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化粧品の一つ ウィキペディアから
香水(こうすい、仏語:parfum、英語: perfume、ドイツ語: Parfüm)は、油状や固体の香料をアルコール(酒精)で溶解した溶液[1]で、体や衣服に付け、香りを楽しむための化粧品の一種である。
もともと宗教的な用途や薬用として使われていたが、近代以降、楽しみやたしなみとしての香水が生まれた。香料をアルコールなどの溶剤に溶かして作られるものが多いが、他にもワックスに練り込まれた固形状の物などもある。現在では数多くのブランドが生まれている。
装飾品同様、定番のブランドがある一方で、新商品、季節限定商品が市場で注目されることも多い。女優などが自分の名前を冠した商品やブランドを立ち上げることもある。
香水は付けた人間の体臭と混ざり合って香りを演出するので、液体の香りそのものからは身に付けた際の香りを知ることはできない。肌の酸性度(pH - ペーハー)、水分量、皮脂量が各人異なるうえ、皮膚を構成するタンパク質の末端のアミノ酸の違いで飛ばされる香料と残される香料に個人差がある。また、香りは時間がたつにつれて変化する。香水をつけて10分くらいの香りをトップ・ノート、少し時間が経って20分から30分ぐらいの香りをミドル・ノート、大分時間が経って消えてしまうまでの香りをラスト・ノートという。変化のしかたや早さは、濃度や商品によってさまざまである。
揮発性を利用することから、一般的には体温の高い脈打つ場所につける。特にひじの内側につけると皮膚温が高く、動作のある為、効率よく揮発する。同じ静脈でも手首は衣服や物に触れる事が多く、案外消えが早くなる。また香りの変化や持ち・目的に合わせてつける場所も変える。香水の成分には光毒性(光感作)のあるものも多く、特に鼻と両肩を結ぶトライアングルを形作る部分など、直射日光の当たる場所につけるとシミの原因になる可能性がある。香水の香りは体の位置の低い部分から高い部分へ立ちのぼるので、自分では香りが分からない程度につけることが好ましいとされる。また直接皮膚につけず、ハンカチやスカートのすそなど、衣服につける場合もある。しかし、この方法は使用後の衣服の取扱いによっては、香水による染みができることがある。また、コットンなどに染み込ませて下着の間、ポケットなどに忍ばせる使い方もある。この方法は、皮膚が香水に対して敏感な人に好まれる。
香水の調合を職業とする者を調香師(パフューマー、perfumer)と言う。フランスでは、極めて評価の高い調香師をさす「ネ」(仏:nez; 「鼻」の意)という称号がある。石鹸、シャンプー、洗剤等の日用品や、清涼飲料水等の食品に添加する香料を調合する人はパフューマーではなくフレーヴァリスト(flavorist)と言う。
日本でも香水は化粧品の一種として広まってはいるが、欧米ほど使用が一般的になってはいない。これは、食生活や入浴頻度などの文化的経緯から臭いや味覚に敏感で、無臭が好まれているためである。またそもそも欧米人と比較して、日本人の多くを占めるモンゴロイド(特に弥生人にあたる新モンゴロイド)には腋臭が少ない人が多いためとも考えられる[要出典]。その結果、香水そのものの認知やにおいに対するマナーの違いなどにも影響を与え、香水の普及に歯止めをかけていると言える。日本の化粧品会社の製品もあるが、人気商品の多くは代理店などによって海外から輸入されたものである。
近年では香水のサブスクリプションも盛んであり、COLORIAやSCENTPICKのようなサービスが有名である。なお、SCENTPICKが日本初の香水サブスクであると言われている[2]。
香水は、人の身体に散布するものの場合、薬機法の化粧品に該当し、販売や広告表現について規制を受ける。[3]
紀元前1850年頃に香水を製造していたという最古の工場跡地はギリシアで発掘された[4]。
アルコールに溶かす香水が作られるようになったのは、高度な科学が栄えたイスラーム社会(イスラーム黄金時代)の蒸留法が、十字軍の侵略によりヨーロッパに伝えられてからである。(当時西洋文化の中心はアラビアとその周辺地域であり、ヨーロッパの科学・医学はアラビアの知識をベースに発展した。)それまで香りは、油脂に香りを吸着させた香油・香膏やポマードの形で使用されていた。蒸留技術はヨーロッパでさらに進化し、薬効あるハーブを酒精と一緒に蒸留したラベンダー水やローズマリー水(ハンガリーウォーター)などの薬用酒が内服薬・外用薬として利用された[1][5]。これらがアルコールベースの香水の最初であるといわれ、最初は薬として、のちに香水として使われた。ルネサンス期のイタリアで蒸留技術・香水文化は隆盛し、ヨーロッパ各地に広まっていった。
16世紀から19世紀までのヨーロッパ(特にフランス)では、風呂に入ると梅毒などの病気になりやすいと信じられたため、国王ですら一生に3回しか入浴しなかったという記録があるほど入浴という行為が一般的ではなかった。そのため、香水は体臭消しとして発達していった。また、なめし革の臭いを取るためにも使われた。
ひとつの香水には平均して50〜200種類もの香料が含まれている。更に、それらの香料はまた何百という香りを構成する成分からなっている。莫大な種類の成分が複雑に組み合わされることで香りが出来上がるため、その成り立ちの面から見ると、似た香りはないといえる。
基本的に天然の香料はその希少性から高価なため、化学的な調香もよく行われる。
香水はその香りのタイプ(香調)によっていくつかに分類される。複数の香調を組み合わせて作られた香水も多い。
1900年頃登場した伝統的分類方法。
1945[6]年以降の合成香料の発達で生まれた分類。
1983年にマイケル・エドワーズによって考案された香りの分類方法である[7]。フローラル、オリエンタル、ウッディ、フレッシュの4つに分類され、さらにそれぞれが3つに分類される。(例えばフローラル系なら、フローラル、ソフト・フローラル、フローラル・オリエンタル、という風に分けられる。)[8]
商品により「オードトワレ・レジェール」「オードレジェール」と呼ばれる分類のものもあるが、濃度上では上記のオーデコロンに相当する。 (レジェールはフランス語で「軽い」「優しい」「穏やかな」等の意)
大きく男性用と女性用に別れるが、共用(ユニセックス)の商品も多い。異性向けの香水を身につけることも、現代では決してタブーとはみなされない。ただ、この感覚は国によって異なる傾向がある。例えば、現代の日本では比較的タブー意識が薄いが、アメリカ合衆国では特に男性が女性用香水をつけるとゲイと受け取られるケースがある。その一方で、イギリスでは老舗のヤードリーやクリード、フローリス、ペンハリガンなどが男性が付けるためのフローラルノートを発表している。
日本ではユニセックスのものが比較的良く売れる傾向があるが、フランスでは男性用か女性用にきっちり分けられ、共用を謳ったものはほとんど発表されていない。
また、フランスやイタリアではトップノート 〜 ミドルノート 〜 ラストノートと変化が明確なものが好まれるが、アメリカ合衆国では逆にほとんど変化のしないものが好まれる傾向にある。
香水は通常、瓶に入っているが、携帯するためや香水を出しやすくするために別の容器を使用することがある。主にアトマイザーが多い。
マリリン・モンローがあるインタビューで「寝るときは何を身に付けているのですか?」という下世話な質問に「シャネルNo.5を[9]」[10]と返して質問者を煙に巻いたというのは有名なエピソード。英語では衣服を「着る」、帽子を「被る」、靴を「履く」、香水を「付ける」、など「身に付ける」ことを表す動詞はすべて「wear」となる。
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