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文法範疇のひとつ ウィキペディアから
態(たい)またはヴォイス (英: voice、diathesis[1]、仏: voix,diathèse[2]) は、文法において、動詞の形を変える文法範疇の一つで、動詞の活用における語形変化カテゴリの一つ[3]。態は、動詞およびその助動詞に結びついた文法範疇で、動詞、主語ないし動作主、および目的語の間の文法関係を示す[2]。各々の態は、屈折語尾、接頭辞、助動詞の様々な形など、固有の動詞屈折で表される[2]。態は、動詞の表す行為を行為者の側から見るか、行為の対象の側から見るかに従って区別するものである[4]。
態の典型的な例としては、能動態と受動態があり、このほかにも、自発、使役、願望、可能、中間構文・中動態、逆受動態、適用態などが態として扱われる[5]。ただし、言語学においては、どのような現象を態と見なすかについて一致した見解がない[5]。
かつて古典語の文法ではvoiceを「相」と訳しているものが多かったが、現代ではvoiceの訳としては態をあて、相はアスペクトにあてるのが一般的である。
動詞の主語が、目的語に及ぶ行為の動作主である場合、動詞は能動態に置かれ、その文は能動文となる[2]。
文の主語が、実際には根底の文の能動動詞の目的語である場合、動詞は受動態に置かれ、その文は受動文となる[2]。
たとえば、Pierre a été blessé par Paul. (ピエールはポールに傷つけられた)は、Paul a blessé Pierre. (ポールはピエールを傷つけた)に由来する。この場合、根底にある能動文の主語 Paul は、実現された文の動作主、いわゆる動作主補語となり、目的語Pierre は主語となっている[2]。Pierre a été blessé.という文では、根底の文の主語は、実現された文の動作主のはずであるが、特定のものが示されていないが、これは、受動態の主たる目的が、特定の動作主のない文を表現することだからである[2]。フランス語では、受動態のしるしは、助動詞の後に他動詞の過去分詞が付いたものである[2]。
文の主語が、同時に、動詞の示す目的語であれば、それが行為の動作主であろうとなかろうと、動詞は中動態に置かれる[2]。中動態は、ギリシア語にもあるが、フランス語では、次のものに対応する。
英語の態には能動態と受動態がある。
受動態は能動文の目的語を主語にしたものであり、"be動詞+過去分詞"の構文で示され、動作主は前置詞"by"で示される。
授与動詞の受動態では、能動文の直接・間接目的語の一方が主語になり、もう一方はそのまま残ることになる(間接目的語は省略することも)。また日本語の使役態や持ち主の受け身に相当する表現は、補助動詞(make, let; have など)を用いて能動態で表される。
英語にはまた、能動態の形を取ってはいるが、動作の意味上の主語を省略し、手段・道具を主語に持ってくる言い方がよく用いられる(古代ギリシア語などでは中動態により同じようなことが表現される):
動作の主体に視点が置かれており、動詞の語幹に「れる・られる」や「せる・させる」が付かない、無標で表される。
動作の受け手に視点が置かれており、動詞の語幹に「れる・られる」がつく。受け手には助詞「が」が使われ、主体には「に」「によって」といった助詞がつく。
日本語では動作の直接的な受け手(能動文の「を」で表される動作対象や、「に」で表される授与の相手)以外に、動作が行われることによって間接的に影響を受けるものにも視点が置かれる。これを間接受け身といい、持ち主の受け身と迷惑の受け身がある。例えば、「雨に降られた」と言えば、雨が降ることで、私が迷惑を被ったということを表している。
出来事を実現させようとする人物(使役主)に視点が置かれる表現、動詞の語幹に「せる・させる」がつくことで表現される。使役主には「が」を使い、動作主には「に」または「を」が使われる。「を」を使う方が使役主から動作主への強制力が強い。
使役主・動作主がいる場合に、動作主に視点が置かれ、動作が使役主の強制で行われることを表す。「せられる」が動詞の語幹につくことによって表される。動作主には「が」、使役主には「に」が使われる。「親は子供におもちゃを買わされた」
また、自発態、可能態や尊敬態を認める説もある。これらは
といった共通点がある。
使役自発態、使役可能態、使役尊敬態もある。
複数の主語が互いに行為をしあうことを表す文を「交互態」とすることもある。交互態は補助動詞(もしくは動詞語尾)の「あう」(殴りあう、認めあうなど)で示される。
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