トレハロース
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トレハロース(trehalose)とはグルコースが1,1-グリコシド結合してできた二糖の一種である。1832年にウィガーズがライ麦の麦角から発見し[3]、1859年、マルセラン・ベルテロが象鼻虫(ゾウムシ)が作るトレハラマンナ(マナ)から分離して、トレハロースと名づけた[4]。
概要 トレハロース, 識別情報 ...
トレハロース | |
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(2R,3S,4S,5R,6R)-2-(Hydroxymethyl)-6-[(2R,3R,4S,5S,6R)-3,4, 5-trihydroxy-6-(hydroxymethyl)oxan-2-yl]oxyoxane-3,4,5-triol | |
別称 α,α‐Trehalose; α-D-glucopyranosyl-(1→1)-α-D-glucopyranoside | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 99-20-7, (無水物) 6138-23-4(二水和物) |
PubChem | 7427 |
ChemSpider | 7149 |
UNII | B8WCK70T7I |
日化辞番号 | J4.965D |
EC番号 | 2027396 |
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特性 | |
化学式 | C12H22O11(無水物) |
モル質量 | 342.296g/mol(無水物) 378.33g/mol(二水和物) |
外観 | 白色斜方晶 |
密度 | 1.58g/cm3 at 24 ℃ |
融点 |
203℃(無水物) |
水への溶解度 | 68.9g/100g H2O(20℃)[1] |
溶解度 | エタノールに可溶、ジエチルエーテルおよびベンゼンに不溶[2] |
比旋光度 [α]D | +199(c = 5、水、20℃) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
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ブドウ糖が二分子結合した糖であり、餅や団子などが時間とともに硬くなるのを抑制する効果(老化防止)が強く、多くのデンプン系食品に使われている。
また、熱や酸に対する高い安定性や保湿作用、タンパク質の変性抑制作用も有していることから、種々の加工食品に応用されている。
1995年以前は貴重な糖であり、キノコからの抽出が難しく、価格も1kgあたり3~4万円と高価だったが、岡山県のバイオ企業株式会社・林原(現・ナガセヴィータ)が[5]、デンプンからトレハロースを生成する酵素を発見し、価格を1⁄100 に下げることに成功した。
食品以外に化粧品、飼料、工業用途に広がっている。また、耐糖能改善効果、神経変性疾患抑制効果など、多様な生理機能が報告されている。