年 | 古川透 | 特別党員 | 3,630 | 4.83 | 3位 | 3人 | 落選 |
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