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エタ・エス・アー・マニュファクテュール・オルロジェール・スイス(ETA SA Manufacture Horlogère Suisse 、ETA SA)はスウォッチの系列会社であり、機械式、クォーツ式双方の時計機械(ムーブメント)を製造している。近年では西ヨーロッパで製造される機械式腕時計の大半が同社の機械を購入してそのまま、あるいは手直しして使用している。通常、単にETAと略称される。
スイスの時計ムーブメント業界における有力企業群が古くから大合同や提携を繰り返す過程で、1926年に成立したエボーシュグループが直接の前身。1982年にエタ・フォンテンメロン・EEMの経営統合、1985年のエボーシュグループ経営統合で一つの企業体となった。スウォッチ・グループの基幹企業の一つであり、1970年代の「クォーツショック」後に大幅再編を余儀なくされたスイスの時計産業界において21世紀初頭でも重要な役割を担っている。機械式時計ムーブメントの主要製品では、エボーシュグループを形成した前身企業群の製品から基本設計や技術を継承し、大量生産に適化する改良を加えた堅実な構造を基調とする。
ETA2824-2
ETA2892-2A2
ETA7750バルジュー
ETA7001プゾー
ETA6487/6498ユニタス
ブライトリング、クロノスイス、フランク・ミュラー、フォルティス、ハミルトン、インターナショナル・ウォッチ・カンパニー、ロンジン、ミューレ・グラスヒュッテ、モバード、オフィチーネ・パネライ、オメガ、オリス、タグ・ホイヤー、ティソ、スウォッチ、ジン、MINASEなど多数ある。ただしこれら全てがエタの機械を全面的に使って来たわけではなく、「以前は自社製機械を採用していた」「高級ラインは自社製機械を採用している」「一見ではエタ製と分からない程の改造を加えて搭載している」「最近自社製機械を開発している」等関わりの濃さはさまざまである。
また、現行世代のムーブメントは主にスウォッチグループ内ブランドにのみ供給され、パワーリザーブや耐磁性といった点においては他社製最新世代と遜色ない性能となっている。
2002年、「2006年限りで自社製エボーシュのスウォッチ・グループ外への供給を終了する」旨を発表。エタ以外にエボーシュを供給できる企業がスイス国内には2社しか存在しなかったため、スイスの機械式時計メーカーの大半が製品を製造できなくなる可能性が現実味を帯びた。このためスイスの公的機関であるスイス競争促進委員会(Swiss Competition Commission )が仲裁に入り、エボーシュの供給停止は2008年から順次開始され、2010年限りを持って完全にグループ外への供給は終了することで合意が成立した。スウォッチ・グループの創設者の一人であるニコラス・G・ハイエクはこの措置の理由について、スイスの時計メーカーが自社での技術開発を放棄し、自社のケースにエタの機械を搭載して高額で販売している現状がスイスの時計工業を堕落させていると指摘した[1][2]。だが多くの時計メーカーの反発は大きく、紆余曲折の末にスイス競争促進委員会の裁定によって2020年まではムーブメントの供給が続けられることとなった[3]。
この事件を境に、スイスの時計メーカーにおいては自社製ムーブメントを開発するか、スウォッチの下請け企業セリタ社に代表される、特許切れのエタ社ムーブメントを基に製造したムーブメントを採用するかの両極化が進むこととなる。
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