半群
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この項目では、代数的構造について説明しています。微分方程式の半群法については「C0-半群」をご覧ください。 |
数学における半群(はんぐん、英: semigroup)は、集合 S とその上の結合的二項演算とをあわせて考えた代数的構造である。言い換えれば、半群とは演算が結合的なマグマである。「半群」という名は群に由来する。群と異なり半群では、単位元が存在するとは限らず、また各元は必ずしも逆元を持たない。
半群の演算は多くの場合乗法的に書く(順序対 (x, y) に演算を施した結果を x • y あるいは単に xy と表す)。
半群について本格的な研究が行われるようになるのは20世紀に入ってからである。半群は、「無記憶」系 ("memoryless" system) すなわち各反復時点でゼロから開始される時間依存系 (time-dependent system) の抽象代数的な定式化の基盤であり、数学の様々な分野において重要な概念となっている。応用数学においては、半群は線型時間不変系(英語版)の基本モデルである。また偏微分方程式論では、半群は空間発展的かつ時間非依存な任意の方程式に対応している。有限半群論は1950年代以降、有限半群と有限オートマトンとの間の自然な関連性から、理論計算機科学の分野で特に重要となっている。確率論では半群はマルコフ過程に関連付けられる (Feller 1971)。