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接合菌綱(せつごうきんこう Class Zygomycetes)は、接合菌門(Zygomycota)の中の分類群の一つ。接合菌門の内、一般的なカビに類するものが含まれる。ただし、菌界全体にわたる分類体系の見直しの中、2010年現在で、この綱そのものを解体する案が浮上、有力視されている。そのため、以下の記述はこの件に関するもの以外は、過去の分類体系によるものである。
一般的には菌糸を形成する糸状菌である。菌糸に隔壁のない多核体の菌糸体を形成するのが原始的なものと考えられる。ケカビなどは太くて、先端が細く樹枝状に枝分かれした菌糸を作り、古くなった部分や生殖器官の位置にだけ隔壁を生じる。トリモチカビ目のものは非常に細い菌糸を出す。キクセラ目やディマルガリス目のものは比較的一定の太さで、規則的な隔壁を生じる。ハエカビ目のものは菌糸があまり発達せず、太短い棒状の構造にとどまる例もある。トリモチカビ目の内部寄生のものにも菌糸がほとんど発達しない例がある。
有性生殖は、菌糸かそれに由来する配偶子嚢が互いに接触し、融合して接合胞子を形成することによる。接合胞子は接合胞子嚢の内部にただ1個だけ作られる。多くの場合、接合胞子嚢はほぼ球形で、厚い壁を持つ。その内部では両者の核が融合し、その後減数分裂を行い、その中から一つの核が発芽に与るが、このあたりの経緯にはいくつかの型がある。
接合と接合胞子嚢形成にはいくつかの型がある。
なお、単独でも接合胞子を形成するものを自家和合性、特定の株同士でなければ接合しないものを自家不和合性と言うが、後者に属するものがかなり多く、未だに接合の様子が知られていない分類群も多い。
子実体は、アツギケカビ目などで知られる。丸くて小さいものである。
様々な性格の菌種が含まれる。2000年代初頭において約1000種ほどが知られる。1980年頃までは、大きな菌糸体を作る、通常のカビ的なものをケカビ目にまとめ、菌糸体があまり発達しない、昆虫寄生のものをハエカビ目、線虫やアメーバなどに寄生する小型のものをトリモチカビ目とし、この3つで接合菌綱を構成させた。
1990年代においては普通は以下の7目を認めた。
2000年代初頭において、先述のようにグロムス目の独自性をさらに強く認め、独立門とする説なども認められつつあった。また、ハエカビ目に含まれている腐生菌のバシジオボルス類、ケカビ目に含めていたクサレケカビ類は独立目とする説が浮上している。また、これまではこの類とは関係を取りざたされていなかったもので、新たに問題となっているのがゲオシフォンである。これは、土壌性で嚢状の藻類様の生物で、実は菌糸内に藍藻が共生するという妙なもので、胞子などの菌類的な生殖器官はいっさい発見されておらず、分子系統のデータのみからグロムス類との関係が示唆されている。さらに2007年の英国菌学会報での発表では、接合菌綱そのものが解体され、その存在が認められないことになった。この体系では、以下のような形になっている。
なお、ハエカビ目に所属させていたバシジオボルスは、接合菌類とツボカビ門をつなぐ存在ではないかとされたこともあるが、現時点では所属不明との扱いになっており、ハエカビ亜門に含めていない。
その後も検討は続き、情報が集まるにつれてその系統関係も次第にはっきりしてきた結果、2023年時点ではケカビ亜目、クサレケカビ亜目、グロムス亜目をケカビ門 Mucoromycota に、トリモチカビ亜門、ハエカビ亜門、キックセラ亜門をトリモチカビ門 Zoopagomycota に纏める説が定着しつつある[1]。
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