多聞院 (世田谷区)
東京都世田谷区にある寺院 ウィキペディアから
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多聞院(たもんいん)は、東京都世田谷区北烏山にある寺院。真言宗豊山派に属し、本山は長谷寺、正式名を「金剛山 悲願寺 多聞院」という[1][2]。創建は1615年(元和元年)で、旧地は甲州街道沿いの角筈(現在の新宿区西新宿1丁目付近)であった[1][4][7]。
1945年(昭和20年)5月の大空襲で全ての堂宇を焼失し、第二次世界大戦終戦後に区画整理事業の対象となって烏山に移転してきた[1][8]。多聞院は「烏山寺町」を構成する26の寺院の中では、最後に烏山に移転してきた寺院である [注釈 1][9][10][11][12]。
烏山寺町のメインストリートにあたる寺院通りは約600メートルの長さがある道路で、関東バスが5か所の停留所(寺院通一番- 寺院通五番)を設置している[9][13]。そのうち中央自動車道の高架をくぐって間もないところに、「寺院通二番」バス停留所がある[9][12][10]。 この停留所でバスを降りて少し前に進んだところに、多聞院がある[10]。
真言宗豊山派に属し、本山は長谷寺、正式名称は「金剛山 悲願寺 多聞院」という[1][2]。創建は1615年(元和元年)で、開山は述誉(1628年(寛永5年)寂)である[1]。 旧地は甲州街道沿いの角筈村(現在の新宿区西新宿1丁目)で、村の名主である渡辺与兵衛が寺地を寄進して創建したと伝わる[1][4]。
『新編武蔵風土記稿』巻之十一、豊島郡之三、角筈村の項では「多聞院 新義真言宗。江戸大塚護国寺末。金剛山慈願寺[ママ]ト号ス。(中略)本尊地蔵ヲ安ス(後略)」とあり、江戸時代は護国寺の末寺であった[1][4][14][15]。 旧地に存したときは、甲州街道の北側に面した大きな寺院であった[8]。新宿駅の南口から徒歩で十数分の交通至便な地域で、寺の西側には淀橋浄水場、北側には工学院と精華高等女学校などがあった[8]。
多聞院は1945年(昭和20年)5月25日の大空襲の被害に遭って、本堂、庫裏、大師堂などの堂宇はもとより、蔵していた文化財も全て焼失した[1][8]。焼失後しばらくは旧地に仮本堂を建てていたが、1949年(昭和24年)に東京都が実施した区画整理事業の対象となって、まず墓地を烏山の現在地に移転した[注釈 1][1][8][16]。さらに1954年(昭和29年)には、本堂と庫裏も現在地に再建した[注釈 1][1][8]。多聞院は「烏山寺町」を構成する26の寺院の中では、最後に烏山に移転してきた寺院である[9][12][10]。この寺院は、御府内八十八ヶ所霊場3番札所、玉川八十八ヶ所霊場44番札所と定められている[5][6]。
境内に入ると、すぐ右手に石造涅槃図がある[11][12][10]。 高さ2メートル、横3メートルに及ぶ大きなもので、インドのデカン高原産の「シーラー」という石材を使っている[10]。この涅槃図は壷阪寺から贈られたもので、それは多聞院の以前の住職がかつて壷阪寺の住職を務めていた縁によるという[11][10]。
境内を入って左手には墓地があり、その中央奥に供養塔が建てられている[11][7]。この供養塔は「五百六十八人無縁墓」と刻されていて、高さが3メートル余りに及ぶ石碑である[11][7][17]。この石碑は、1837年(天保8年)の大飢饉に際して飢餓のために落命した568名を供養したものである[11][7]。568名の七回忌の追善供養として、第18世住職賢信が建立した[注釈 2][1][7]。568名のうち500名余りに戒名がつけられていて、俗名や出身地、死亡月日などを記した過去帳も残っている[1][11][10][7]。
墓地には、幕末の志士として名を残す大久保鼎の墓がある[18][1][11][2]。大久保は館林藩藩士で、公武斡旋のため無断で京都へ旅している途上に捕縛され、1864年(元治元年)4月16日に切腹した[18]。大久保は大正時代に贈位され、子孫がその墓を守っている[11]。墓地には、明治時代の漢詩人本田種竹も葬られている[7][2][1][19]。
世田谷区は、1978年(昭和53年)4月1日から3年にわたって「世田谷区社寺調査」を実施した[20][21]。多聞院では地蔵菩薩坐像、阿弥陀如来立像、不動明王立像、弘法大師坐像、千手観音菩薩立像、毘沙門天立像が対象となり、その調査結果が公表されている[16][14]。
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