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プレグナンX受容体(プレグナンXじゅようたい、英: pregnane X receptor、略称: PXR)は、ヒトではNR1I2遺伝子によってコードされるタンパク質である[5][6][7]。SXR(steroid and xenobiotic sensing nuclear receptor)、NR1I2(nuclear receptor subfamily 1, group I, member 2)の名称でも知られる。
PXRは核内受容体であり、その主な機能は外来の毒性物質を検知し、それに応答してこうした物質の解毒と体外への除去に関与するタンパク質の発現をアップレギュレーションすることである[8]。PXRは核内受容体スーパーファミリーに属し、このファミリーのメンバーはリガンド結合ドメインとDNA結合ドメインを持つことで特徴づけられる転写因子である。PXRはシトクロムP450遺伝子CYP3A4の転写調節因子であり、9-cis-レチノイン酸受容体であるRXRとのヘテロ二量体としてCYP3A4のプロモーターに結合する。デキサメタゾンやリファンピシンなど、CYP3A4を誘導するさまざまな化合物によって活性化される[5][7]。
PXRはステロイド(プロゲステロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、17α-ヒドロキシプレグネノロン、5α-ジヒドロプロゲステロン、5β-ジヒドロプロゲステロン、アロプレグナノロン、コルチコステロン、酢酸シプロテロン、スピロノラクトン、デキサメタゾン、ミフェプリストンなど)、抗生物質(リファンピシン、リファキシミンなど)、抗真菌薬、胆汁酸、ヒペルフォリン(セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリ)の成分)、メクリジン、パクリタキセル、カフェストール[9]、フォルスコリン[10][11]など、多数の内因性・外因性の化学物質によって活性化される[8]。
ケトコナゾールは、PXRのアンタゴニストとして知られている数少ない例の1つである[12][13]。SPA70(LC-1)は近年同定され、PXRの強力かつ選択的なアンタゴニストとして特性解析がなされた[14][15]。
他のII型核内受容体と同様、活性化された際にはレチノイドX受容体とヘテロ二量体を形成し、ホルモン応答エレメント(hormone response element, HRE)に結合して遺伝子の発現を誘導する[8]。
PXRの活性化の主要な標的はCYP3A4の誘導である。CYP3A4は多くの薬物の代謝の第I相を担う重要な酸化酵素である[6][7]。さらに、PXRはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ[16]など第II相の抱合反応を担う酵素や、OATP2[17]、MDR1[18][19]など第III相の排出に関与するタンパク質もアップレギュレーションする[18]。
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