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クトゥルフ神話に登場する地名 ウィキペディアから
ドリームランド(英語: Dreamlands)は、クトゥルフ神話に登場するハワード・フィリップス・ラヴクラフトが執筆した作品の舞台となっている架空の土地である。ドリームランドは異界に存在し、夢を見ることによって訪れることができるとされている。
邦訳は幻夢郷、幻夢境、夢の国など。
ダンセイニ卿の影響を受けてラヴクラフトが創造し、後にブライアン・ラムレイなどが設定を拡張した。
ファンタジー風の異世界であり、夢の深層に存在する。目覚めの世界とドリームランドでは、時間の流れが異なる。
目覚めの世界とドリームランドを行き来する手段を心得ている人のことを夢見人と呼ぶ。ただ眠っただけではドリームランドを訪れることはできない。まず通常の夢の中で、どこかにある「階段」を70段降りると、「炎の神殿」にたどり着き、神官ナシュトとカマン=ターにまみえる。そこからさらに700段の階段を降りると「門」に到達し、門を越えてようやくドリームランドに至る。
最初に描かれたのは『白い帆船』だが、このときは夢の中の世界であるという説明がなかった。その後、作品が順次書かれていき、最終的に『未知なるカダスを夢に求めて』でまとめ上げられる。
ラヴクラフトはダンセイニ卿の作品に感銘を受け、卿のペガーナ神話を真似て、異世界ドリームランドで蕃神と呼ばれる異形の神々による暗黒の神話大系を描き始めた。これが後に、目覚めの世界を舞台とするいわゆるクトゥルフ神話へと繋がっていく。またドリームランドの方もクトゥルフ神話内でワンジャンルをなすようになる[1][2][注 1]。
なおラヴクラフトが創造した邪神の代表例であるクトゥルフは夢に干渉する能力を持っているが、ドリームランドとの関係について、ラヴクラフトの作品では特に掘り下げはない。またダーレス神話ではドリームランドをほとんどスルーしているものの、一方で重要アイテム「五芒星形の石」(旧神の印)は古代ムナールが産地とされている[注 2]。
ラヴクラフトの作品においてドリームランドは固有名詞ではなく普通名詞であり、地球のみならずフォーマルハウトやアルデバランにもそれぞれのドリームランドが存在するが、それらに人間が到達することは非常に困難であるとされている[3]。地球のドリームランドはおおむね四つの地域に分かれている。
あらゆる夢見人の中でもっとも偉大な人物とされるクラネスが夢見て創造し、その王となったセレファイスがある。その彼方には、危険に満ちた禁断の地がある[4]。
炎の洞窟から700段の階を降りていくと「深き眠りの門」があり、ここがドリームランドの入口である。他の名所としてはドリームランド最大の都市のひとつであるダイラス=リーン、「何人たりとも猫を殺してはならぬ」と法律で定められたウルタール、交易都市フラニス、砂漠の町イラーネクなどがある。また伝説の地ムナールがあり、そこで産出される灰白色の石は旧神の印を刻むのに使われる[5]。ムナールの地はサルナスの廃墟があることでも知られている[注 3]。
オリアブ島があり、東方のダイラス=リーンから船で行くことが可能である。また『白い帆船』で語られている楽園の地が存在する。
畏怖されるレン高原が存在し、角と蹄を備えた亜人や紫色の蜘蛛が住んでいる[注 4]。レン高原の彼方にはカダスがあり、神族「大いなるものども」の居城が山頂に築かれている。
ドリームランドの地下には広大な空間が広がっており、様々な怪物が棲息している。また船を使えばドリームランドの月に行くことができ、そこにはヒキガエルのような月棲獣がいてナイアーラトテップに仕えている。
ドリームランドの全貌は夢見人ごとに少しずつ異なるらしく、夕映えの都を探し求めるランドルフ・カーターから助言を求められた大神官アタルは、その都はカーター個人の特別な夢の世界にだけ存在するのかもしれないと答えている。アタルによると、多くの者によく知られているドリームランドは「一般的な幻夢の地」である。
ラヴクラフト作品には登場しない、ブライアン・ラムレイのドリームランド作品の生物たち。ラムレイのドリームランドのシリーズは、2021年に日本語版第1巻が刊行された。
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