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温度の単位 ウィキペディアから
カ氏度、華氏度(かしど、英語: degree Fahrenheit、記号: °F)は、数種ある温度のうちのひとつであり、1度の温度間隔がケルビンの1.8分の1(9分の5) である。真水の凝固点を32 カ氏温度、沸点を212 カ氏温度とし、その間を180等分して1 カ氏度としたものである。
ドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトが1724年に提唱した。
カ氏度は他の温度と同様「度」の単位がつけられ、他の温度による値と区別するためにファーレンハイトの頭文字を取って“°F”と書き表される。
「32 °F」は日本語では「華氏32度」、「32 カ氏度」、英語では“32 degrees Fahrenheit”または“32 °F”と表現される。
考案者のガブリエル・ファーレンハイトにちなむ。ファーレンハイト度、華氏度(かしど)ともいう。華氏の語源は、ファーレンハイトの中国音訳「華倫海特」(ファルンハイトゥ、繁体字: 華倫海特; 簡体字: 华伦海特; 繁体字: 華倫海特; 拼音: Huálúnhǎitè)から「華」+人名に付ける接尾辞「氏」で、「華氏」「温度」になった。
「セルシウス度(degree Celsius)」と「セルシウス温度(Celsius temperature)」が異なる概念であるのと同様に、「カ氏度(degree Fahrenheit)」と「カ氏温度(Fahrenheit temperature)」とは異なる概念である。すなわち、計量単位令の別表第7 項番3が定義しているように、カ氏度は温度間隔を指し、カ氏温度はカ氏度で表される温度を指す。しかし一般にはこの違いは意識されず混同されることが多い。
日本の計量法では、ヤード・ポンド法の一つとして、例外的に限定した取引又は証明(ヤード・ポンド法#日本における使用を参照)に用いる場合にあっては「当分の間、法定計量単位とみなす。」こととされている(計量法附則第5条第2項)。
その計量単位は「カ氏度」と定められている[1]。したがって、計量法上は、「ファーレンハイト度」や「華氏度」を使用することは禁止されている(詳細は、セルシウス度#用法を参照)。
カ氏度とカ氏温度の定義は次の通りである[1]。計量法上は、カ氏度・カ氏温度は、セルシウス度・セルシウス温度から定義されているのではなく、SI基本単位であるケルビンとケルビンで表した熱力学温度の値によって直接に定義されている。
カ氏度の定義:ケルビンの1.8分の1カ氏温度の定義:カ氏度で表される温度
カ氏温度の値の定義:ケルビンで表した熱力学温度の値の1.8倍から459.67を減じたもの
カ氏度は温度間隔であるから、単に「ケルビンの1.8分の1」と定義される。これに対して、カ氏温度は、温度の高さであるから、「熱力学温度の値の1.8倍 - 459.67」とやや複雑である。 なお、上記の定義中の数値、459.67 = 273.15 × 1.8 - 32 の関係がある。
セルシウス温度をカ氏温度で表すと「セルシウス温度の値の1.8倍に32を加えたもの」となる。
カ氏度の単位記号は、「°F」である[2]。国際単位系国際文書では、数値と単位記号の間には1字分の空白を挿入すること(セルシウス温度の表記も同じ)になっており(国際単位系#量の値の形式)、カ氏度の表記においても数値と「°F」の間に1字分の空白を挿入する。
華氏から | 華氏へ | |
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セルシウス度 | [°C] = ([°F] − 32) × 5⁄9 | [°F] = [°C] × 9⁄5 + 32 |
ケルビン | [K] = ([°F] + 459.67) × 5⁄9 | [°F] = [K] × 9⁄5 − 459.67 |
ランキン度 | [°R] = [°F] + 459.67 | [°F] = [°R] − 459.67 |
温度の間隔は以下のようになっている。 1 °F = 1 °R = 5⁄9 °C = 5⁄9 K 他の温度の単位への換算 |
