あわい

日本語

形容詞

あわい【淡い】

1. 色彩や味が明瞭でない、ぼんやりとした、微妙な。
   • ひどく寸のつまつてゐる大棟も、この夜は気にならず、むしろその両端の鴟尾の、ほのかに、実にほのかに、淡い金色を放つてゐるのが、拝みたいほど有難く感じられた。（和辻哲郎 『月夜の東大寺南大門』）
   • 東京人の舌は、そう言ってはわるいが、すこぶる杜撰なものである。落着いた味、静かな味、淡い味を知るには、あまりにも荒っぽすぎる。（北大路魯山人 『昆布とろ 』）
2. 心情などがはっきりしない、確実でない。
   • 奇怪な事件が重なり合っているような場合であっても見ている時は成程、其れによって、いろいろなことを想像したりまた感興を惹かれたりしても、一たび外に出て冷やかな空気に触れれば、つい、今しがた見たことが夢のように、もっと其れよりは淡い印象しか頭に残らないのであります。（小川未明 『芸術は生動す』）
   • 私は変った世界に飛びこまされることを拒否出来なかった。或いは其処に何か見出すかも知れないという淡い期待があったわけなのだ。（久坂葉子 『灰色の記憶』）

活用

あわ-い 形容詞活用表（日本語の活用）

語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
あわ	かろ	く かっ	い	い	けれ	(無し)

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
推量・意志	あわかろう	未然形 + う
否定形	あわくない	連用形 + ない
過去・完了	あわかった	連用形 + た
言い切り	あわい	終止形のみ
名詞化	あわいこと	連体形 + こと
仮定条件	あわければ	仮定形 + ば
様態	あわそうだ	語幹 + そうだ

活用と結合例

対義語

語義1

• うすい

対義語

語義1

• こい

翻訳

語義1

• アイスランド語: fölur ^(is)
• アラビア語: بَاهِت‎ ^(ar) (bāhit)
• アルバニア語: e celet ^(sq)
• イタリア語: pallido ^(it), smorto ^(it)
• イディッシュ語: בלייך‎ ^(yi) (bleykh)
• インドネシア語: pucat ^(id)
• ウェールズ語: gwelw ^(cy)
• ヴォラピュク: paelik ^(vo)
• 英語: pale ^(en)
• エスペラント: pala ^(eo)
• オランダ語: bleek ^(nl)
• カタルーニャ語: pàl·lid ^(ca)
• ガリシア語: lourido ^(gl) 男性, macío ^(gl) 男性, lúrido ^(gl) 男性, abuado ^(gl) 男性, esluado ^(gl) 男性, esleigado ^(gl) 男性
• ギリシア語: χλωμός ^(el) 男性 (chlomós), ωχρός ^(el) 男性 (ochrós)

  古典ギリシア語: ὠχρός ^(grc) (ōkhrós)

• グアラニ語: kangy ^(gn)
• スウェーデン語: blek ^(sv)
• スペイン語: pálido ^(es)
• スロヴァキア語: bledý ^(sk)
• セルビア・クロアチア語: bled ^(sh)
• ソルブ語:

  低地ソルブ語: blědy ^(dsb)

• タイ語: ซีด ^(th) (sîit), จาง ^(th) (jaang)
• タガログ語: maputla ^(tl)
• チェコ語: bledý ^(cs) 男性
• 中国語:

  北京官話: 苍白 ^(zh) (cāngbái)

• 朝鮮語: 창백한 ^(ko) (changbaekhan)
• デンマーク語: bleg ^(da), blegt ^(da)
• ドイツ語: hell ^(de), blass ^(de)
• ノルウェー語: blek ^(no), bleik ^(no)
• ノルマン語: bliême ^(nrm) (ジャージー), pale ^(nrm) (ジャージー)
• バスク語: zurbil ^(eu)
• ハンガリー語: sápadt ^(hu)
• フィンランド語: kalpea ^(fi), kalvakka ^(fi), kelmeä ^(fi), vaalea ^(fi)
• フランス語: pâle ^(fr), hâve ^(fr)
• ブルガリア語: блед ^(bg) 男性 (bled)
• ヘブライ語: חור‎ ^(he) (heveir)
• ベラルーシ語: бле́дны ^(be) 男性 (bljédny)
• ペルシア語: کم رنگ‎ ^(fa)
• ポーランド語: blady ^(pl)
• ポルトガル語: pálido ^(pt), claro ^(pt)
• マオリ語: tihaere ^(mi), kōmā ^(mi), kōtea ^(mi), teatea ^(mi), kiritea ^(mi) (referring to complexion), horotea ^(mi), tūrehu ^(mi) (referring to skin), hina ^(mi), taitea ^(mi), mōtea ^(mi)
• マケドニア語: блед ^(mk) 男性 (bled)
• マダガスカル語: fotsy ^(mg)
• マレー語: pucat ^(ms)
• 南アルタイ語: куба ^(alt) (kuba)
• ラテン語: pallidus ^(la)
• ラトヴィア語: bāls ^(lv)
• ラトガリア語: buolgs ^(ltg)
• ルーマニア語: pal ^(ro), palid ^(ro)
• ロシア語: бле́дный ^(ru) (blédnyj)
• ワロン語: clair ^(wa) 男性
• 白苗語: nhạt, lợt

名詞

あわい【間】

1. 間（あいだ）、隙間、間隙。
   • 間近に迫った人家の屋根や雨に打れ風に曝された羽目を見、自分の立って居る型ばかりの縁先に眼を移し、その間（あわい） 、僅か十坪に足りない地面に、延び上るようにして生えて居る数本の樹木を見守った時、私は云いようのない窮屈さを感じた。（宮本百合子 『餌』）
   • 迫った落日の赤々とした陽光に照りはえて、伽藍を囲む築地塀は、尼僧の清さそのものを物語るかのごとくに白々と連なり、しかも、伽藍のあわいあわいにおい茂る春の木、初夏の木、常盤木は、まこと文字どおりの青葉ざかりでした。（佐々木味津三『右門捕物帖　京人形大尽』）
2. （古）関係。間柄。
3. （古）色の調和。