ウィキペディアから
1996年8月号の『LaLa』で掲載開始し、2001年より掲載誌を『月刊メロディ』に変更、同誌2005年5月号で完結した。
基本的に前後編の2話構成で連載され、「ZERO IV」、「VII」、「IX」、「X」、「XI」は完結編もプラスされ3話構成で掲載された。
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
西暦2000年8月、中国の実験用核爆弾が房総半島沖で爆発、日本は壊滅状態になってしまう。アメリカの手によって軍事基地「ZOO」が建設され、生き残った日本人が収容・管理されることになった。
17年後、ZOOで育った少年・ゲオは、仲間達と「Zero」という薬にハマっていた。これを飲んだ者は共通して、爆発が起こる以前の「自分の前世」の夢を見ることになる。
そんな中、突然仲間のカイエが何者かに殺されてしまう。嫌疑をかけられたゲオは、もう1人の容疑者・バツと共にZOOを脱走するが、それがきっかけで17年前の爆発が、日本にある世界最大のコンピュータ「ZIPANGU」を手に入れるためにZOOの元帥が仕組んだ「計画」だったことを知る。
ZOOの存在に疑念を抱いたゲオたちは、仲間のアギ・ザットと共にZOOの外のスラムへと脱出する。元帥の孫であるバツは、ZIPANGUを動かすための要となる「クリスタル・チップ」を父の形見として持っていた。それを狙う元帥は執拗にバツを追う。
一方Zeroの夢の世界では、不気味なコンピュータゲーム「PROJECT ZIPANGU」が流行り始める。選ばれた参加者に神々の称号「12天」が与えられるそのゲームは、ZIPANGUで世界を支配するプログラムの始まりだった…。
西暦2000年8月9日、日本を目標とする核爆弾投下プロジェクトの発動により、中国の核爆弾「小皇帝」が房総半島東側(千葉県旧大原町)に位置する横田理研所上空に投下され、同日14時14分17秒に爆発。この出来事は、表向きには「中国の核実験が行われる際、輸送途中にトラブルが起こり、太平洋側の日本近海に核がうちこまれてしまった」ということになっている。以降人々は、2000年のその「事故」以前を、旧暦として「ゼロ時代」と呼ぶようになる。
何百万人の犠牲者と都市機能の停止、瓦礫の中に充満する放射線に人々は首都を棄てる。最終的に生き残った3万弱の人々はZOOに収容された。
爆発の局部的な六フッ化ウランの燃焼によりオゾン層は消滅、宇宙からの放射線が降り注ぐ。地球規簿で温暖化、砂漠化が進行。日本は加速度を増して熱せられ、河川は干上がり、土は乾燥し、地形が原形をとどめられていない。爆発から17年後も放射能は消えていないものの、部分的に放射線が薄い部分ができてきている。砂漠は日較差が激しいため、昼は暑く、夜は寒い。
爆心地近辺の土では植物は育たず、わずかに生息する生物も、放射線の影響で巨大化などの染色体異常を起こしている。魚は、あらゆる汚染物質を食べて奇形と化している。
白血病・皮膚病・甲状腺ガンなど、人々にも放射線障害や紫外線による影響が多々出現している。特に砂漠での出生率は低く、障害を持って産まれることも多い。
アメリカが日本を監視するために作った、表向き日本援助を目的とする軍事基地。正式名称はZipangu of Outside Observation。「A」から「Z」まで、アルファベットの数だけ存在する。
収容された日本人で、6歳以上の者はバーコードをつけ、クラス編成され、学業・労働をする義務を負う。大人になるにしたがって、1日のプログラムが学業重視から仕事重視に変わっていき、半導体など基地に必要になるものをその都度造る。義務をまっとうすることで点数を得、生活することができる。逆に怠った場合は、体罰・減俸・残業などが課される。適度な運動、適度な余暇、適度な生活を管理され、飢餓も危険も無い毎日を送ることができるが、教えられる情報は体制側にとって都合のいいものとなっている。例えば、ZOOの外は紫外線と放射能汚染で生活できる環境ではないと言われているが、実際は廃都のような対米軍組織が存在したり、日本人の生き残りは10万人弱と言われているが、実際は3万人弱しかいないなど、情報と現実にかなり相違点がある。
作業着のようなユニフォームがある。
新都市のこと。爆発による放射線で汚染された首都に代わる新しい都市。米軍側の情報ではその存在はハッキリとされていなく、ZOOでは放射能を避けて移動し「東京」のまま存在するとの噂がある。
