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朝日新聞に連載された丹羽文雄の同名小説が原作[1]で、1954年第7回カンヌ国際映画祭に出品された[2][3]。
復員兵かつエリート軍人だった真弓礼吉(森雅之)は、日本に復員した後は弟のアパートで兵学校友人だった山路直人(宇野重吉)の手伝いをして生計を立てていた[4]。山路の仕事は洋妾からアメリカ兵宛のラブレターの代筆であり、多くの洋妾が山路の元を訪れて英語代筆を依頼していた[4]。
その山路を手伝う礼吉の前に、戦前の礼吉の元恋人で、別の男と結婚したはずの道子(久我美子)がやってきた[4]。噂として道子が夫と死別し上京していることを礼吉は耳にしていたものの[1]、清純だった戦前の姿を思い描いていた礼吉は[1]、アメリカ兵相手の洋妾まで落ちぶれた道子の姿に激怒した[4]。
落ちぶれた道子に対し、礼吉は自分を捨てて別の男へ走ったことや清純だったかつてを思い描いていた自分の気持ちが裏切られたことなどに対しきつい言葉で詰り[1]、そしてその後は道子への愛と憎しみに悶え酒に溺れていった[4]。
しかし、道子も夫の戦死後は夫の実家、継母の家で居たたまれなくなって嫁ぎ先を出たのであり[1]、そして横浜の進駐軍関係に勤める中で孤独に苛まれ、そこで道子に対し親切だった外国士官と共に生活するようになっていたのだった[1]。その横浜での生活も、礼吉らが考えていたように娼婦として荒んでいたわけではなく、また現在はその士官とも別れ独り身に戻っていた[1]。
だが、そのような事情を説明しても納得していない礼吉の態度を知り、道子は思い余ってヘッドライトの前へ身投げしてしまった[1]。道子が重傷を負ったことを警察に聞かされた礼吉はそのときになって初めて、道子の前歴がどうであれ、自分にとっては大切な人物であることに気がついた[1]。
道子が治療を受ける病院に向かう車の中で、礼吉は号泣しながら道子が助かるように神に念じ続けた[1]。
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