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BV式ガスガン(BVしきガスガン)とは、1980年代に考案されたフルオートメカニズムを使用したエアソフトガンの商品種別である。
"BV式"とは"Bullet Valve"の略であり、「弾丸(Bullet)が放出弁(Valve)の役割をする」ことを意味したもので[1]、トイガン設計家の青谷三郎の造語である[2][注釈 1]。
史上初のBV式ガスガンは、1984年末に発表され[3]、1985年初旬に発売されたJACバトルマスター(BM-I) で、後に数多くのトイガンを開発・発売したことで著名となるアサヒファイアーアームズが開発し、JACによって販売された[4]。同年8月末には耐久性等の見直しを行ったJAC スターリング L2A3 (BM-II) が発売され[5]、BV式の人気は急上昇する。
この時代はホップアップシステムが開発されていなかったため、飛距離を伸ばすためにパワーを上げて対処することが多かった。BV式ガスガンは圧力に比例してパワーが上昇するという特性を持つため、性能向上が容易で、ユーザーの支持を得た。こうしてBV式はハイパワー時代、暗黒時代と呼ばれた80年代末期のサバイバルゲームの中心的役割を担った。
BV式ガスガンに3点バーストを初めて導入したのがアサヒ製 FN FNCで、銃身の前後を機械的に計測しトリガースイッチを切るシステムが考案され、ガス消費の面でも効率が向上した(「燃費が向上した」と俗称される)。その後、3点バースト機能はJACのMP5やM16A2にも搭載された。アサヒ FNCには実銃には存在しない2点バースト機能が存在した。
1990年代に入り電動ガンが東京マルイから発売されると、エアタンクやコンプレッサー等、銃以外の装備を多く持たなくてはならず、それでいて命中精度と燃費に難のあるBV式ガスガンはユーザーの支持を失い、電動ガンに主力の座を譲り渡すことになる。同時にバブル崩壊も重なって、JACをはじめとするBV式を製造していたメーカーが相次いでエアソフトガン業界から撤退していった。
また、ホップアップ機構が一般的に使用されるようになり低いパワーでも飛距離を得られるようになると、ゲームの安全のために雑誌が提唱した1Jルールが瞬く間に広がった。それによって「圧力に比例してパワーが上昇する」というBV式の特性がデメリットに変わることとなった。圧力によっては発射エネルギーが1Jを超えてしまうものもあるBV式ガスガンは、周囲から危険視されることも少なくなかった。
2006年に施行された改正銃刀法によって、今ではほとんどのBV式ガスガンがリミッターやリリーフバルブといった部品を組み込まない限り所持不可能となっている。しかし、BV式ガスガンは完全に絶滅しておらず、そのユニットのシンプルさや堅牢さ、独特の発射音などを好む愛好者が現在でも存在している。また2007年4月には、M&G社からどんなに高い気圧のパワーソースを接続しても0.989Jを超えない安全機構の備えられたBV式ガスガン、M4A1が発売された。
BV式ガスガンは発射ノズルやピストン、シリンダーを持たない非常にシンプルな構造で有名であるが[8]、銃身が前後する、マガジン内部が加圧されるといった一般的なエアソフトガンとは大きく異なる特徴を持つ。BV式はギアやハンマーはおろかピストンやシリンダーさえ持たない特殊な構造であり、かつ銃口からのみエアが放出されるために、消音性能が極めて高い。
BV式ガスガンは以下のパーツによって構成されている。
BV式はフルオート射撃が可能な点、パワーが高かったことから、特に1980年代後半から1990年代前半のサバイバルゲーム用エアソフトガンに多用された。しかし21世紀に入って後、命中精度の低さやパワーソースとなるガスもしくは圧縮空気の消費量が多い(「燃費が悪い」と称される)からサバイバルゲームに使用されることは少なく、一部愛好者が使うにとどまっている。また、フィールドやチームのレギュレーションで使用が禁止されている場合もあり、そのためたとえリミッター等を組み込むなどして銃刀法のパワーの問題をクリアしていたとしても使用できないこともある。
BV式はその構造と作動原理から命中精度が低いため、精密射撃には向かないとされる。
しかし、電動式エアガンの登場以前は安定したフルオート射撃が可能な模擬銃としてはBV式のエアソフトガンは唯一のものと言ってもよく、軍や警察の訓練に用いるケースもあり、アサヒのFNCは沖縄の米軍に訓練用として使用されたことがある。
電動ガンが主流となる以前はサバイバルゲームのフィールドで一般的に使用されていたこともあり、カスタムの範囲は広かった。
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