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デルタ II(デルタツー)は、アメリカ合衆国の人工衛星打ち上げ用使い捨てロケット。開発及び初期の製造はマクドネル・ダグラスが行なった。デルタロケットシリーズのロケットであり、1989年から2018年まで運用された[2]。デルタIIロケットにはデルタ6000、デルタ7000とその2種類の派生型デルタ7000(ライトおよびヘビー)がある。
ケープカナベラルからドーン探査機を打ち上げるデルタIIロケット | |
機能 | 人工衛星打ち上げロケット |
---|---|
製造 | ユナイテッド・ローンチ・アライアンス (ボーイング IDS) |
開発国 | アメリカ合衆国 |
打ち上げコスト (1987年) | US$3670万ドル |
大きさ | |
全高 | 38.2 - 39 m (125.3 - 127ft) |
直径 | 2.44 m (8 ft) |
質量 | 151,700 - 231,870 kg (334,300 - 511,180 lb) |
段数 | 2段または3段 |
積載量 | |
LEOへの ペイロード |
2,700 - 6,100 kg (5,960 - 13,440 lb) |
GTOへの ペイロード |
900 - 2,170 kg (1,980 - 4,790 lb) |
HCOへの ペイロード |
1,000 kg (2,200 lb) |
打ち上げ実績 | |
状態 | 退役 |
射場 | ケープカナベラル SLC-17 ヴァンデンバーグ空軍基地 SLC-2W |
総打ち上げ回数 | 153回 デルタ 6000: 17回 デルタ 7000: 130回 デルタ 7000H: 6回 |
成功 | 151回 デルタ 6000: 17回 デルタ 7000: 128回 デルタ 7000H: 6回 |
失敗 | 1回 (デルタ 7000) |
部分的成功 | 1回 (デルタ 7000) |
初打ち上げ | デルタ 6000: 1989年2月14日 デルタ 7000: 1990年11月26日 デルタ 7000H: 2003年7月8日 |
最終打ち上げ | デルタ 6000: 1992年7月24日 デルタ 7000: 2018年9月15日 デルタ 7000H: 2011年9月10日 |
補助ロケット (6000 シリーズ) - キャスター 4A | |
補助ロケット数 | 3, 4または9基 |
エンジン | 固体1基 |
推力 | 478.3 kN (107,530 lbf) |
比推力 | 266秒 |
燃焼時間 | 56秒 |
燃料 | 固体 |
補助ロケット(7000 シリーズ) - GEM 40 | |
補助ロケット数 | 3, 4または9基 |
エンジン | 固体1基 |
推力 | 492.9 kN (110,800 lbf) |
比推力 | 274秒 |
燃焼時間 | 64秒 |
燃料 | 固体 |
補助ロケット(7000 ヘビー) - GEM 46 | |
補助ロケット数 | 9基 |
エンジン | 固体1基 |
推力 | 628.3 kN (141,250 lbf) |
比推力 | 278秒 |
燃焼時間 | 75秒 |
燃料 | 固体 |
第1段 - ソー/デルタ XLT-C | |
1段目名称 | ソー/デルタ XLT-C |
1段目全長 | |
1段目直径 | |
エンジン | RS-27A[1]1基 |
推力 | 1,054.2 kN (237,000 lbf) |
比推力 | 302秒 |
燃焼時間 | 265秒 |
燃料 | RP-1/液体酸素 |
第2段 - デルタ K | |
2段目名称 | デルタ K |
2段目全長 | |
2段目直径 | |
エンジン | AJ-101基 |
推力 | 43.6 kN (9,800 lbf) |
比推力 | 319秒 |
燃焼時間 | 431秒 |
燃料 | 四酸化二窒素/エアロジン-50 |
第3段 - PAM-D (オプション) | |
3段目名称 | PAM-D (オプション) |
3段目全長 | |
3段目直径 | |
エンジン | スター48B1基 |
推力 | 66.0 kN (14,837 lbf) |
比推力 | 286秒 |
燃焼時間 | 87秒 |
燃料 | 固体燃料 |
