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ガンダムシリーズの登場兵器 ウィキペディアから
Sガンダム(スペリオルガンダム、SUPERIOR GUNDAM)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」 (MS) のひとつ。初出は、1987年から1990年まで『モデルグラフィックス』誌上で連載されていた小説・フォトストーリー『ガンダム・センチネル』。
作中の登場勢力のひとつ「地球連邦軍」の試作機で、『機動戦士ガンダムΖΖ』の主役機「ΖΖガンダム」と同時期に開発された可変MS (TMS)。ΖΖガンダムと同じく機体を3機の航空機として分離・運用することが可能で、各種オプションパーツを追加・換装した複数の形態を持つ。制御系に特殊な人工知能を搭載しており、無人機としての運用も可能とされている。劇中では「α任務部隊」に配属された「リョウ・ルーツ」がメインパイロットを務め、連邦軍を離反した者たちで結成された敵勢力「ニューディサイズ」と戦う。
メカニックデザインはカトキハジメ(『センチネル』連載当時は「かときはじめ」)。
本来は表音表記そのまま「スペリオルガンダム」が正式な表記であるが、プラモデル化に際して「スペリオル」が既存の商標と抵触することが判明したため、接頭語をスペルの頭文字のみに略した「Sガンダム」(エスガンダム)が商品名となった[1]。これ以降は、紙媒体上の活字でももっぱら「Sガンダム」という略記で「エスガンダム」に改名されている。
『ガンダムセンチネル』の企画に参加したあさのまさひこは書籍のコラムに際し、バンダイからは「最強のガンダム」というコンセプトが提示され、企画当時には『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が公開前であったことから、『機動戦士Ζガンダム』や『機動戦士ガンダムΖΖ』に則したデザインが行われたと語っている。デザインにはΖΖガンダムに見られた変形・合体・分離の要素を取り入れつつ、設定画検討段階での仮称では「イオタ・ガンダム」の名で画稿が提出されている。この画稿に対し、当初は企画を行っていたモデルグラフィックスの編集部内でも「これはガンダムではない」賛否が分かれるものとなったが、その後、歴代のシリーズにおいて採用された赤・青・白のトリコロールで着色したところ、「ガンダムとして見える」との結論が出されたという。かときの案により、イオタ・ガンダムと呼称されていた。その後、『ガンダム・センチネル』製作陣に当時制作されていた『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の新ガンダムがHi-Sガンダムであるという情報が入り、この橋渡しとして「シュープリームガンダム」もしくは「スプリームガンダム」と読ませるSガンダムの呼称が持ち上がる。全国ホビーショーにおいてもこの呼称で展示が行われたが、商標が通らずスペリオル・ガンダムに訂正された[2]。
Sガンダム(スペリオルガンダム) Superior GUNDAM | |
---|---|
型式番号 | MSA-0011 (MSZ-011) |
所属 | 地球連邦軍 |
建造 | アナハイム・エレクトロニクス |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 25.18m |
頭頂高 | 21.73m |
本体重量 | 38.4t |
全備重量 | 73.0t |
装甲材質 | ガンダリウムγコンポジット |
出力 | 7,180kW |
推力 | 24,700kg×4 11,200kg×4 (総推力)143,600kg |
センサー 有効半径 | 18,800m |
武装 | 60mmバルカン砲×4 インコム(出力3.8MW) 背部ビームカノン(出力12MW)×2 大腿部ビームカノン(出力14MW)×2 ビームサーベル(出力0.9MW)×2 オプション ビームスマートガン(出力56MW) |
搭乗者 | リョウ・ルーツ シン・クリプト テックス・ウェスト |
その他 | 姿勢制御バーニア×15 |
アナハイム・エレクトロニクスがΖ計画における究極のガンダムを目指して開発した、第4世代MSに分類される機体[3]。開発当初のコードネームは「ι(イオタ)ガンダム」[4]。ΖΖガンダムと同時開発された機体である[5][6][注 1]。
SガンダムにはかつてのRX-78と同様にコア・ブロック・システムが導入され[9]、同システムの搭載によって各パーツが熱核反応炉とコクピットを持ち、分離しての行動が可能なAパーツ(上半身)、Bパーツ(下半身)、Cパーツ(コアブロック)で構成されている[3]。
また、ムーバブル・フレームは可変合体式であることに加え、自由度・フレーム数ともに通常の人型MSの2倍以上という高度な構造を採用し、計画当初より各部のユニット化によってミッションに応じて幅広いオプションが選択可能になっている[3]。その一方、機体のユニット化の進化と引き換えに構造は複雑化し、設計の困難さと高額化を招いている[3]。また、複雑な兵装システムや追加デバイスの管制を行うため、MSの無人化を最終目標とするALICEが搭載されており、戦闘時の高度な状況判断能力や搭乗者への助言、自動戦闘や自律行動さえも可能としている[10]。
