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堅守速攻(けんしゅそっこう)とは、サッカーやバスケットボールにおけるカウンターアタックからの派生用語。ポゼッションフットボールと対比されることが多い。経営においても引用されることがある。低迷等から抜け出す弥縫策として有効的だが、強市場や強者相手では競合しにくいデメリットも存在し、スポーツではエレベータークラブの原因となる。
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サッカーにおいて、堅守速攻という用語は日本独特の表現であり、世界では堅守速攻の総称として「カテナチオ(Catenaccio)」の用語が用いられている。
防御と同時に攻撃に移ることや攻撃の勢いを逆に利用して反撃することをいい、堅く守り(堅守)ボールを奪ったら相手チームの守備の態勢が整わないうちに速攻(カウンター)を仕掛ける戦法である。カウンターアタックからの派生用語で元々は軍事用語。弱者と強者が戦う場合は弱者は強者にボールを支配されやすいが弱者は守りを固めて失点せず隙を突いてカウンターを決めて強者に勝利することが可能であり、弱者の戦い方として用いられることが多い。リードしているチームが逃げ切るために守りを固めてカウンターを狙うこともある。カウンターは相手ゴール前が少人数のためスペースが多く、相手ディフェンダーが前掛りになっていて守備陣形が整っていなくディフェンスの裏を狙いやすく崩しやすい。堅守速攻では基本的にほとんどの選手が守備に参加する。
カウンターにはロングカウンターとショートカウンターが存在する。
トップにはスピードや個人能力が要求される。他の選手が自陣を守備している時トップは守備をせずカウンター発動に備える。ウイング2人のうちの1人は守備に参加しボールと逆サイドのもう1人はトップと同じくカウンター発動に備える。カウンターは手数が少なく縦に速いパスにより時間をかけず攻めることが重要であり、シュートに至るまでのスピードや攻守切り替えの速さが命であり、ボールを奪った瞬間に一気にスピードをマックスに上げ、カウンター発動からシュートに至るまで数秒でなければならない。長谷川健太はボールを奪った後に特に超スピードで一気呵成に速攻を仕掛けて得点する電光石火のようなカウンターを「ファストブレイク」(バスケットボールから引用した用語)と呼んでいる[2][3][4]。堅守速攻にはキック・アンド・ラッシュという戦術があり、ボールを奪った後ひたすらロングパスで一気に前線にボールを送ることを繰り返す戦術である。また堅守速攻にはウノゼロの美学(1点奪った後に自陣に鍵を掛けるように堅く守り、失点を抑えて逃げ切る戦術)という用語がある。自陣ゴール前に多くの選手を配置することで失点を抑え、手堅く勝利することや引き分けるための堅守を徹底する戦術をパーク・ザ・バスという。
逆に自身が相手のカウンターを受ける場合はボールを奪われたら素早くプレスに転じ、良いロングパスを出させないようにし、ロングパスを通された場合には無理にボールを奪いに行かず抜かれないように守り、ディレイ(時間稼ぎをして味方の戻りを待つこと)を行うことが対策となる。
2022 FIFAワールドカップでは日本代表はスペイン戦にて5-4-1の可変カテナチオ堅守速攻を使用し[5][6][7][8][9]、パス1000回を駆使したスペイン相手に僅かシュート6回の堅守で勝利し[5]、日本代表がスペイン代表に勝利したのは史上初となった[5][6][7][8][9]。2023 FIFA女子ワールドカップでも女子日本代表は堅守速攻の戦い方で意思統一し、相手にボール保持される事を割り切り、一滴の水も漏らさないような鉄壁の守備ブロックを敷いてカウンターを徹底し、快挙を果たした[10]。
経営においても堅守速攻という言葉が使用されることがあり、一般的にいえば支出を抑えてキャッシュを保持したり無駄を排除したり(堅守)、同時に手堅く商品開発・販売を行なっていく(速攻)ことの代用である。伊木隆司は中小企業にフィットする堅実経営はサッカーの攻撃的なブラジルではなくスイスやスウェーデンのような堅守徹底であると説いている[27][28]。大企業は攻撃が得意であり、商品開発・市場や需要の調査・マーケティング手法の開発などが独自だが、巨大であるということは同時に管理領域が広くなるということでもあり、管理が全体に行き届かずどこかに綻びが生じ、失態や不祥事などが発覚し、そこを中小企業に狙われてカウンター攻撃をされたり、驕って守備を疎かにした大企業は破綻になったりして崩れていくという面もあるとされている[27]。一方で中小企業は攻撃力が低いが、守りが堅い企業は無駄を排除し、財務管理・キャッシュ管理を徹底していて不景気でも持ち堪え、数年の構想を練りながら守りを固め、慎重に時機を見計らい、いざという時に速攻を仕掛ける負けない経営が求められる[27]。
ドン・キホーテは「創業以来、ドン ・ キホーテグループは「堅守速攻(けんしゅそっこう : 城・陣などを敵から堅く守り、相手に隙を与えず機敏に攻撃すること)」に 徹することで、不況やデフレ環境下にあっても柔軟な変化対応力を発揮し、 逆境をチャンスに変えて安定的な成長を継続してきました。」と公表している[29]。
ラクスルの西田真之介はバックオフィスとして堅守速攻の姿勢が大事であると説いており、会社が速攻を行うにはリスク管理やマネジメントなどの堅守が重要であり、会社や事業部側がいつでも攻められるような体制作りを目指していると述べている[30][31]。またバックオフィスの定型業務を効率化し、常に事業部門側がコミュニケーションを取りやすい状態にしておくことで日々生じる様々なリスクも即座に潰せるという[30][31]。
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