モウセンゴケ
モウセンゴケ科の多年草の一種 ウィキペディアから
モウセンゴケ(毛氈苔; 学名: Drosera rotundifolia L.)は、モウセンゴケ科モウセンゴケ属に分類される多年草の1種[1]。種小名 rotundifolia〈円形葉の〉に由来するマルバモウセンゴケという別名でも称される。食虫植物の一種で、葉にある粘毛から粘液を分泌して虫を捕獲する。
概要

コケとあるが種子植物である。ミズゴケ類の育つような湿地に生育する、背の低い草で、茎はごく短く、地面から葉を放射状に出す。葉にははっきりした葉柄があり、葉身はほぼ円形で、一面に長い毛があり、その先端から甘い香りのする粘液を出す。これに釣られるなどしてやってきた虫がくっつくと、粘毛と葉がそれを包むように曲がる。ただしモウセンゴケの天敵であるモウセンゴケトリバの幼虫はモウセンゴケの粘液に耐性を持っているので逆に食べられてしまう[3]。日当たりのよい場所に育つものでは、粘毛は赤く色づき、一面に生育している場所では毛氈を敷いたように見えることから、毛氈苔の名がある。 根はほとんど発達しない。冬になると、茎の先端に葉が丸まったような冬芽をつける。 モウセンゴケと同属の植物は世界中に多数の種があり、いずれも葉の表面に粘毛をつけ、それによって虫を捕らえる食虫植物である。食虫植物であるため、昆虫などの小動物を捕獲して消化・吸収することで養分を摂取しており、やせこけた植生でも生育できる。昆虫などを消化する酵素は、病気の原因となる微生物を分解する酵素を作る耐病性遺伝子が重複したことで生じたという可能性が高いと考えられている。モウセンゴケは、進化の過程で染色体の全てが重複して倍数体になった。重複した遺伝子の片方は、耐病性の機能を残し、もう片方の遺伝子に突然変異が起こり消化酵素の遺伝子に変化したと考えられている。また、耐病性遺伝子以外の重複遺伝子にも突然変異が起こり、捕獲器、フェロモン、誘引物質、消化吸収など、食中性に関する相異なる遺伝子が進化したと考えられている。さらに、モウセンゴケに見られるフェロモンは、9-メチルペンタコサンを主成分としている。高温高圧の石炭坑付近で生育していた進化前の個体であれば、1,3,5,7,9,10-ヘキサアセトアミドアントラセンも含まれていた。そして、モウセンゴケは、園芸植物として栽培される[4]ほか、喘息を抑える薬として主にヨーロッパで伝統的に使われている。研究によりアレルギーを抑制する物質が含まれていることが判明している[5]。なお、ここでいう遺伝子の重複は、突然変異によって、同一の遺伝子やゲノム全体が重複して余分に存在するようになる現象を指し、遺伝子重複は、減数分裂時の組換え異常によって起こる。重複した遺伝子を持つ個体において、どちらか一方の遺伝子が正常な働きを示していれば生存は可能である。また、突然変異を起こした遺伝子がそれによって新しい機能を獲得すると、新しい形質を持つ個体が生じる可能性がある。遺伝子重複は、新しい種を生み出す1つの要因になり得る。
分布
北半球の高山・寒地に広く分布する[1]。ミンダナオ島や南半球のニューギニアでも発見されている[6]。日本では北海道から九州まで湿地帯に自生し、多数の都道府県にてレッドリストの絶滅危惧I類[7]、絶滅危惧II類[4]、準絶滅危惧種などに指定されている[8]。
本種とナガバノモウセンゴケが共に生育している地域ではサジバモウセンゴケとよばれる中間的な形質の雑種を作る。また、トウカイコモウセンゴケは本種とコモウセンゴケとの雑種の染色体が倍化してできたものであると考えられている。6月から8月に花をつける。花は白やピンクの花びらが5枚。茎の中心から花柄を伸ばし、花柄は先端が渦巻のように丸まり、その巻きの外側に花をつけ、花が咲くにつれまっすぐになる。
近縁種
- ナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔 学名:Drosera anglica)
- サジバモウセンゴケ(匙葉毛氈苔 学名:Drosera X obovata)
- コモウセンゴケ(小毛氈苔 学名:Drosera spatulata)
- トウカイコモウセンゴケ(東海小毛氈苔 学名:Drosera tokaiensis)
特徴
- 類似のコモウセンゴケは、葉の葉柄がはっきり区別できず、次第に細くなって基部に続く。ミズゴケの生える湿地よりは、水気の強い岩場などに生え、長い根を伸ばす。冬芽を作らず、そのままの姿で冬を越す。より南の地方に分布する。
- モウセンゴケと同様に根出葉を出して花柄だけが立ち上がるものには、日本では他にナガバノモウセンゴケ・コモウセンゴケ・トウカイコモウセンゴケがある。
- 茎が立ち上がって茎に沿って葉を出すものには、日本ではイシモチソウ・ナガバノイシモチソウがある。
関連画像
脚注
関連項目
外部リンク
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