Sガンダムは4機が製作され[11][12]、そのうち1機がα任務部隊に編入されたほか、ラサ近郊のネパール地区(当時、地球連邦軍の本部が置かれていた)に配備されたEx-Sガンダムの存在が知られている[13]。アナハイムではSガンダム4機と一部計画を除いたオプションが数セット分製作された[11]。ペーパー・プランも含めた数多くのバリエーションがあり、プラン・ナンバー100番台はノーマル仕様、200番台はExt、300番台がBst、400番台は100 - 300番台のいずれにも属さないプランとされていた[11]。
Sガンダムは分離してそれぞれが飛行形態をとることが可能となっており、標準形態でコア・ファイター「Gコア」・上半身部「Gアタッカー(Aパーツ)」・下半身部+ビームスマートガン「Gボマー(Bパーツ)」に分離できる。同様の機構をとるΖΖガンダムでは各パーツの分離時に推力の差が出たため、同時行動の際にバランスが悪かったものの、Sガンダムでは推力差が小さくなっている[20]。
メインパイロットは主人公リョウ・ルーツ。α任務部隊の主力として活躍した。封印したはずの「ALICE」が時折発動し、パイロットの操作を受け付けず勝手に敵を撃破する場面もあった。
作中ではペズン攻略戦と大気圏際での最終決戦に際して登場。ペズン攻略戦ではΖプラスやFAZZ他の僚機とともにニューディサイズのMS隊との戦闘を展開し、最終決戦ではトッシュ・クレイとファスト・サイドが乗り込んだモビルアーマー (MA) ゾディ・アックとジョッシュ・オフショーが操縦するゼク・ツヴァイ(連載版ではクレイとオフショーの乗るゼク・ツヴァイ2機)と交戦する。
物語終盤、大気圏上層でピンチに陥ったリョウたちを救うべく「ALICE」が覚醒し、彼らを脱出させるために機体を分離してGコアを強制排除する。その後、「ALICE」の制御により再度合体したA・Bパーツは、地球に降下しながらトッシュ・クレイが乗るシャトルもろともゾアンを撃破するが、そのまま大気圏に突入し、空力加熱によって燃え尽きたようである。また、そのことによる「ALICE」の復元不能を暗示するような描写がある。なお、Gコアは無事に大気圏へ突入し、友軍の回収部隊と合流している。
Ex-Sガンダム(イクスェス・ガンダム、Ex-S GUNDAM)は、Sガンダムの強化装備形態。正式名称はExtraordinary-Superior ガンダム(エクストローディナリィー-スペリオル・ガンダム、Extraordinary-Superior GUNDAM)である。
Ex-Sガンダム Ex-S GUNDAM | |
---|---|
型式番号 | MSA-0011[Ext] |
所属 | 地球連邦軍 |
建造 | アナハイム・エレクトロニクス社 |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 25.18m |
頭頂高 | 21.73m |
本体重量 | 69.24t |
全備重量 | 162.5t |
装甲材質 | ガンダリウムγコンポジット |
出力 | 12,250kW(Gクルーザーモード) 7,180kW(MSモード) |
推力 | 1,182,000kg |
センサー 有効半径 | 18,800m |
武装 | 60mmバルカン砲×4 テールスタビレータ部バルカン×4 インコム リフレクターインコム×2 背部ビームカノン×4 大腿部ビームカノン×2 Iフィールド発生器 ビームサーベル×2 オプション ビームスマートガン |
搭乗者 | リョウ・ルーツ |
その他 | 姿勢制御バーニア×15 |
Sガンダムに計8個の強化パーツを追加・交換した形態。Sガンダムは計画当初より多くのオプションパーツが作られていたが、RX-78からの念願であったMSと巡航形態の並立を可能とし、MSの戦闘力も極限まで高められている。一方、本形態はSガンダムと比較して8割もの質量増加がなされたため、追加パーツでは推力とプロペラント量を強化しており、バックパックだけでも11倍に強化されている。このバックパックはBst型と共通のもので、2基をスタビレーター基部に接続している[22]。「Ext.」は、「extraordinary=extra-ordinary」(常識外れな、桁違いな)を意味する[23]。
ガンダムタイプMSにおけるフルアーマーファミリーに属するが、機体と並行して設計されたものであり、Gクルーザーモードによって戦闘空域へ巡航した後、MS形態に変形する運用を主眼としている[24][25]。
上記の「Ex形態はあくまでGクルーザーに付随するもの」という設定を生かす形で、「GクルーザーありきのEx-S」としてカトキハジメのイラストによるリファイン版Ex-Sガンダムが発表された[29]。カトキはある種の最新稿にあたると説明している。
従来の設定に比べて肩と腰部ジャケット(主翼)が二周り以上大型化され、肩からは腕より長い大型プロペラントタンクを吊り下げている。このプロペラントタンクはMS形態時に切り離されるほか、ゲーム『ガンダムアサルトサヴァイブ』ではシールドとしても使用されている。また、脚を開いて機体正面前方に水平に構えたビームスマートガンに両手を沿えるポーズ、パステル調のキースフェリス風分割配色(いわゆるスプリッター迷彩)やグラフィカルなロゴマーキングなど、Ex-S本来の姿として描かれている。
