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2022年オーストラリア総選挙(英語: 2022 Australian federal election)は、2022年5月21日にオーストラリアで行われた連邦議会(上院・下院)議員(第47期)の総選挙である。
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代議院の選挙区別結果。灰色は不明。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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上院(元老院)と下院(代議院)の両院で実施された[2]。上院76議席のうち40議席と、下院151議席全てが選挙にかけられた。
5月21日午前8時から午後6時まで投票が行われたのち、午後10時には労働党勝利および9年ぶりの政権交代の見通しがABCニュースに報じられた[3]。自由党はジョシュ・フライデンバーグ副党首が落選したように議席の3分の1を失う敗北を喫し、労働党も勝利こそしたが得票率32%で過半数には届かなかった[4]。一方、下院では無所属の増加が目立った。緑の党も上下院ともに伸ばした。スコット・モリソン首相は敗北宣言とともに党首辞任を発表し、5月23日にアンソニー・アルバニージーが首相に就任した[5]。
労働党の勝利祝賀会において、アルバニージーはまずアボリジニやトレス海峡諸島民がオーストラリアの先住民であると認め、先住民の諮問機関「議会への声」を設置することを憲法に盛り込むことの是非を問う国民投票を3年の任期中に実施すると改めて述べた[6]。また、演説後の取材では、米英との安全保障の枠組み・AUKUSを強く支持していると語った。さらに、気候変動対策で世界のリーダーとなることを望んでいるとした[4]。
現職・スコット・モリソン率いる自由党に、野党だった労働党が勝利し、9年ぶりの政権交代が実現した。労働党党首のアンソニー・アルバニージーが新首相に就任した。
スコット・モリソン首相が率いる与党・保守連合の続投となるのか、最大野党・労働党が約9年ぶりに政権を奪取するのか注目が集まっていた[2]。第2次モリソン政権下での主な出来事として、以下のものがある。
2019年12月には、国内が長期的な森林火災に見舞われている中、ハワイで前倒しのクリスマス休暇を過ごしていたことが、大きな批判を浴びた[11]。これに関連して、気候変動への無関心も非難された。また、21年9月にはロックダウン下にプライベートジェット移動により制限を免除されて家族に会いに行ったことが批判された[12]。
モリソン首相は、COVID-19感染拡大を抑制し、経済回復を主導したことを強調している。2022/23年度予算案では、燃料税率の半減や低・中所得者の個人所得税控除などの家計支援策のほか、各州のインフラ整備や水素などの低排出技術への投資に追加拠出する方針を打ち出している[2]。
労働党は、モリソンの山火事対応やCOVID-19対応などの失敗を強く批判。医療システムの強化、雇用創出や労働条件の改善、子育て支援、国内製造業の強化などを公約に掲げている[2]。また、気候変動対策への取り組みが与党との大きな違いの一つで、2005年に対する2030年の温室効果ガス排出削減率を43%としている(与党は28%[4][13])。このため、電気自動車 (EV) への支援を強化し、2030年までに全電源に占める再生可能エネルギーの割合を最低80%とする一方、国の産業である炭鉱の新規開発や拡大は認める方針。
野党・労働党が75議席を獲得して勝利し、2013年以来9年ぶりとなる政権交代が実現した。与党・自由党は改選前3分の1となる18議席を失い、敗北した。しかし、労働党の得票率が大きく伸びたわけではなく、保守連合の失った議席の5分の2を無所属の候補が奪った点が特徴である。
モリソン首相は中国への強硬姿勢や安全保障面での実績を強調したが、アルバニージー労働党党首は外交・安保で保守連合と政策に違いがないとして争点にせず、経済や社会保障をアピールポイントにした[14][15][13]。国民もまた直面するインフレに関心を高め、世論調査では選挙戦の争点に「生活費」を挙げた国民は半数を超えた。実際、オーストラリアでは22年1月から3月までの物価上昇率が5.1%と過去20年で最高水準に達した。
党派 | 獲得 議席 |
増減 | 得票数 | 得票率 | 改選前 | 非改選 | 議席計 | ||
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自由党/国民党(合同) | 5 | 2,997,004 | 19.93% | 5 | 6 | 11 | |||
