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『ロスト・メモリーズ』(原題:2009 Lost Memories)は、韓国で2002年2月に公開されたSFアクション映画。日本では2004年(平成16年)3月に公開された。
主演はチャン・ドンゴンで、仲村トオルも準主演で出演している。日本による朝鮮統治が継続しているパラレルワールドを舞台に、日本が体制悪として描かれている映画だが、仲村が演じるのはステレオタイプな悪役ではなく、家族を守るために親友との戦いに挑むという悲劇的な役柄になっている。
原作は卜鉅一のSF小説「비명을 찾아서」(1987年(昭和62年)、邦訳題「京城・昭和六十二年 碑銘を求めて」)。ただし、日本による植民地統治が継続しているという舞台設定以外は、ほとんど別の物語となっている。
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
1909年(明治42年)10月26日、安重根によるハルビン駅での伊藤博文への暗殺計画(伊藤博文暗殺事件)が失敗。初代朝鮮総督に伊藤が就任。その後、朝鮮人による独立運動(三・一運動)やテロ(上海天長節爆弾事件)は完膚なきまでに弾圧される。満州問題で意見の一致を見た日米は同盟を結び、大日本帝国は第二次世界大戦に連合国側で参戦する。原爆はベルリンに投下され、大日本帝国は第二次世界大戦の勝利によって東アジアを統合、1960年(昭和35年)に国連の常任理事国入りを果たした。大日本帝国は1965年(昭和40年)に人工衛星サクラ一号を打ち上げ、1988年(昭和63年)に名古屋オリンピックを開催、2002年(平成14年)にはサッカーワールドカップ単独開催と、世界でも指折りの大国として繁栄する。そして朝鮮は植民地統治の成功によって完全に大日本帝国の一部と化し、京城(ソウル)は東京・大阪に次ぐ大日本帝国第三の都市として繁栄していた。
2009年(平成21年)、京城府内の伊藤会館で行われていた「井上財団」の美術品展示会場で催されていたパーティーに朝鮮独立派テロ組織が乱入、客を人質に立て籠もる。事態を重く見た朝鮮総督府は日本捜査局(JBI:Japanese Bureau of Investigation)に出動を命令、主人公の坂本正行(チャン・ドンゴン)とその無二の親友たる西郷将二郎(仲村トオル)の2人も休暇返上で駆けつける。事件はJBIの圧倒的な火力で解決されるが、その際に当該組織のメンバーが命がけで守ろうとした古代造形品があり、その捜査を坂本と西郷が任される。しかし捜査を進めるうちに、第2代朝鮮総督井上(伊藤暗殺を阻止した架空の人物)の遺産で作られた「井上財団」の暗部、同じく捜査官だった坂本の父親が関わった過去のテロ組織の事件、更には伊藤博文暗殺失敗に繋がる、大日本帝国(現実世界では日韓)史100年を揺るがす陰謀が姿を現してくる……。
()は日本語吹替えキャスト。
本作における吹き替え音声は、ドキュメンタリー作品で採用されているボイスオーバー方式となる。
そのため、吹き替え音声に加え、原語も小音量で混じったものとなる。
作品世界では大日本帝国が東アジアを統合し、朝鮮もその一員として経済発展を遂げているという設定。日本語で埋め尽くされた京城市街やCGで再現された朝鮮総督府庁舎をはじめとして、随所に次のような映像が見られ、日本化した朝鮮を視覚化している。
また、漢字表現について少々難があるものの(「不逞鮮人」ならぬ「不令鮮人」や、機密情報に抵触すると示される「接近禁止」の表示、冒頭で伊藤博文が「硬座車」=下等座席車から降りてくるなど)、韓国人俳優たちも作中の公式な場では日本語を話し、朝鮮民族が「朝鮮系日本人」と呼ばれるなど、世界観構築についての努力が多い。
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