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L'Arc~en~Cielのインディーズシングル(1992年) ウィキペディアから
「Floods of tears/夜想花」(フラッズ・オブ・ティアーズ/やそうか) は、日本のロックバンド、L'Arc〜en〜Cielのインディーズシングル。1992年11月25日発売。発売元はNight Gallery Records。
「Floods of tears/夜想花」 | ||||||||||||||||
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L'Arc〜en〜Ciel の シングル | ||||||||||||||||
初出アルバム『DUNE』 | ||||||||||||||||
A面 |
Floods of tears 夜想花 | |||||||||||||||
リリース | ||||||||||||||||
規格 | 8cmシングル | |||||||||||||||
ジャンル |
ニュー・ウェーヴ ゴシック・ロック ロック | |||||||||||||||
レーベル | Night Gallery Records | |||||||||||||||
作詞・作曲 |
hyde (作詞) tetsu (作曲#1) ken (作曲#2) | |||||||||||||||
プロデュース | L'Arc〜en〜Ciel | |||||||||||||||
L'Arc〜en〜Ciel シングル 年表 | ||||||||||||||||
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映像作品『L'Arc-en-Ciel』以来約8ヶ月ぶりとなるL'Arc〜en〜Cielの公式作品で、バンド名義でCD作品をリリースするのは本作が初となった。また、本作はL'Arc〜en〜Cielがインディーズ期にリリースした唯一のシングル作品で、L'Arc〜en〜Cielにkenが正式加入してから発表した初の作品かつperoが在籍していたころのL'Arc〜en〜Cielが発表した最後の作品となっている。
本作の表題曲「Floods of tears」は、美しく絶妙なアルペジオと切ないメロディラインが印象的な楽曲に仕上げられている。この曲は、1993年4月に発表した1stアルバム『DUNE』にリアレンジ・リテイクバージョンが収録されている。アルバムバージョンの音源では、後藤新吾がディレクターを務めたミュージック・ビデオが製作されている。この映像は1993年10月21日に発表したクリップ集『TOUCH OF DUNE』に収録されている。ちなみにこのクリップ集は、10,000本限定販売でリリースされ、わずか1ヶ月で完売しているうえ、現在に至るまでBlu-ray Disc及びDVDで再販されておらず、他のメディアでも長らく配信されていなかった。ただ、2023年5月30日に『DUNE』の発売から30年を記念し制作されたリマスタリングアルバム『DUNE (Remastered 2023)』がリリースされたことに伴い、公式YouTubeアーティストチャンネルにおいて「Dune」「As if in a dream」の2曲と合わせ、この曲のミュージック・ビデオも無料公開されている。
もう一つの表題曲である「夜想花」は、心地よいアルペジオのループとサウンドエフェクト的なギターアプローチが印象的なダークなナンバーとなっている。(詳細は収録曲の項目を参照)
ちなみにkenは、両表題曲のレコーディングにおいて、クレジットに表記されていないが、ギターの他にキーボードも担当している[1]。キーボードを弾くことになった経緯について、kenは「キーボードも入れようって話になったんですけど、"誰が入れんのかな?"って思ってたら、何か流れが自然と俺の方にきた[1]」と後年に受けたインタビューで語っている。
本作はL'Arc〜en〜Cielとして記念すべき初のCDシングルとなっているが、必ずしもバンドの意向で発表された作品とはいえない背景が存在する。この当時L'Arc〜en〜Cielはインディーズレーベル、Night Gallery Recordsと契約し、アルバムレコーディングを進めていた[2]。ただ、メンバーは完成したアルバムの出来栄えに納得ができなかったため、アルバムの発売を中止してほしいとレーベルに相談したという。しかし、Night Gallery Records側から「メンバーの意向に関わらず、所有している原盤権を行使しアルバムをリリースする[3]」「発売を中止する場合、L'Arc〜en〜Cielがレコーディングに費やした制作費を全額支払うように」と回答があり、協議が難航してしまう。バンドがこのような状況下にあったため、レコーディングにかかった費用の一部を補填するという目的で、アルバムレコーディングで制作した「Floods of tears」と「夜想花」のシングル化が半ば強制的に決定されたという経緯がある。
なお、バンドのリーダーを務めるtetsuyaはNight Gallery Recordsとの協議が難航していた頃、L'Arc〜en〜Cielに興味を持っていたDanger Crue Recordsの代表である大石征裕との接触を図っていたという[4][3]。そして、この問題をtetsuyaから聞いた大石は、知り合いでもあったNight Gallery Recordsの社長、森田文章(DENDO MARIONETTE)と交渉することにした[5]。大石と森田の交渉の結果、「レコーディングにかかった経費をDanger Crue Recordsが負担することで、原盤権をDanger Crue Recordsに譲渡する[5]」ことが決まった。原盤権を手にした大石はL'Arc〜en〜Cielの意を汲み、シングル化が決まり事前予約も終わっていた2曲を除き、アルバムの音源をすべて廃棄することにしている[5]。そして本作発売の後、L'Arc〜en〜CielはDanger Crue Recordsと契約し、1stアルバム『DUNE』の制作に取り掛かることとなる。
ちなみにDanger Crue Recordsは、発売中止にしたアルバムの原盤権の他に[5][6]、1992年10月発売のオムニバスアルバム『Gimmick』に収録された「VOICE」[5][6]、そして本作の原盤と出版の権利も後に取得している[5][6]。大石は2020年に発表した自身の著書で、L'Arc〜en〜Cielとの出会いを振り返り、「ラルクとの関係は、揉めていた問題をクリアにすることから始まった[6]」と綴っている。
余談だがtetsuyaは、自身がリスペクトしているロックバンド、DEAD ENDが2005年に発表したベストアルバム『∞ (infinity)』にライナーノーツを寄稿している。このライナーノーツにおいて、tetsuyaは「かつてDEAD ENDが所属していたナイトギャラリーから、シングルをリリースできたことが嬉しかった[注 1]」とコメントを綴っている。このコメントから、tetsuyaが本作の発売自体を否定的には捉えていないことがうかがえる。また、tetsuyaは2022年に、自身がパーソナリティを務める番組にて、Night Gallery Recordsとの関係が上手くいかなかった理由を「同じ価値観、同じ理念を共有していない人とは、会話が成り立たないじゃないですか。共通言語がないから。それだけのことですね[7]」と述べている。また、本作発売の経緯を振り返り、tetsuyaは「まあ、どうしてもビジネスなんで、レコーディングするのにはお金かかりますから。お金かけて作ったものを発売して回収しないといけないわけですから。かけた分を回収できないとなるとねぇ、お金出した人からすると、何とか回収したいと思うじゃないですか。だから僕たちが"それは不本意なんで出したくない"って言っても、"いやいや、じゃあお金払ってよ"って話にもなりますし。それだけのことですね。だから、そんな(レコード会社側が)"悪意をもって騙してやろう"っていうことではなかった[7]」と同番組で語っている。
本作は、通常盤(CD)の1形態でリリースされている。なお、本作は1,000枚の数量限定で発売されており、事前予約分だけで完売を記録している。
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