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塩基性線維芽細胞増殖因子(えんきせいせんいがさいぼうぞうしょくいんし、英: basic fibroblast growth factor、略称: bFGF)またはFGF2、FGF-βは、FGF2遺伝子によってコードされる成長因子であり、シグナル伝達タンパク質である[5][6]。主に155アミノ酸のポリペプチドとして合成され、18 kDaのタンパク質となる。代替的開始コドンが存在し、N末端が41、46、55または133アミノ酸だけ伸びた、それぞれ22 kDa(196アミノ酸)、22.5 kDa(201アミノ酸)、24 kDa(210アミノ酸)、34 kDa(288アミノ酸)のタンパク質も産生される[7]。一般的に、18 kDa(155アミノ酸)の低分子量(LMW)型は細胞質に位置し、細胞から分泌されることもある一方で、高分子量(HMW)型は細胞核に送られる[8]。
線維芽細胞増殖因子(FGF)タンパク質は1975年に最初に精製されたが、そのすぐ後に他のグループによって異なる条件でbasic FGF、Heparin-binding growth factor-2、Endothelial cell growth factor-2が単離された。シーケンシングによってこれらは実際には同じFGF2タンパク質であり、FGFタンパク質ファミリーのメンバーであることが明らかにされた[7][9]。FGF2は特異的な線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)タンパク質に結合して効果を発揮する。FGFRも密接に関連したタンパク質ファミリーを構成している。
FGF2は多面的な作用を示す成長因子であり、血管新生に加えて神経系、肺、筋肉、骨、皮膚の発生への関与が示唆されている[10]。
正常な組織では、FGF2は基底膜や血管の内皮下層の細胞外マトリックスに存在している[11][12]。FGF2はシグナルペプチドを持たず、小胞体-ゴルジ体経路を介さない非典型的な経路で細胞膜へ埋め込まれ、細胞外へ分泌されていると考えられている[13]。基底膜に結合したFGF2はタンパク質分解やヘパラン硫酸分解酵素の作用によって解放され、可動性となった成長因子は内皮細胞に作用し、新たな血管の形成を媒介する[10]。
FGF2はヒトの脂肪細胞でも合成されて分泌され、血液試料中のFGF2の濃度はBMIと相関している。脂肪細胞から分泌されたFGF2は前骨芽細胞に作用し、FGFR1へ結合してPI3キナーゼを活性化して増殖を促進する[14]。
FGF2は心臓発作と関係した傷害から心臓を保護し、組織の死を低減させて再灌流後の機能改善を促進することが予備的な動物研究から示されている[15]。
また近年の研究では、FGF2レベルの低下は過度の不安と関係していることが示されている[16]。
FGF2はヒト胚性幹細胞の培地の重要な構成要素である。FGF2は細胞を未分化状態に維持するために必要であるが、その機構はあまり理解されていない。FGF2はグレムリンの発現を誘導し、グレムリンは骨形成タンパク質(BMP)による分化の誘導を阻害することが知られている[17]。FGF2はマウスのフィーダー細胞依存的な培養系でも、フィーダーフリー、無血清の培養系でも必要である[18]。FGF2はBMP4とともに幹細胞から中胚葉系細胞への分化を促進する。分化後、BMP4とFGF2で処理された細胞は未処理細胞と比較して一般的に骨形成性・軟骨形成性分化の量が多くなる[19]。しかしながら、低濃度のFGF2(10 ng/mL)は骨芽細胞の分化に阻害的な影響を与える可能性がある[20]。
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