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サケ目サケ科の魚 ウィキペディアから
イワナ(岩魚、嘉魚、𩸶、鮇[注 1])は、サケ目サケ科イワナ属の魚。分類上は、イワナ属のうちの1種にイワナという和名がつけられているが、近縁種のオショロコマも含めて広義のイワナとして扱われることが多い。本稿ではイワナ、オショロコマを含むイワナ属の魚を総称して、イワナ類と呼ぶ。
イワナ類 | ||||||||||||||||||||||||
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ニッコウイワナ 上は厳冬期の体色が黒ずんだ個体 | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Salvelinus Richardson, 1836 | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Char Charr | ||||||||||||||||||||||||
下位分類 | ||||||||||||||||||||||||
本文参照 |
また地方によって、イモナ、イモウオ、エノハ(九州)、キリクチ(和歌山)、ゴギ(山陰)、タンブリ(山陰)などとも呼ばれている。
貪欲な肉食性で、動物性プランクトン、水棲昆虫、他の魚、サワガニ、河畔樹木から落下する虫、カエル、サンショウウオ、時に蛇などを食べる。産卵期は10月-1月頃で産卵床は本流に流入する支流が多い。2年魚以降で18cm-22cmを超えるとオス・メス共に性的に成熟し、数年にわたって繁殖行動を行なう。 受精卵は水温10℃で50日程度で孵化する。寿命は6年程度とされるが、人為的な飼育環境下では30年近く生きる場合もある[1]。厳冬期の個体は体色が黒ずんでいて、この黒ずみは釣り人の間で「さび」と呼ばれるが、水温が上昇し活発に摂餌する頃になると「さび」は消えていく。
日本のイワナ類のほとんどが一生を淡水で過ごす魚で、河川の最上流の冷水域などに生息する場合が多い。多くの種類が食用とされ、渓流釣りの対象魚としても人気がある。イワナ属には、世界で30数種が知られているが、その多くがスポーツフィッシングの対象魚として人気が高く、日本では俗に「渓流の王様」とも呼ばれている。餌に川虫、ミミズ、イクラ、チョウ、トンボ、蜘蛛、サワガニ、ウグイ、カエル等が用いられる。ルアーではスプーン、スピナー、小型のミノーが効果的。
現在の日本のイワナ類は、生息する地域、河川によって、形態が少しずつ異なる地域変異があり、いくつかの亜種に分ける分類もある。また、これらの亜種、地域変異の個体群は、かつてはすべてが別種であると扱う見解も主張されたことがある。しかし、その後そのような分類は同一種の地域的な変異を誤解したものであると指摘された。日本産のイワナ類がこのように大きな変異を持っている理由として、イワナ類の生息至適水温と過去の地球の気候の変化を挙げる見解がある(後述)。
また、イワナとヤマメは、いずれも上流域に生息するが、イワナの方がやや冷水を好む。それぞれが単独で生息する川では、どちらの魚も上流域を占有するが、両者が生息する川では、混在することなく、最上流域をイワナが、そして上流域のある地点を境に、それより下流をヤマメが占有するという事が生物学の棲み分けの一例としてしばしば紹介される。しかし砂防堰堤等により生息場所や産卵場所が限れたり、イワナ域とヤマメ域関係なく両者を混在し放流するなどが原因とみられるイワナとヤマメの交雑個体がみられる。(後述のカワサバを参照)
イワナ系、オショロコマ系以外にも、日本に人為的にカワマス、レイクトラウトなどが移入され、一部地域で外来種として定着している。また、イワナ類の種間、あるいはヤマメなどとは、自然状態で交雑が行われており、雑種が生息している地域もある。特に外来種のカワマスとは容易に交雑し、雑種一代目は成長はよいが繁殖力が落ちるため、純粋なイワナが滅びる可能性が懸念される。ヤマメと同様一般に各地で見られるイワナは、その多くが遊漁(釣り)目的に養魚繁殖魚を放流したものであり、これがその地域に本来生息していた個体と混血し、純粋な地域型個体が残っている河川はかなり少ないと考えられている。