立体造形では、『ガンダム・センチネル』別冊に1/144フルスクラッチ(胴体の基本寸法は旧キット)作例[30]が、ホビージャパン別冊『ガンダム・ウェポンズ』Sガンダム特集号にてMGをベースにした変形可能な改造作例が[要ページ番号]それぞれ掲載されているほか、玩具『GUNDAM FIX FIGURATION』でもこのスプリッター迷彩とマーキングの機体が発売されている[要出典]。
Sガンダムの下半身部(Bパーツ)の代わりにEx-Sのブースターユニットをアダプターを介して2基取り付け、バックパックもEx-S同様に2基取り付けて計4基のブースターユニットを接続した、高速高機動突撃戦仕様。MSとしては圧倒的な推力を有し、最大で10Gという加速性能を有する。
スペック上では地球低軌道から月軌道まで無補給で到達可能とされるが、継戦可能時間は非常に短い。MAに近い機体だが、各スタビレーターによって姿勢制御能力は通常型MSに劣らない[28]。しかし、高速巡航時は敵弾の回避などは困難であり、特に前方からの攻撃を受けると相対速度によりダメージが大きくなることから、対策としてExt型用の胸部Iフィールド・ジェネレータを装備することもある[31]。ブースターパックにはエネルギー供給用ムーバブル・フレームが設けられており、ビーム砲やスマートガンを接続できる。また、股部には多目的パックが備えられ、増加プロペラント・タンクを装備できる[28]。しかし、プロペラントは多くないことから、戦闘時間が短く用途は限定される[32]。
なお、ジオングとはフォルムもコンセプトも近似している部分が多いと言われる[33]。
ディープ・ストライカー DEEP STRIKER | |
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型式番号 | MSA-0011[Bst]PLAN 303E |
武装 | メガ粒子砲(主砲) ビーム・スマート・ガン 改良型ビーム・カノン Iフィールド発生器 |
Sガンダムの強化プランの一つ。その名の示す通り、莫大な加速力で敵陣深くに突入し、戦艦の主砲で一点突破(一撃離脱)を図るという強襲型のコンセプトである。Iフィールドジェネレーターをコクピット前面に配置して操縦士の生存性を高めているものの、実現には天文学的な予算が必要であることや、旋回性能などMSとしての機動性についてシミュレーション上で十分な性能が得られなかったことが災いし、結果としてMS部位の必要性が疑問視され、机上プランのみで終わっている[11]。本編小説パートには未登場。
随伴機として、Ex-Sガンダムのバックパックを装備したWR状態のΖプラス(MSZ-006C1[Bst] ハミングバード)も計画されたが、こちらも計画のみで終わっている。しかし、後にゲーム『Gジェネレーションジェネシス』に登場する際にMS形態が設定されている。
現実の世界では、当初Sガンダムの変形キットの具現化は困難ないし不可能とされていた。『ガンダム・センチネル』本編でも変形プロップは製作されず(変形シーンは特撮で処理された)、当時発売されたSガンダムのキットもすべて非変形となっていた。その後、プロモデラーによるフルスクラッチモデルで完全変形を実現したものがいくつかあったものの、一般ユーザーが手に取れる形での完全変形モデルの登場は無かった。
その後、マスターグレード(以下MG)において、2001年にセンチネルからFAZZとΖプラスが商品化され、2002年には完全変形を実現したMG SガンダムとMG Ex-Sガンダムが発売された。長らく不可能と思われたSガンダムの完全変形キットの登場であるとともに、一般ユーザーでも制作できる完全変形キットでもあった(ただし、各部のクリアランスの設定が絶妙であり、塗装を行うにはあらかじめ塗膜厚さ分のクリアランス加工が必要となる)[34]。Sガンダムは設定上通常のMSの2倍以上のフレーム数を持つとされているが、キットにおいてもそのパーツ数は通常のMGの倍以上であり、パーフェクトグレード(以下PG)に近いものを持っている。Ex-Sガンダムのパッケージ自体も、PG級のサイズである。
なお、2000年に登場したHGUC版では強度の都合で変形機構を組み込めなかったため、非変形となっている。その代わり、Sガンダムには同スケールのGコアが付属するほか、GアタッカーがEXモデルのラインナップに加わっている。
ディープ・ストライカーについては、2003年3月にGUNDAM FIX FIGURATIONで商品化され、2018年3月にはMG200作記念としてプラモデルが発売[35]。パーツ数・価格・パッケージサイズともにMGでは過去最大であり、PG並みとなっている。
2019年4月には、2003年版のMGキットにディープストライカーでの新規パーツなどを追加したリニューアル版が発売された。ランナーは49枚、Sガンダム用とEx-Sガンダム用がすべて入っており、どちらかを選択して組み立てる仕様となっている[4][36]。
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