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鋭器損傷の一種であり、銃弾が高速で人体を侵襲するだけでなく火薬やガス等も関与し独特な成傷機転をもつ創傷 ウィキペディアから
銃創(じゅうそう)とは、鋭器損傷の一種であり、銃弾が高速で人体を侵襲するだけでなく火薬、ガス等も関与し独特な成傷機転をもつ創傷である。医学用語では射創(しゃそう、gunshot wound, 略称: GSW)と呼ぶ。
人体内に入った銃弾は弾道上の組織を挫滅させながら運動エネルギーの減衰分を放射状に発散して周囲の組織を圧排することで銃弾の直径よりも大きな一過性空隙を形成して、周囲組織を傷害しながら運動エネルギーがなくなるか、人体を貫通するまで進む。特に、銃弾の運動速度が水中の音速(厳密には生体中の音速)を大きく超える場合には衝撃波が体内に投射され、周囲の組織の圧排が大きくなる。そのため、「挫創(ざそう)」か「裂創(れっそう)」に分類される[1]。
銃弾の身体への侵入口を射入口 (entrance GSW)、体内の創洞を射創管 (wound track)、出口を射出口 (exit GSW) という。
銃口から人体の皮膚表面までの距離によって以下のように区別される。創の状態と弾丸の種類から撃たれた時の射撃距離を推測することができるため法医学においては重要な概念である。
疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)による分類ICD-10では(X85-Y09) 加害にもとづく傷害及び死亡などの形で以下のように分類している。
2016年、銃器による死者は世界全体で251,000人。そのうち161,000人(64%)が攻撃によるもの、67,500人(27%)が自殺、23,000 (9%) が事故によるものであった[2]。
一般的な死因には、出血による循環血液量減少性ショック、気胸による窒息、心臓や重要な血管、脳や中枢神経系の損傷などによるものである。 骨が破砕された場合、骨片が他の臓器などに被害を与え別の合併症を引き起こす[3]。
ゴム弾を至近距離から銃撃した場合、脳損傷、気管や動脈などへの致命傷、脊椎骨折などにより死亡する場合があるため低致死性兵器として扱われる[19][20]。
1990年-2017年の27年間のイスラエル、パレスチナ自治区、アメリカ、インド、北アイルランド、スイス、トルコ、ネパールなどの報告を調査し、負傷者1984人のうち53人(全体の3%)が死亡し、全生存者のうち約300人(15.5%)に失明や臓器摘出を行う必要のある傷など身体障害が残ることが判明している[21][20]。
それ以外でも、骨や筋肉に重傷を与えることがある[22]。
日本の戦国時代には、金創医という医者が従軍して弾を抉り出していた。また、民間療法で馬の糞から作られた馬糞汁を飲むのが良いとされた[23]。
1497年に、ドイツ人外科医(傷治療者:Wundarzt )Hieronymus Brunschwigは、世界で初めて銃創の治療(火薬の毒 Pfolspeundt、焼灼止血法)について記述した『Das buch der cirurgia: hantwirckung der wundarztny.』を執筆した[24]。
フランス王室公式外科医アンブロワーズ・パレは、焼灼止血法を止め、軟膏(卵黄・バラ油・松脂から作られた軟膏)による止血を導入し、1545年に銃創に関する論文を執筆した[24]。
1596年に、イギリス人外科医William Clowesは、創傷清拭、異物の摘出、創傷治療で焼灼止血をやめること、もともと弾丸は無毒だが発射前に弾丸に塗られた毒についての教科書を作成した[24]。
1880年代まで、銃創を治療するための一般的な方法は、医師が殺菌されていない指などを傷に入れて弾丸をほじくり返すことであった。1881年に暗殺された第20代アメリカ大統領ジェームズ・ガーフィールドは弾丸が見つからず、16人の医師が殺菌していない器具や手で弾丸を探し回ったため感染症となり死亡した[25][26]。
大統領の暗殺から二日後に、銃創治療の第一人者として知られるようになる医師George E. Goodfellowは、石鹸で手を洗い、銃で撃たれた患者の傷をウイスキーで消毒して、開腹術を行い命を救っている。
1895年に、レントゲンが発明され、体内に残った銃弾の位置が特定できるようになった[27]。
アメリカでは、1979年にAdvanced trauma life supportという二次救命処置(設備の整った病院での救命措置)を開発した[28]。
日本においては、2018年3月に2020年のオリンピックに向け、一般社団法人 日本外傷学会 東京オリンピック・パラリンピック特別委員会は『銃創・爆傷患者診療指針〔 Ver.1 〕』を作成した[29]。
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