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ウクライナが開発した第3世代主力戦車 ウィキペディアから
ウクライナの独立により、同国きっての戦車・装甲車輌メーカーとなったO・O・モローゾヴ記念ハルキヴ機械製造設計局(以下、KhKBM)では、ウクライナの軍事面でのロシアからの独立を確立するため、独立ウクライナ最初の新型主力戦車の開発が開始された。部品の供給は、ソ連時代には連邦内各地の工場で製造されたものが当てられていたが、これをウクライナでは国内で賄うものとした。
まったく新しい車輌を開発するというのではなく、従来のものを改良するという実用性重視のソ連時代からの伝統に則って、KhKBMでは同局がソ連時代に開発したT-80UDをもとにこれを開発することとした。ムィハーイロ・ボルィシュークに率いられた設計チームにより開発作業が行われ、試作初号車は1994年末に製造された。
T-84と命名された新型戦車の製造は、モローゾフ設計局とV・O・マールィシェヴ記念工場で行われた。1999年よりウクライナ軍での運用が開始された。
T-84の特徴は、ソ連時代のロシア製鋳造砲塔にかわり採用されたウクライナ製の溶接砲塔、爆発反応装甲、赤外線測距儀、デジタル化された火器管制装置、自動装填装置、新しい1,200馬力のエンジン、衛星ナビゲーションシステム、ロシア製のTShU-1-7 シュトーラ1電子制御式対戦車ミサイル攪乱装置などである。ソ連時代のロシア製鋳造砲塔にかわってT-84に採用された溶接砲塔は、ウクライナからパキスタンへ輸出されたT-80UDの一部にも採用された。
主砲は、ソ連標準の口径125mm滑腔砲で、T-80UDから受け継がれたものであった。この戦車砲ではAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)、HEAT(対戦車榴弾)、HE(榴弾)、HE-FRAG(高性能榴弾)など、現代の主力戦車で運用される標準的な弾種が発射できる。
さらに、T-80で採用された9M119M レフレークス対戦車ミサイルの発射が可能である。9M119Mは、戦車から目標に対してビームを照射し、そのビームに乗ってミサイルが目標に向かう、ビームライディング誘導方式を採用している。亜音速で飛翔し、射程は5,000m程度、750-800mm程度の装甲(均質圧延鋼板換算)を貫通するとされる。T-84は、それまでのソ連の戦車と同様に自動装填装置を装備しており、装填手は搭乗していない。
防御装備として、新しい装甲システムのほか、対赤外線防御装置TShU-1-7 シュトーラ1を装備している。これは、地上・上空の敵からの赤外線暗視装置や、赤外線誘導方式の対戦車ミサイルに対して強力な赤外線を照射することにより妨害したり、敵のレーザー照射を妨害する装置で、電子制御で操作される。
T-84は、元となったT-80UD同様にディーゼルエンジン(水平対向ピストンエンジン)を搭載しているが、コンパクトかつ1,200馬力という優れた能力を持つ、この6TD-2エンジンにより26馬力/トンの出力重量比を得て世界有数の高速戦車となっている。
なお、同世代のロシア陸軍の戦車T-90は、18馬力/トン(総出力840馬力)のエンジンを搭載しており、走行能力もT-84より劣っている(T-72Bのエンジンをそのまま流用したT-90の機動力についてはロシア軍でも不十分とされていたようで、後に改良型のT-90Aでは1000馬力のエンジンを搭載し、出力重量比を21.5馬力/トンまで向上させている)。T-84では運用可能温度範囲も向上され、-40度から+55度までの範囲で車輌・乗員ともに安全な状態で運用ができる。
2018年4月、第14独立機械化旅団に配備された5両のT-84U オプロートが、ドイツでの多国間演習「ストロング・リゾルブ2018」と戦車競技「ストロング・ヨーロッパ2018」に参加した[3]。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻において、西部作戦管区第14独立機械化旅団に配備されたT-84U オプロートが実戦で使用された[4][5][6]。
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