ZOOから来た者とZOOに収容されなかった者の約2000人で構成されている反ZOO体制組織。新宿に位置し、都庁の建物は廃都のシンボルになっている。
ZOOから逃げて来た者は全て受け入れており、傭兵として生活させている。元から住んでいる者が志願して傭兵になることも出来る。外部から入ってきた者は住宅区の外側の家が順番に仮屋として保護し、ある程度年配の者が家長を務めることになっている。
米軍は対立組織でありながら、ZOO内スペシャルAクラスのトップシークレットで街の存在を黙認している。その理由は相互利用にあり、米軍側がリニアでZOO-Zへ運ぶアヘンや物資を廃都側に略奪させる代わりに、廃都側はLSIを造り米軍側に提供する仕組み。また、互いにスパイを送り込み合っている。アヘンはもともと末期ガン患者のためのものだが、相互利用の旨としてはLSI工場で仕事の能率を上げるために利用される。飲めば眠らずに働く者もいるが、ミスも多くなる。
廃都側が提供するLSIは、一帯の磁気嵐を計算した上で、ZIPが電波障害による自動制御などで切れる直前に「ze ro o to ri mo do se」という画面表示が出るように細工された不良品。これらを潜入しているスパイ達がZIPに組み込み、米軍によるZIPの完成を妨害している。
廃都周辺は米軍のヘリが偵察のため定時巡回する。
都庁の42階には焼の部屋があり、タツローとの密会の場になっている。
米兵駐屯基地。米兵の一時訓練所。米兵はここから各ZOOへ配属される。
20階まであるがエレベーターは15階までしか行かない。10階から上は住宅区、17階より上へは士官クラスの兵しか入ることが出来ない。部屋は電子ロック。
アメリカからの空輸基地。八王子に位置する。物資はここからリニアで各ZOOへ運ばれる。
ZOO-ZからAIRまでをつなぎ、主にアメリカからの物資を各ZOOへ運ぶ役割を担う。ZOO-Zの人間と廃都の人間の相互利用にも使われる。
薬品名170-1248の通称。登録番号無し。モルヒネから抽出されたアヘンアルカロイドの混合物。いわば麻薬である。
末期ガン患者の痛み止めとして使用されているアヘンを原料にアギが開発。比較的高値で取引され、アギの造った薬から成分を調べて造る者も存在し、ZOO内外かなりの範囲に出回る。
本人の脳の記憶の一番楽しかった時期を思い出しやすいように手助けする作用があるだけで強い概念はない。しかし大部分の人間の脳の記憶がゼロ時代に固執しているため、ほとんどが2000年以前頃の自分(または自分の前世)の記憶の夢を見る。このことから「Zero」と呼ばれるようになる。
飲むと眠くなり、眠っている間は全身の力が抜けたようになる。後遺症も無く寝覚めがいいことや、通常の夢と違いリアルな「感覚」が得られることから、睡眠薬代わりや一種の娯楽として簡単に使用されていた。しかししばらくして、バッドトリップして暴れたり、夢遊病のような状態になったり、と副作用の出る者が現れ始める。
カイエの事件後ZOO内で本格的なチェックが行われ、2017年7月に全て没収・処分され禁止となる。しかし依然として出回り、その結果「Zero症候群患者」を大量に生み出すことになる。
白いカプセル剤であり、作中で「錠剤」「タブレット」と表されることがあるが、これは間違いである。
クリスタル・チップに入った、ZIPANGUによって世界を支配するプログラムの初期設定。ヒンドゥー教の物語風のゲームを終了させると、ゲームに参加した人物の中から、プログラム停止のキーワードを所有する12人(12天)と、プログラムを支配する2人(ミロク・ヴィシュヌ)が登録され、日本を目標とする核爆弾の着弾点が決定する。チップを持ち出し、解析を始めた横田らによって世間で謎のゲームとして広まり、全ての席がごく普通の生活を送る一般人によって埋められる。
環境の変化に適応するため、遺伝子の突然変異で生まれる半陰陽体。幼児期の死亡率の高い時期を越えたあとは、ほとんどが11-12歳くらいまでに分化する。ZOOではほとんど知られていないが、砂漠での出産率は高く、放射線の影響により染色体異常が起こったことで異常発生している。極端な女性減少の影響か、環境ホルモンの影響か、大抵女性に分化すると言われる。
作中でゲオやタツローが歌っているのは、ディズニーアニメ映画『ピーターパン』の主題歌である『右から2番目の星(The Second Star To The Right)』という歌である。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.