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GEOTAIL(ジオテイル)は、宇宙科学研究所 (ISAS)とアメリカ航空宇宙局 (NASA) との国際協力の下、アメリカのケープカナベラル空軍基地のロケット射場からデルタIIロケットを使用して、1992年7月24日に打ち上げた磁気圏観測衛星。開発・製造は日本電気が担当した。当初3年半の寿命を見越して作成された衛星であったが、2022年11月28日に停波・運用が終了[3]されるまで30年以上にわたり運用が行われた。
磁気圏尾部観測衛星「GEOTAIL」 | |
---|---|
所属 | ISAS/JAXA, NASA |
主製造業者 | 日本電気 |
公式ページ | GEOTAIL Spacecraft |
国際標識番号 | 1992-044A |
カタログ番号 | 22049 |
状態 | 運用終了 |
目的 |
地球磁気圏尾部の構造とダイナミクスの研究 ISTP(太陽地球系物理学国際共同観測計画)への参加 |
観測対象 | 地球磁気圏 |
計画の期間 | 30年(実績) |
設計寿命 | 3年半 |
打上げ機 | デルタIIロケット |
打上げ日時 | 1992年7月24日 18:26 (EDT) |
運用終了日 | 2022年11月28日 |
停波日 | 2022年11月28日 14:07 (JST)[1] |
物理的特長 | |
本体寸法 | ⌀2.2m x 1.5m |
最大寸法 | 50m(アンテナ伸展時) |
質量 | 1,009kg |
発生電力 | 340W(寿命末期) |
主な推進器 | RCS |
姿勢制御方式 | スピン安定 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 楕円軌道 |
近点高度 (hp) | 57,000km |
遠点高度 (ha) | 200,000km |
軌道傾斜角 (i) | 29度 |
観測機器[2] | |
EFD |
球形プローブ ワイア・アンテナ |
MGF |
フラックスゲート磁力計 サーチコイル磁力計 |
LEP |
イオン/電子3次元速度関数分析器 太陽風イオン分析器 イオン質量/エネルギー分析器 |
CPI |
高温プラズマ分析器 太陽風イオン分析器 イオン質量/エネルギー分析器 |
HEP |
低エネルギー粒子検出器 イオン/電子バースト検出器 中間・高エネルギーイオン分析器 |
EPIC |
イオン荷電状態,質量・エネルギー分析器 イオンの質量・エネルギー分析器 |
PWI |
周波数掃引型スペクトル分析器 多チャンネルスペクトル分析器 |
宇宙科学研究所が探査機および搭載観測機器の約3分の2を提供し、NASAが打ち上げロケットと残りの観測機器を提供。
宇宙研究の主力三極(NASA、欧州宇宙機関、ISAS)によるISTP (太陽地球系物理学国際共同観測計画) において、既に打ち上げられていた他衛星群(IMP-8, WIND, INTERBALL, POLAR, EQUATOR-Sなど) と協力し、地球磁気圏尾部 (本衛星の命名の元で地球『地球 (Geo‐)』の『尻尾 (tail)』) の構造と動きを観測する事が目標であった。
磁気圏を幅広い範囲(地球の半径の8〜210倍)でカバーする軌道を持ち、衛星のテレメーター・データはISASの臼田宇宙空間観測所 (UDSC) とNASAやJPLの深宇宙ネットワークが受信。京都大学にてデータがデータベース化され、関係各研究機関にネットワーク越しに提供されている。
2004年12月28日の朝には、過去最大級の太陽系外天体からのガンマ線を観測した。
本衛星は1999年まで月スイングバイにより軌道変更を行っていた。このスイングバイの基礎データはひてんにより収集された。本機では磁気圏尾部を観測するため、まず月スイングバイで遠地点135 - 140万kmという長楕円軌道に移った。さらに磁気圏尾部は太陽の反対側(夜側)に長く伸びていることから月スイングバイを繰り返すことで地球が公転しても遠地点を常に夜側にキープさせていた。このような運用は1995年まで約2年間続けられ、月スイングバイは14回にも達している[4]。その後は遠地点高度を約30万km、20万kmと段階的に落とし、月遷移軌道から観測を続けた。その後、軌道・姿勢制御用燃料を使い果たしたため、月の摂動に任せて様々な軌道を辿っているが、その結果として、予想外の成果も得られている[5]。2022年6月には2基搭載されているデータレコーダが両系とも動作停止し、前述の通り同年11月に停波・運用を停止[1][3]した。
なお本衛星はJAXAで地球観測衛星に分類されてはいるものの、ひてんと同様のかなり高い軌道を飛行している。そのため運用面では月・惑星探査機と同様に扱われており、2010年時点ではあかつき・IKAROS(6月13日までははやぶさも)と一緒にISAS/JAXA相模原の深宇宙管制センターで運用されていた[6]。
あけぼのと共に以下のような多くの技術的チャレンジとその検証が行われた。
これらの技術は、火星探査機『のぞみ』や小惑星探査機『はやぶさ』などに使用されている。
搭載された機器は次の5種。
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