世界的に見ると、イワナ類も他のサケ類と同様、成長過程で海に下り、成熟して川を遡上する降海型の生活史をもつ。しかし、イワナ類は、冷水環境を好む魚であり、日本産のイワナは、世界のイワナ類の中で最も緯度の低い、温暖な地方に生息する南限の種である。したがって、日本のイワナ類は、暖かい海には下らずに、冷水の流れる河川の源流付近に一生とどまる河川残留型(陸封型)の生活史をもつ場合が多い。日本のイワナ類で降海型の個体群は北陸地方以北で見られ、北海道産のイワナ(地域個体群)などが知られている。高緯度地域ほど降海個体が生じやすいが東京湾でも希に降海型と考えられる個体が捕獲されることがある[2]。
過去の氷期の寒冷気候の下では、日本のイワナ類も、海と河川を往復する降海型であったことが推測され、氷期の終焉に伴う気候の温暖化で、河川の上流域に陸封されたとされる。その後の長い年月の間に、各地方、各河川のイワナが、遺伝的な交流のない状態で独自に変化していったと考えられている。
こうして形成された隔離された個体群は、20世紀後半以降、開発による生息環境の減少、生息域を同じくする他の魚類や他亜種との競合、外来種の放流による競争、マニアによる乱獲などにより、その生存が脅かされている。特に、産地が限定される中部日本以西では深刻である。
体色は褐色から灰色。体には背部から側面にかけて、多数の白い斑点が散らばる。夏でも水温が摂氏15度以下の冷水を好む。個体の特徴は地方によって様々に異なるが、アメマス、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギの4亜種とする見解があった。1938年、大島はプルヴィウスが赤い斑点を持ったイワナであるとの前提の下で、日本のイワナをカラフトイワナ、ミヤベイワナ、エゾイワナ、プルヴィウスの四種に分類した。しかし、後にプルヴィウスが橙黄色の斑点を持つ種であったことに気付いた大島は、1961年、赤い斑点を持ちそれまでプルヴィウスとしていたイワナをヤマトイワナ、本来のプルヴィウスをニッコウイワナと改めて、その分類を修正した。したがって、カラフトイワナ、ミヤベイワナ、エゾイワナと合わせ、五種のイワナに分類されることとなった。これに対して、1967年、今西はカラフトイワナとミヤベイワナは同種(マルマ(オショロコマ))であり、エゾイワナとニッコウイワナとヤマトイワナも同種(リュウコメニス)であるとして、日本のイワナはマルマとリュウコメニスの二種であると主張した。今西は、それぞれのイワナに見られる差異は同一種による地方的変異に過ぎないとし、「日本のイワナの分類がはなはだしく混乱した理由の一つは、まったくこの亜種にさえも達しないクラインのなかの地方型を、ことさらに種に見立てようとして無理したからであった」と主張した(今西(1967))。現在、日本のイワナは二種であるという見解が一般的である。
アメマス(エゾイワナ)
IUCN レッドリストでは、キリクチを、英名 Kirikuchi char、学名 Salvelinus japonicus として、他のイワナとは別種として取り扱っており、単独で絶滅危惧種に指定している。また、環境省の絶滅のおそれのある地域個体群と1962年には奈良県の天然記念物に指定されている。2003年以降キリクチ個体群の保護及び増殖を目的とし、禁漁区の設定、密猟者の摘発、河川での淵(深み)の造成、競合するアマゴの除去などの施策が順次実施され、生息数の増加が報告されている[6]。
旬は5-6月から夏にかけて。塩焼きや唐揚げで食べることが多く、淡白な味の白身はヤマメと並び賞される。また焼いた岩魚に熱く燗をつけた日本酒を注いだものは骨酒と呼ばれ、野趣あふれる美味である。
養殖個体や河川残留個体(陸封個体)では寄生虫は検出されない事も多いが[23]、水域によっては異形吸虫科(横川吸虫に近縁の寄生虫)[24]や線虫[25][26]が検出される事がある。従って、生食をすると寄生虫症を発症することがある。
水域によって異なるが、ヤマメなどと共に産卵期間の10月から翌年2月から4月頃までを中心に、資源保護を主目的とした禁漁期間が設定されている。また、漁法(捕獲方法)と共に、捕獲可能な体長の制限がなされている場合も有る[27][28]。
下記自治体ではイワナを自治体の魚として指定している。
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