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公正取引(こうせいとりひき、英: fair trade、仏: commerce équitable、西: comercio justo、フェアトレード、公平貿易)とは、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動である。オルタナティブ・トレード(alternative trade)とも言う。連帯経済の一翼を担う活動でもある。「公正取引」という表現は政府との関係がある組織(例:公正取引委員会)にも使われているので、誤解対策のために「適正な報酬での取引」という交代表現も使われている。
この記事は中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、議論中です。 (2010年3月) |
国際的な貧困対策、環境保護を目的としアジア、アフリカ、中南米などの発展途上国から先進国への輸出において、こうした取引形態が採用される場合がある。主な品目としてコーヒー、バナナ、カカオのような食品、手工芸品、衣服がある。
需要や市場価格の変動によって生産者が不当に安い価格で買い叩かれ、あるいは恒常的な低賃金労働者が発生することを防ぎまた児童労働や貧困による乱開発という形での環境破壊を防ぐことを目的としている。最終的には生産者・労働者の権利や知識、技術の向上による自立を目指す。
貿易における先進国と途上国の公平さを図り立場の弱い途上国の生産者・労働者により良い取引状況を提供し、彼らの権利を強化することで持続可能な開発が実現できるように貢献する。また、従来の国際貿易の規則と実態を変化させるために働きかける。
19世紀のオランダ東インド会社の官僚だったエドゥアルト・ダウエス・デッケルは、帰国後ムルタトゥーリのペンネームでジャワ島のコーヒープランテーションでの無慈悲な搾取の実態を基にした小説『マックス・ハーフェラール』を書き、社会にセンセーションを与えた[1]。搾取に対する償いをするべきという民意の高まりから、19世紀末にオランダ政府は「論理政策」を策定し、植民地の人々のための公共事業や社会インフラ整備などの投資を行うようになった。しかし、第二次世界大戦によって植民地経営・経済が麻痺状態となり、植民地への関心は薄れてしまった。
第二次世界大戦後、ブレトンウッズの会議でGATTの創設が決まった。デッケルの思想的後継者たちはGATTを「穏やかな銀行家の仮面をつけた、旧態依然とした残忍な植民地制度」として糾弾し「フェアトレード(公正貿易)活動家」と呼ばれた[1]。
現在のフェアトレード運動の原型は、エドナ・ルース・バイラーというアメリカ人女性が始めた貧困地域の手工芸品を持ち帰ってアメリカで売り、利益を還元した非営利事業が基になっている[1]。この事業はテンサウザンド・ビレッジズと呼ばれる国際小売チェーンに発展した。
第二次世界大戦後の東欧の経済復興のため手工業品の輸入を行ったのがフェアトレードの考えの始まりと言われる。1960年代に経済的、社会的に立場の弱い生産者に対して通常の国際市場価格よりも高めに設定した価格で継続的に農産物や手工芸品などを取引し、発展途上国の自立を促すという運動としてヨーロッパから始まった。イギリスのトレードクラフトやドイツのゲパのような団体が生まれた。
その後、フェアトレードの考えに共感した流通ビジネスを巻き込みより一般市場向けの製品の販売を始めた。また、フェアトレード認証マークも生まれた。 フェアトレード・ラベルの第一号はメキシコのコーヒー生産者団体とオランダのマーケティング・コンサルタント会社が設立したマックス・ハーフェラール財団のトレードマークだった[1]。
現在、イギリスやカナダを中心とした欧米ではフェアトレード認証製品の販売や利用を促進している街を認定する「フェアトレード・タウン」制度が広がっているほか、スターバックスに代表されるような一般の企業も参入している。
日本のフェアトレードは、1986年に株式会社プレス・オルターナティブの「第3世界ショップ」に始まる。1989年にオルター・トレード・ジャパン(ATJ)が設立され、主として生協内でフェアトレードを広げた。1990年代にはいくつもの団体が生まれ、日本各地でフェアトレードショップができた。2000年代に入り2002年にスターバックスコーヒーの販売を始めたことを筆頭に、2003年にイオンがフェアトレード・コーヒーの販売を始めるなど特にコーヒー製品で大手企業が参入している。
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