古代朝鮮語
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古代朝鮮語(こだいちょうせんご、英: Old Korean、朝鮮語: 고대 한국어, 고대국어)は、記録された朝鮮語族の最初の段階であり[1]、統一新羅時代(668–935)の言語に代表される。
古代朝鮮語 新羅語 | |
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話される国 | 朝鮮半島 |
消滅時期 | 10世紀または13世紀に中期朝鮮語に変化 |
言語系統 |
朝鮮語族
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表記体系 | 吏読、口訣、郷札(朝鮮における漢字) |
言語コード | |
ISO 639-3 |
oko |
Linguist List |
oko |
Glottolog |
sill1240 |
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古代朝鮮語の時代区分については論争が続いている。言語学者の中には、三国時代の未解明の言語を古代朝鮮語の変種として分類する者がいれば、新羅の言語だけを指すにとどめる者もいる。伝統的に、935年の新羅の滅亡までが、古代朝鮮語とされている。最近では韓国の言語学者たちによって、古代朝鮮語の時代を13世紀半ばまで延長することが主張されるようになったが、この新しい時代区分はまだ完全には受け入れられていない。この項目では、10世紀以前の新羅の言語に焦点を当てる。
古代朝鮮語は用例に乏しい。現存する唯一の文学作品は、郷歌と呼ばれる10数編の方言詩である。郷歌は郷札で書かれている。その他、石碑や木版に刻まれた碑文、仏典の解説書、漢文で書かれた作品の中の人名や地名の書き写しなどがある。古代朝鮮語の文字記録はすべて漢字に依存しており、朝鮮語の意味を表したり、音写したりするのに使われている。そのため、現存する古代朝鮮語の文章の音価は不明瞭である。
古代朝鮮語の特徴については、資料の少なさと質の低さから、現代の言語学者には「僅かな輪郭[2]」しか見えないのが現状である。古代朝鮮語の音素は、中期朝鮮語よりも子音が少なく、母音が多かったようである。類型的には、中期・現代朝鮮語と同じようにSOV型の膠着語であった。しかし古代朝鮮語は、節の名詞化の存在や、動詞の語幹用法など、いくつかの類型的な特徴において、中期以降とは異なっていたと考えられている。
アルタイ諸語、特に日琉語族との類似が指摘されているが、古代朝鮮語と非朝鮮語族との系統関係は証明されていない。
また、朝鮮語族から再構される祖語は朝鮮祖語(ちょうせんそご、英: Proto-Koreanic)と呼ばれるが、これについても本項で扱う。朝鮮語族は比較的小さな語族である。現代にのこる変種の多様性は限られており、それらのほとんどは中期朝鮮語(15世紀)に遡るものとして扱われる。これは現代のほとんどの朝鮮語族の拡散は新羅による朝鮮半島の統一によるということを示す[3]。中期朝鮮語の内的再構によってさらに古くに遡ることは可能であり[4]、 これは古代朝鮮語の断片的な記録の文献学的研究によって補われてきた[5]。