Kernel-based Virtual Machine
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Kernel-based Virtual Machine (KVM) は、Linuxカーネルをハイパーバイザとして機能させるための仮想化モジュールである。Linuxカーネルのメインラインにバージョン2.6.20でマージされ、このカーネルは、2007年2月5日にリリースされた[1]。KVMは、VTやAMD-Vなどのハードウェアの仮想化拡張を必要とする[2]。KVMは、他のオペレーティングシステム (OS) であるFreeBSD[3]やillumos[4]にも、ローダブル・カーネル・モジュールの形態で移植されている。
KVMはもともとx86プロセッサ向けに設計されたが、後にS/390[5]、PowerPC[6]、IA-64、ARM向けにも移植されている[7]。
KVMは、Linux、BSD、Solaris、Windows、Haiku、ReactOS、Plan 9、AROS Research Operating System[8]、macOS[9]など、非常に幅広いゲストOSに対してハードウェア支援仮想化を提供する。また、Android 2.2、GNU/Hurd[10](Debian K16)、Minix 3.1.2a、Solaris 10 U3、Darwin 8.0.1などのOSや上記OSの新しいバージョンでは、何らかの制限の元で動作することが知られている[11]。
さらに、KVMでVirtIO[12] APIを利用することで、Linux、OpenBSD[13]、FreeBSD[14]、NetBSD[15]、Plan 9[16]、WindowsのゲストOSに対して、準仮想化の機能も提供する。準仮想化対象には、準仮想イーサネットカード、ディスクI/Oコントローラー[17]、ゲストOSの仮想記憶管理の動作を変更するバルーンデバイス (balloon device)、SPICEまたはVMwareを使用したVGAグラフィックインタフェースも含まれる。
歴史
KVMの開発は、テクノロジーのスタートアップであるQumranetで、Avi Kivityにより始められた[18]。Qumranetは、2008年レッドハットに買収された[19]。
KVMは、Linuxカーネルのメインラインにバージョン2.6.20でマージされた。このLinuxカーネルは、2007年2月5日にリリースされた[20]。
KVMは、Paolo Bonziniによりメンテナンスされている[21]。
内部構造

KVM自体はエミュレーションは全く実行しない。そのかわりに、/dev/kvm
インタフェースを公開することによって、ユーザースペースのホストが以下の機能を利用できるようにする。
- ゲストVMのアドレス空間のセットアップ。ホストは、ゲストがメインOS内にブートストラップするために利用するファームウェアイメージ(通常、PCをエミュレートする時のカスタムBIOSである)も提供する必要がある。
- ゲストのシミュレートされたI/Oをフィード。
- ゲストのビデオディスプレイをシステムホストにマッピング。
Linuxでは、QEMUのバージョン0.10.1以降がユーザー空間のホストの1例である。QEMUは、ゲストをネイティブに近い速度で仮想化できる場合にはKVMを使うが、そうでない場合には、ソフトウェアのみのエミュレーションにフォールバックする[23]。
内部では、KVMは、16ビットx86BIOSのオープンソース実装としてSeaBIOSを利用している。
エミュレート対象ハードウェア
種別 | デバイス |
---|---|
ビデオカード | Cirrus CLGD 5446 PCI VGAカード、Bochs VESA拡張を利用したダミーVGAカード[24]、VirtIO、QXL VGA |
PCI | I440FX or Q35 |
入力デバイス | PS/2マウスおよびキーボード[24] |
サウンドカード | Sound Blaster 16、ENSONIQ AudioPCI ES1370 AC97、Gravis Ultrasound GF1、CS4231A compatible[24]、HD Audio |
イーサネット ネットワークカード | AMD Am79C970A(Am7990)、E1000(Intel 82540EM, 82573L, 82544GC)、NE2000、Realtek RTL8139、VirtIO |
ウォッチドッグタイマー | Intel 6300ESBまたはIB700 |
RAM | 50 MB - 32 TB |
CPU | 1 – 160 CPU |
グラフィカルな管理ツール

- Kimchi – ウェブベースのKVM仮想化管理ツール。
- Virtual Machine Manager – はKVMベースの仮想マシンの作成、編集、スタート、ストップに対応している。また、ホスト間でドラッグ・アンド・ドロップによるVMのライブまたはコールドマイグレーションもできる。
- Proxmox Virtual Environment – KVMとLXCを含むオープンソースの仮想化管理パッケージ。ベアメタルのインストーラ、ウェブベースのリモート管理GUI、HAクラスタースタック、統合ストレージ (unified storage)、柔軟なネットワーク管理 (flexible network)、オプションの商用サポートがある。
- OpenQRM – ヘテロジニアスなデータセンターのインフラストラクチャーを管理するための管理プラットフォーム。
- GNOME Boxes – Linux上のlibvirtのゲストを管理するためのGNOMEインタフェース。
- oVirt – libvirtを基盤に構築された、KVMのためのオープンソースの仮想化管理ツール。
ライセンス
KVMの各部品は、以下のように様々なGNUライセンスでライセンスされている[25]。
- KVM カーネルモジュール: GPL v2
- KVM ユーザモジュール: LGPL v2
- QEMU 仮想CPUコアライブラリ (libqemu.a) とQEMU PCシステムエミュレータ: LGPL
- LinuxユーザモードQEMUエミュレータ: GPL
- BIOSファイル (bios.bin, vgabios.bin, vgabios-cirrus.bin) : LGPL v2以降
関連項目
脚注・出典
外部リンク
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