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BACnet は、インテリジェントビル用ネットワークのための通信プロトコル規格である。ASHRAE、ANSI、ISOでの標準規格とされている。Building Automation and Control Networking protocol の略。空調、照明、アクセス制御、火気検出などの総合的制御に使われる。BACnet プロトコルは、各種機器がメーカー固有の仕様であっても、共通なインタフェースを介することですべて接続し、監視できる。
BACnet プロトコルは1987年6月、テネシー州ナッシュビルで行われた Standard Project Committee (SPC) の会合が発端となって開発された。同委員会の初代委員長であった H. Michael Newman がその会合での議長を務めた。その会合で良いプロトコルに求められる次のような条件が生み出され、それに基づいて BACnet が開発された。
同委員会は、標準策定のための作業を複数のワーキンググループで行うことで合意した。ワーキンググループは特定の分野に注力し、委員会に情報と勧告案を提出する。当初結成されたワーキンググループは、データ型と属性に関するワーキンググループ、基本データ形式に関するワーキンググループ、アプリケーションサービスに関するワーキンググループであった。
BACnet は、1995年に ASHRAE/ANSI Standard 135、および2003年に ISO 16484-5 として採用された。BACnet 準拠であることの検証手法は2003年、BSR/ASHRAE Standard 135.1 として公表された。BACnet についてはその後も ASHRAE Standing Standard Project Committee 135 が保守を行っている。
BACnet は空調設備業界では即座に影響があり、1996年にはシーメンス(Siemens Building Technologies)が採用した。それ以前にもいくつかの企業が BACnet 対応機器を開発していたが、同じ1996年、Alerton が空調制御に関する総合的な BACnet 製品群を発表。Automated Logic Corporation と Delta Controls がこれに即座に追随した。他にも現在では、Johnson Controls、Teletrol Systems、TAC、KMC、Reliable Controls などが BACnet 製品を発売している。
コーネル大学の H. Michael Newman は2000年6月まで BACnet 委員会の委員長を務め、後任にはNISTの Steven Bushby が就任した。Bushby が委員長を務める間の4年間に BACnet 標準は2回改版され(2001年と2004年)、新たな機能が追加されていった。2001年版では、特に火災などの安全関係のシステムへの拡張が行われた。2004年6月、新たに Alerton の William Swan が委員長に就任。彼の在任中にワーキンググループは11に増やされ、照明、アクセス制御、電力設備、無線通信などへの対応が検討されるようになった。
2006年1月、BACnet Manufacturers Association と BACnet Interest Group of North America が合併し、BACnet International が結成された。BACnet International には関連する様々な組織が加盟しており、BACnet の普及推進を行っている。
ANSI/ASHRAE 135-1995 以降、ANSI/ASHRAE 135-2001, 135-2004, 135-2008, 135-2010, 135-2012 が発行され、2019年10月時点の最新は 135-2016 である[1]。
テスト版の規格に ANSI/ASHRAE 135.1があり、ANSI/ASHRAE 135.1-2003 以降、ANSI/ASHRAE 135.1-2007, 2009, 2011, 2013 が発行され、2019年10月時点の最新は 2019 である[2]。
日本では、電気設備学会(IEIEJ)が BACnet の ASHRAE/ANSI Standard 135-1995 に、積算、電力デマンド等の独自の拡張を加えた「BAS標準インタフェース」(IEIEJ-P-0003:2000)を発行した(通称、IEIEJp)[3]。しかし、BACnet との相互接続ができない仕様であったため、2002年にアデンダムA(IEIEIJ-P-003:2000-a)を策定した(通称、IEIEJp-A)。しかし、IEIEJp-A を使っても完全な相互運用性は達成できておらず、問題を残している。[4]
2006年9月に、電気設備学会は、ASHRAE/ANSI Standard 135-2004 をベースにした、「BACnetシステムインターオペラビリティガイドライン」(IEIEJ-G-0006:2006)を発行している。2017年3月に ASHRAE 135-2012 に対応する改定を行った(IEIEJ-G-0006:2017)。2019年5月に、ANSI/ASHRAE Standard 135-2016 の対応を追加する、「BACnetシステムインターオペラビリティガイドライン(追補)」(IEIEJ-G-0008:2019)を発行している。
BACnet プロトコルは、各種機器間の通信で使われるサービスを定義している。プロトコルサービスには、Who-Is、I-Am、Who-Has、I-Have といった機器およびオブジェクト発見に使われるものもある。Read-Property、Write-Property といったサービスはデータ共有に使われる。
サービスを使って動作するオブジェクトも各種定義されている。Analog Input、Analog Output、Analog Value、Binary Input、Binary Output、Binary Value、Multi-State Input、Multi-State Output、Calendar、Event-Enrollment、File、Notification-Class、Group、Loop、Program、Schedule、Command、Device などである。
データリンク層と物理層はいくつかの定義があり、アークネット、イーサネット、BACnet/IP、P2P over RS-232、マスタースレーブ/トークンパッシング over RS-485、LonTalk などがある。
BACnetでは、UDPポート番号「47808」が使われる。ちなみに、「47808」を16進数に変換すると「BAC0」になる。
BACnetテストラボは、承諾および相互運用性テストサポートを提供するためにBACnet Internationalにより設立された。これは、BTLのマネージャーおよびBTL-WGで構成されている。 BTL活動は以下のようになっている。
またBTLは、BACnetラボでテストサービスを提供している。BACnet InternationalとBTLは、BACnet機器[5]のテストラボを設立・支援することでSoftDEL Systems と合意に達した。SoftDEL[6] の本部はインド・プネーにあり、最先端の研究施設やBAC-netテストラボなど世界レベルの革新的な設備を有している。
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