カ氏度による温度目盛では水の融点を32 °F、沸点を212 °Fとする。水の氷点と沸点の間は180度に分割される。カ氏温度Fは、ケルビンKやセルシウス度Cと以下の関係にある。
計量法では、一番上の式によって、ケルビンからカ氏温度が定義されている[3]。
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カ氏温度とセルシウス温度との間の変換において、おおよそ「61 °F → 16 °C」「82 °F → 28 °C」の関係(一の位と十の位の交換)がある。これは、温帯における気温の範囲にあり、大雑把な変換の目安としてしばしば用いられる。
ファーレンハイトがこの温度目盛を作った時の話としては、以下に示す複数の説がある。
日本では1と2を合わせたものがよく知られているがアメリカでは3、欧州では4が有名である。
ファーレンハイトの計測は完全に正確ではなかった。彼が作ったオリジナルの目盛によって計った水の氷点・沸点は32度・212度とは異なっていた。彼の死後、その値が32度・212度となるように調整された。その結果、人の体温は96度ではなく98.6度となった。
1960年代まで、多くの英語圏の国で、カ氏度(およびカ氏温度)は気候・産業・医療における温度の基準となっていた。1960年代後半から1970年代にかけて、メートル法への切り換えの一環としてセルシウス度(およびセルシウス温度)の導入が政府によって行われた。しかし切り換えのための努力にもかかわらず、現在でも一部の英語圏の国では非科学分野での温度計測にカ氏度が使用されている。アイザック・アシモフは、西欧の通常の気温が0 °Fから100 °Fの範囲に収まるのに対し、セルシウス温度ではとくに異常がなくても気温がマイナスの数字になりうることを指摘している[4]。
カ氏度の支持者は、これはカ氏度が利用者にとって親しみやすいからだと主張している。地球上の居住可能地域の大部分で気温変化は0 °F (−17.8 °C) から100 °F (37.8 °C) の範囲に収まる。
またカ氏温度での人間の平熱が98.6 °F (37.0 °C) であることはよく知られていて、体温が100 °F (37.8 °C) 以上になると治療が必要とされるなど、カ氏度(およびカ氏温度)は生活感覚に直結した温度目盛であると主張している。
別の例では、カ氏度は人間の温度感覚に適合しているとも考えられる。例えば、日本産のカーエアコンの設定温度は日本仕様ではセルシウス温度で0.5 °C刻みが多い[要出典]が、同じ機種でもアメリカ仕様は1 °F刻みで小数を使わない。
アメリカ合衆国・ジャマイカではメートル法への置き換えが生産者側・消費者側の両方で大きな抵抗に遭っているため、カ氏度は様々な分野で広く使われ続けている。同様にイギリスの一部では低い温度はセルシウス温度で表されるが、日常的に使われる温度はカ氏温度で測定されている。
カナダの天気予報や報道機関は全てセルシウス度を使い、日常でもセルシウス度が使われているが、カナダのキッチンオーブンや一部のエアコンは、カ氏度で利用されることがある。これは、アメリカ向けの家電製品を使う機会が多いため、カ氏度が初期設定としてセットされているためである。最近は、アナログ表示が減り、デジタル表示の製品が増え、簡単にカ氏温度とセルシウス温度との切り替えが可能になっているため、カ氏温度のみを表示する製品は減少している。
平賀源内が1765年に作った温度計「日本創製寒熱昇降器」には、極寒、寒、冷、平、暖、暑、極暑の文字列のほか数字列も記されており華氏を採用していた[5]。
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
℉ | U+2109 | - | ℉ ℉ | カ氏度記号 |
Unicodeのカ氏度の記号(文字様記号)は、既存の文字コードとの互換性のために用意されている互換文字である。Unicode標準では、カ氏度の記号はU+00B0 ° degree sign(度)とU+0046 F capital letter f(大文字のF)を組み合わせて使用し、検索の際はこれと一文字のU+2109 ℉ degree fahrenheitを同一視することを推奨している[6]。
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