デルタ IIは、マクドネルダグラスに次いで、ボーイング・インテグレイテッド・ディフェンス・システムズが製造を行い、2006年12月1日以降はユナイテッド・ローンチ・アライアンス (ULA) が製造した[3][4]。運用末期には、ULAがアメリカ政府向けの製造を担当し、ボーイング・ローンチ・サービシーズ (BLS) は民生・商業用途の製造を担当していた[5]。
全てのアメリカ合衆国の使い捨てロケットはスペースシャトルの就役によって一度廃止されたが、1986年のチャレンジャー号爆発事故によりデルタロケットも含めて、使い捨てロケットの開発が再開された。
デルタIIはGPSブロックIIシリーズの衛星の打ち上げに最適化した設計だった。GPS衛星以外の打ち上げも行なっており、デルタIIは運用終了までに多くの宇宙探査機の打ち上げに成功し、その中にはいくつかのNASAの火星探査機も含まれている。
デルタIIの組み立ては2008年時点においてアラバマ州Decatur、テキサス州ハッティントン、カリフォルニア州サンディエゴ、コロラド州デンバーで行われた[5]。
デルタIIは1度しか使用されない使い捨てロケットである。デルタIIロケットの構成は以下の通りである。
デルタIIシリーズは4桁で仕様を表記される[7]。
一例としてデルタ7925は延長型の1段目と9基のGEM補助ロケットと3段目にPAMを備える。デルタ7320は2段式で3基の補助ロケットを備える。
3種類のペイロードフェアリングが使用可能である。基本型はアルミ製のフェアリングで直径が9.5フィートである。10フィートのフェアリングは複合材製で前と後ろが著しくすぼまっている。10フィートのフェアリングは大型のペイロードにのみ使用される。
デルタIIシステムは153回使用された。2007年9月18日までに、デルタIIは75回連続で打ち上げに成功した[10]。これは近代的なロケットの記録である[11]。ツィクロン 2(現在は引退済み)に次いで、信頼性が高いシステムであり[12]、2007年には8機が打ち上げられた。 しかしながら、デルタIIシステムにも常に完全な打上げするわけではない。Koreasat-1の打ち上げは部分的に失敗で、ロケットが衛星を予定外の軌道に投入したが、衛星本体のエンジンで予定した軌道への投入に成功した[13]。
他の失敗として、1997年1月17日、デルタII7925は最初のGPS衛星ブロックIIRを搭載して打ち上げられた。GPS IIR-1は打ち上げてから13秒後に爆発して炎上し、その破片はケープカナベラル空軍基地の第17射場全体に降り注いだ。負傷者は無く、射場も深刻な破壊は無かったが、複数の車両が破壊され、建物が損傷した[14]。これは後に、補助ロケットにおける"17フィートの亀裂"が原因だったとの結論が出た[15]。
2007年のウォールストリート・ジャーナルの記事では、アメリカ空軍がデルタIIロケットの使用を継続しなかった場合に関して推測を行なっており[17]、ゴダード宇宙飛行センターのディレクターを1980年から1982年まで務めたトーマス・ヤングによると"その件に関して人々は心配している"との発言が紹介された。
2008年には、ULAは2011年のデルタIIの打ち上げ終了後にも"約半ダース"の売れ残りのデルタIIを持つことになるだろうと推定された[18]。この件に関してULAの広報担当者は、現在の中規模打ち上げロケットとしてデルタIIシステムの3基のいくつかを変更する契約が空軍と間にあったが終了したと表明した。この空軍との契約では、ケープカナベラルでULAが整備している2つの射場を用いて、デルタIIを40日以内に打ち上げ可能な状態を保つ事が要求されていたが、ULAは2つの射場をいついかなる時も打ち上げられるような状態を維持する事は出来なくなるという見方を示していた[18]。
2009年8月、NASA打ち上げ担当者にデルタIIロケットを現在の計画に追加するかも知れない事を打診した[19]。
2011年9月10日に月探査機GRAILが、同年10月28日に地球観測衛星スオミNPPが打ち上げられ、デルタIIロケットの在庫は残り5機となった。2012年から2013年にかけてこれらの活用が調整され、2017年までにNASAのSMAP (Soil Moisture Active-Passive)、OCO-2、JPSS-1 (Joint Polar Satellite System-1)、ICESat-2の4機の打ち上げに使われることになった[20]。
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