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電子音楽のジャンル ウィキペディアから
ドラムンベース(英: Drum and bass)は、イギリスサウスロンドンで1990年代に誕生した電子音楽のジャンルの1つ。非常に速いテンポの変則的なドラムビートに、うねる様なベースが重なるドラムとベースが主体となるダンスミュージック。
BPMは165〜185が多く[1]、高速で複雑なシンコペーションを用いたブレイクビーツサウンドとキック、スネアやベースを強調した重低音が特徴[2][3]。通常はサンプリングやシンセサイザーを用いて制作される。
略称としてDnB、D&B、D'n'Bなどがあり、別表記はDrum'n'Bass、Drum & Bassなど。
1990年代初頭にイングランドで生まれたジャングルから発展し1990年代半ばに生まれた。ドラムンベースはジャングルのレゲエ要素を抑え、さらに他の様々なジャンルとの親和性を高められていったものであり、ブレイクビーツ本来のファンキーなドラムから、無機質で未来的なドラムへと変化していった。
ジャングル・ドラムンベース誕生初期において、ラガやレゲエ、ヒップホップ、R&B、ソウル、ジャズ、アシッドジャズなどの音楽と融合したトラックが多く発表された。
トラックはジャングルと同様にリズム、ベース、上音、ボーカルなどで構成されるが、レコードからサンプリングされたドラムブレイクのみをリズムとして使用する事が大半だったジャングルと異なり、リズムマシンやサンプリングCD、ソフトウェアのクリアな音質のバスドラム(キック)やスネアも併用しリズムを構築しているのが大きな特徴で、ジャングルよりシンプルなリズムが多い。また、ベースの音色に多様性があるのも大きな特徴であり、今日では唸るようなベース、うねりを加えて増幅したようなワブルベースなどの超重低音が用いられ、ますますダイナミックなサウンドに変化している。このリズムとベースの大きな変化、および高音質化によって、ドラムンベースは音楽としての可能性を押し広げる事に成功した。
初期のプロデューサーは、LTJブケム、The Invisible Man、DJ Hype、 Goldie、Fabio、Grooveriderなどが有名である[4][5][6][7][8]。
ドラムンベースは主に160以上のBPMを用いているが、一拍(四分音符)を単位としてそのBPM通りに感じることでより上昇感・疾走感を強める方法と、二拍を単位としそのBPMの半分としてとらえることでゆったりとした感覚や空間的広がりを強める方法がある[4]。
また1990年代半ばから後半にかけてドラムンベースのリズムを更に複雑化させたドリルンベースというジャンルも誕生している。ドリルンベースはSquarepusherが始めたとされ、Aphex Twinを始めとするコーンウォール一派が有名である。
2000年以降になるとドラムンベースは新しい動向を見せるようになり、その要因として以下の3つに大別される[4]。
一つ目はドラムンベース・アーティストの国際化。ブラジルからは DJ Marky & XRS が2002年に LK を大ヒットさせ、オーストラリアからは2003年以降 Pendulum が登場。その他にもニュージーランドからは MC Tali や Concord Dawn、オーストリアからは D.Kay、ドイツからはKabuki、オランダからはNoisia、そして日本からは Makoto がイギリスのドラムンベースシーンに台頭している[4]。
二つ目は 「リキッド・ファンク」 と呼ばれるソフトなドラムンベースが新たなジャンルとして確立したこと。これには、2004年に大ブレイクした Artificial Intelligence、ロジスティクス、High Contrastといった新たな才能がリキッド・ファンクのスタイルを得意としていることが大きい。それまでは LTJ Bukem と FabioしかこのスタイルのドラムンベースをDJとして選曲しなかったが、今ではあらゆるDJがかけるようになっている。これを受けて、V Recordings が姉妹レーベルとして Liquid V を、さらにはハードな選曲で知られる DJ Hype が Liq-weed Ganja をリキッド・ファンク専門のレコードレーベルとして立ち上げている[4]。
三つ目は、新しいアーティストによるスタイルの多様化である。Sub Focus、Chase and Status、Baron、Twisted Individualなどの登場により、上記のリキッド・ファンクだけでなく、レゲエ的要素、ラテン系音楽、ジャズのようなベースラインを取り入れたものなどが導入されるようになった。
2007年以降は、もともとのドラムンベースの特徴である重低音ベースラインをより強調した音楽も見られるようになる。きっかけは、一般の家庭用スピーカーでは聞こえないほどの重低音ベースラインを得意とする Artificial Intelligence のブレイク。それ以降、ドラムンベースにおける低音域の下限がさらに下がり、クラブのスピーカーで聞かないと曲の良し悪しを味わえない度合いがさらに強まった[4]。
2008年になるとペンデュラムがドラムンベースとロックの融合を打ち出し注目されている。
2009年、ドラムンベースの進化は遂にダーティ (dirty)、或いは、アシッド (acid) と形容されるものに達している。アシッドの形容詞が示すものは幻覚作用のある音色であるが、ハウスやジャズのアシッドと同様に変調させるものもあれば、より重低音を目指すもの、前述のドリルンベース様であったりするものもある。
同年、ルーク・フードが2つの Youtube チャンネル、UKF Drum & Bass と UKF Dubstep を開設した[9]。当初は自身の友人たちとドラムンベース、ベースライン、ブロステップの曲を共有するためのものだったが、その後音楽ブランドUKF Musicに発展し、ベース・ミュージックシーン拡大の中心地の1つとなった[10]。
2021年2月、ドラムンベースの楽曲の主なテンポである「1分間に174拍」にちなみ、4月17日[注釈 1]を「ドラムンベースの日」として公式に承認することをイギリスのデジタル・文化・メディア・スポーツ省に求める署名活動が、ブリストルを拠点とするプロモーター The Blast によって開始された[11]。
ドラムンベースは様々な音楽と融合した多様な音楽ジャンルを形成しており、多数のサブジャンルにより細分化されている。
1996年より、Drum & Bass Sessionsが本場イギリスのドラムンベースDJを積極的に日本に招致してきた。2001年からは、渋谷のクラブを中心にパーティーが開催されるようになる。
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