クイーンズランド自由国民党 | 2 | 1 | 1,061,638 | 7.06% | 3 | 3 | 5 | ||
オーストラリア自由党 | 7 | 2 | 1,052,571 | 7.00% | 9 | 8 | 15 | ||
地方自由党 | 1 | 32,846 | 0.22% | 1 | 0 | 1 | |||
オーストラリア国民党 | 0 | 3,969 | 0.03% | 0 | 0 | 0 | |||
オーストラリア労働党 | 15 | 4,525,598 | 30.09% | 15 | 11 | 26 | |||
オーストラリア緑の党 | 6 | 3 | 1,903,403 | 12.66% | 3 | 6 | 12 | ||
ワン・ネイション | 1 | 644,744 | 4.29% | 1 | 1 | 2 | |||
統一オーストラリア党 | 1 | 1 | 520,520 | 3.46% | 0 | 0 | 1 | ||
デビッド・ポーコック | 1 | 1 | 60,406 | 0.40% | 0 | 0 | 1 | ||
ジャッキー・ランビー・ネットワーク | 1 | 1 | 31,203 | 0.21% | 0 | 1 | 2 | ||
大麻合法化党 | 0 | 501,421 | 3.33% | 0 | 0 | 0 | |||
自由民主党 | 0 | 340,132 | 2.26% | 0 | 0 | 0 | |||
動物の正義党 | 0 | 240,696 | 1.60% | 0 | 0 | 0 | |||
レックス・パトリック・チーム | 0 | 1 | 23,425 | 0.16% | 1 | 0 | 0 | ||
諸派 | 0 | 1,101,082 | 7.32% | 0 | 0 | 0 | |||
欠員 | 0 | 2 | - | - | 2 | 4 | 4 | ||
総計 | 40 | 15,040,658 | 100.0% | 40 | 40 | 80 | |||
有効票数(有効率) | 15,040,658 | 96.58% | - | - | - | ||||
無効票数(無効率) | 532,003 | 3.42% | - | - | - | ||||
投票総数(投票率) | 15,572,661 | 90.47% | - | - | - | ||||
棄権者数(棄権率) | 1,640,772 | 9.53% | - | - | - | ||||
有権者数 | 17,213,433 | 100.0% | - | - | - | ||||
出典:投開票(AEC)/議席(ABC) |
党派 | 獲得 議席 |
増減 | 得票数 | 得票率 | 改選前 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
オーストラリア自由党 | 27 | 17 | 3,502,713 | 23.89% | 44 | ||
クイーンズランド自由国民党 | 21 | 2 | 1,172,515 | 8.00% | 23 | ||
オーストラリア国民党 | 10 | 528,442 | 3.60% | 10 | |||
地方自由党 | 0 | 29,664 | 0.20% | 0 | |||
オーストラリア労働党 | 77 | 9 | 4,776,030 | 32.58% | 68 | ||
オーストラリア緑の党 | 4 | 3 | 1,795,985 | 12.25% | 1 | ||
カッターのオーストラリア党 | 1 | 55,863 | 0.38% | 1 | |||
中道連合 | 1 | 36,500 | 0.25% | 1 | |||
ワン・ネイション | 0 | 727,464 | 4.96% | 0 | |||
統一オーストラリア党 | 0 | 604,536 | 4.12% | 0 | |||
諸派 | 0 | 653,161 | 4.46% | 0 | |||
無所属 | 10 | 7 | 776,169 | 5.29% | 3 | ||
二党間選好得票 | |||||||
総計 | 151 | 14,659,042 | 100.0% | 151 | |||
有効票数(有効率) | 14,659,042 | 94.81% | - | ||||
無効票数(無効率) | 802,337 | 5.19% | - | ||||
投票総数(投票率) | 15,461,379 | 89.82% | - | ||||
棄権者数(棄権率) | 1,752,054 | 10.18% | - | ||||
有権者数 | 17,213,433 | 100.0% | - | ||||
出典:投開票/議席(AEC) |
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