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PeerCast(ピアキャスト)は、オープンソースで開発されているPeer to Peer方式のライブストリーミング配信ソフトウェアである。 広義にはそれを中心としたライブストリーミングネットワークやコミュニティのことを指す。 略称にピアキャス・PeCaなどがある。主にゲーム配信や雑談配信などで利用されている。
PeerCastは2002年にGiles Goddardによって、「誰でもラジオ放送ができるシステム」として開発された[1]。 ソースコードはGPLとして公開され、2007年に公式サイトが閉鎖された以降も有志によってフォークされ開発が続けられた。 主なフォークにはPeerCast IMがある。 また、新たにC#で書き直された互換クライアントであるPeerCastStationがkumaryuによって公開され、開発が続けられている。
Peer to Peerの技術を利用し、配信者から閲覧者へ、その閲覧者から他の閲覧者へと木構造のように配信する仕組み(リレー方式)を用いている。
PeerCastのストリーミング配信 | 一般的なストリーミング配信 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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一般的なストリーミング配信では、閲覧者全てが配信用のサーバにアクセスするため、閲覧者の需要量に応じて莫大な数のサーバや広域帯の回線が必要となるが、PeerCastでは上図のように配信者の負担は直接接続する閲覧者に対する帯域幅が確保されれば、特殊な機器を必要とせずに配信及び閲覧が可能である。一般的なパーソナルコンピュータのファイルのコピーや移動操作やソフトウェアをインストールする知識、ネットワークに関する各種設定の知識がある者なら手軽にストリーミング配信を行うことができる。
PeerCast自体はデータの送受信機能しか備えておらず、視聴をするためにはWindows Media PlayerやMPlayerなど、およびそれらに互換性のあるメディアプレーヤーなどが必要である。また、送り手として映像を配信するにはWindows Media EncoderやOpen Broadcaster Softwareなどのソフトウェアで映像をストリーミング用にエンコードする必要がある。
配信されるファイル形式はWMV・flv (映像向け)、MP3・OGG (音声向け)など配信者や配信場所により異なるため、それぞれのファイル形式を再生できるメディアプレイヤーを用意する必要がある。
最近ではYouTube、ニコニコ動画などにPeerCast配信動画が転載されるようになった。この他、平沢進のインタラクティブ・ライブの動画ストリーミング手段として用いられたことがある[2]。
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
Peer to Peerで通信を行うため、ルーターを用いている環境ではポートの開放作業が必要となる。これらを行わずに配信ないし受信を行おうとすると、うまく通信ができない場合がある上、PeerCastの特性上、配信がうまく行き渡らないといった問題が発生する。
ポートを開放したにも関わらず配信及び受信できない場合はプロバイダなどで通信規制が行われている場合がある。これはPeerCastがファイル共有ソフトにも使われるGnutellaを通信プロトコルとして使用しているため、規制の対象となっている可能性がある。
最上流に位置する配信者から下流の閲覧者に向かうリレー形式を採用しており、PeerCast方式の番組を一つのシステムとして喩えると、配信者は元より中間の閲覧者が故障するとシステム全体に影響を与えやすいフォールトトレラント性への課題がある。具体的には、リレーの上流にいる閲覧者のコンピュータの処理速度や通信速度が著しく遅い場合にはシステム全体のボトルネックになり、更に下流に位置する閲覧者への配信に影響を与える。
影響の状態としては頻繁にバッファへのデータ受信待ちが発生し、その結果、映像や音声が途切れたり、下流に閲覧者を従えている閲覧者が接続を切るとリレーを受けている下流の閲覧者が巻き添えとなり、再度リレー先を見つけるまでの間は受信できない状態が起きる。
閲覧者全員の配信が確立 | 閲覧者Bの切断により下流が断絶 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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個々の閲覧者は上流から配信されたデータを一時的に蓄え、下流閲覧者に向けてデータ転送を行うため、配信元から末端に向かうにつれ時差が大きくなる性質がある。
これらの性質を理解しない閲覧者が多ければ多いほど、こうした問題へのリスクが更に高まるため、多数の閲覧者が受信している配信を長時間安定した状態で視聴するためには、PeerCastの特性を理解した上で配信者及び閲覧者が自分の直下のノードにポート未開放だったり映像をアップロードするのに十分な帯域のないクライアントが接続できないようにするなど対策が必要である。
個人配信では、テレビ放送の番組などの映像や、手持ちの楽曲の配信などに使われていることも多いが、他者の著作物を無断で不特定多数のリスナーに配信することを著作権侵害としている国、地域もある。
日本では、2009年9月8日、PeerCastで劇場公開前の映画を配信していた者が著作権法違反(公衆送信権侵害)容疑で逮捕された[3]。また2010年2月22日には、PeerCastで権利者に無断で映画を配信していた者が著作権法違反(公衆送信権侵害)容疑で逮捕された[4]。
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