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人間のために利用される犬である。使役動物の一種。その種類は番犬から軍用犬まで幅広い。 ウィキペディアから
(しえきけん、英: working dog)は、使役される(働かされる)犬であり、使役動物の一種。日常的には「働く犬」や「職業犬」と呼ばれることもある。
基本的には、各用途に適した性質の犬種が選ばれ、各犬の個性(個体差)を見極めて個体を選び、さらに訓練が行われる。[注釈 1]
各仕事を行う犬の名称と、その仕事内容の簡易な説明を、表形式で掲載する。
名称(日本語) | 名称(英語) | 用途 |
---|---|---|
watch dog | 見張りをし、不審者が建物や飼い主に近づいたら威嚇・撃退する仕事をする。 | |
hunting dog | 狩猟に使われる犬 | |
Sled dog | グループでそりを引く。 | |
herding dog | 放牧されている家畜の群れの誘導や見張りを行い、オオカミや盗人などから家畜を守る仕事をおこなう。 | |
dogs in warfare | 軍務のために調練された犬。 (自衛隊では | |
search and rescue dog | 捜索救難活動に参加し、被災者の捜索・救助を支援する。大きく分けて地震救助犬、山岳救助犬、水難救助犬の3つに分類される[1]。 | |
police dog | 警察で犯罪者の追跡や制圧などを行う。 | |
guard dog | 各国の軍や警察で警備・捜索活動や災害現場で被災者の救助などを行う。 | |
探知犬:犬の嗅覚を利用し、特定用途に活用する。 | ||
detection dog | 地雷を探知する。 | |
爆発物を探知する。 | ||
麻薬を探知する。 | ||
銃器を探知する。 | ||
動植物の検疫の検査を必要とする肉製品・果物などを嗅ぎ分けて発見する[2]。 | ||
DVD探知犬 | 海賊版ソフトの密輸を防ぐために、 光ディスクの臭いを嗅ぎ分けて発見する。 | |
がん探知犬 | がん患者の早期発見に繋がる可能性があると言われる。実証中。婦人科がんは早期のものでも尿のにおいでほぼ確実に見分けられることがわかった[3]。 | |
シロアリ探知犬 | シロアリを探知する。アメリカでは1970年代に誕生という説がある[4]。 | |
トコジラミ探知犬 | トコジラミを探知する。宿泊施設などが対象[5]。 | |
コロナ探知犬 | コロナウイルス陽性者を探知する[6]。 | |
人間の生活を支援する | ||
身体障害者補助犬 | assistance dog | 盲導犬、介助犬、聴導犬のこと[7]。 |
guide dog または seeing-eye dog | 視覚障害者を安全・快適に誘導する仕事をする。盲導犬の訓練は世界の30以上の国で行われ、世界で約25,000頭以上の盲導犬が活躍していると推定されている。2006年のデータで、アメリカ8000頭以上、イギリス4650頭あまり、フランス約1500頭、日本957頭(2014年の日本では1,010頭)など。[8] | |
hearing dog または signal dog | 聴覚障害者の生活を安全・安心なものにするために、主人に代わり周囲の音を聴き、生活に必要な音が聞こえたら主人にタッチして教え、音源へと導く仕事をする。 | |
service dog | 身体障害者を安全・安全・快適に誘導したり、主人に代わり物を運ぶ仕事をする。 | |
セラピードッグ | therapy dog | セラピーをする犬、つまり人の心を癒(い)やす仕事をする犬であり、人への忠誠心と人への深い愛情を示すことで、傷ついた心の回復を助ける。高齢者、障害者、がん患者、難病の患者、精神病患者など多くの人々の役に立っている。[9] |
タレント犬 | ペットモデル |
使役犬として使われる犬種を挙げるため、下記、国際畜犬連盟 (FCI) で使役犬グループに登録されている犬種一覧を掲載する。 (なお、これは猟犬以外の使役犬として誕生した犬種を挙げており、番犬、作業犬のほか、闘犬も含まれる。)
FCI10グループでは使役犬に分類されていないものの、FCIの各犬種概要「用途」の中で使役犬としても指定されている犬種
探知犬とは、犬の嗅覚を利用し特定の探知に使役される犬の総称。
(まやくたんちけん)とは、犬の優れた嗅覚を利用して麻薬を探知する訓練が行われた犬である[10]。
日本では国内への麻薬持ち込み阻止を目的として税関が用いており、1979年6月にアメリカから2頭導入されたのが始まりである[11]。1981年には国内犬では初の麻薬探知犬としてジャーマンシェパードのシェリー号が認定され、1987年には千葉県成田市に麻薬探知犬訓練センターが開設される[10]。麻薬探知犬にはアグレッシブドッグ(agressive dog)とパッシブドッグ(passive dog)の2種類があり、アグレッシブドッグは貨物などから麻薬のにおいを探し出して引っかいて知らせ、パッシブドッグは旅客や手荷物などから麻薬のにおいがするとその場でお座りをして知らせる[10]。2021年時点で、空港や港などの税関で130頭ほどの麻薬探知犬が活躍している[12]。
麻薬探知犬の中から紙幣の匂いを探知する訓練を受けた犬。日本の税関では、紙幣の不正持出しを抑止するため、2024年から導入された[13]。
(じゅうきたんちけん)とは、嗅覚で銃器の発見する能力を身につけた使役犬である。
日本では、税関が用いている。2009年4月より、銃器の密輸を水際で食い止めるため、オーストラリアで特別に訓練された銃器探知犬が成田空港で利用されるようになった[14]。
(ばくはつぶつたんちけん)とは、嗅覚で爆発物を探知する訓練が行われた犬である。爆発物探知のみがその役割であることは少なく、大抵は警察犬や麻薬探知犬を爆発物マーカーを嗅ぎ分けて発見するように訓練した犬である。火薬そのものは法規制が厳しく犬の訓練に使うことが難しいが、爆発物マーカーそのものは第一種指定物質であることを除けば入手や取扱いが比較的容易であるため民間でも訓練を行うことが出来る。民間警備会社での導入配備も期待されており、実際に欧米では民間の爆発物探知犬も数多く活躍している。
爆発物探知機と同様の誤認問題はあるものの、移動の利便性や臭いを追跡して場所を特定する能力に関しては爆発物探知機を上回る利便性がある。
(けんえきたんちけん)とは、国外からの伝染病などの侵入を防ぐために、動植物検疫の対象となる食肉製品や果物などのにおいを探知する訓練がされた犬のことで、日本では農林水産省動物検疫所が導入し、2005年12月に成田空港にパッシブドッグのビーグルが2頭配置されたのが最初である[15]。
2006年には検疫探知犬イメージキャラクター「クンくん」が誕生[2]。2020年10月1日現在で、検疫探知犬はビーグル犬とラブラドールレトリバーを合わせて96頭がいる[16]。
日本での使役犬に関係する項目を列挙し、補足説明もする。
実務に耐えられない若しくは定年を迎えた使役犬は、その功に報いて引退生活を歩むことになる。長い時を共にし情を感じる関係者や引退犬飼育ボランティアに引き取られ、ペットとして引き取られた先の家族として生きて行く犬もいる。もしくは訓練所の引退施設でノンビリと引退生活を送る犬もいる。「盲導犬の里 富士ハーネス」[18]によれば、本施設に引退犬専用棟があるという。
日本では、厳しい試験・訓練・実務に耐えてくれた使役犬を弔うため、各管理者が慰霊碑を設け、関係者により慰霊祭が行われている。
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