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『酔拳2』(すいけんツー、原題:醉拳II、英題:Drunken Master II)は、1994年に製作された、ジャッキー・チェン主演の香港映画。
酔拳2 | |
---|---|
醉拳II Drunken Master II | |
監督 |
ラウ・カーリョン ジャッキー・チェン(ノンクレジット) |
脚本 |
エドワード・タン トン・マンミン ユエン・カイチー |
製作 |
エリック・ツァン エドワード・タン バービー・トン |
製作総指揮 | レナード・ホー |
出演者 |
ジャッキー・チェン アニタ・ムイ ティ・ロン ラウ・カーリョン |
音楽 | ウー・ワイラップ |
主題歌 | ジャッキー・チェン |
撮影 |
チョン・イウチョン マー・コンシン チャン・トンリョン ウォン・マンワン |
製作会社 |
嘉峰電影(Paragon Films) 香港武協製作(HKSA) |
配給 |
ゴールデン・ハーベスト 東宝東和 |
公開 |
1994年2月3日 1994年12月10日 |
上映時間 | 101分 |
製作国 | イギリス領香港 |
言語 | 広東語 |
興行収入 | $40,971,484 |
前作 | ドランクモンキー 酔拳 |
ジャッキーが1978年に主演して世界中でヒットとなった『ドランクモンキー 酔拳』の続編。ただし「2」を名乗っているものの、設定や登場人物については前作を継承しておらず、酔八仙(拳)と父親と「歴代の先祖達が眠っている土地が鍵」といった設定以外は前作と脈絡が繋がっていない単独の作品となっている。
監督のラウ・カーリョンが撮影途中で降板したため、ほとんどのシーンはジャッキー監督で撮影された。降板理由について当時のインタビュー記事によると「カーリョンが撮影したアクションは相当に古風で、現在のジャッキー作品としてはあまりに古臭く、ラッシュを見たジャッキーとスタントチームが、このままでは興行に影響が出ると判断してカーリョンの解雇やむなしとの結論に至り、その後、カーリョンが撮影したアクションのうち半分弱をジャッキー自身が監督して撮り直すことになった」とある。なおジャッキーは自伝において「意見の相違があったが現在も友情は変わらない」と述懐している[1]。
本作で継母のリンが非常に強いのは、同時期に制作されたジェット・リーの『格闘飛龍 方世玉』の影響が大きいと言われている。
ジャッキーは、泡を吹くラストシーンの撮影のために使用した薬品の影響で、翌日喉をやられてしまった[2]。
列強進出が著しい清朝末期の広東。酔八仙(酔拳)を会得したものの、酒の勢いで暴走してしまうフェイフォン(ジャッキー・チェン)は、父ケイイン(ティ・ロン)から酔拳の使用を禁じられていた。
一方、イギリスが領事館を通じて中国の国宝を国外へ密輸していた事実を察知した武術家マンケイ(ラウ・カーリョン)は阻止に動く。
ひょんなことからマンケイと知り合い事情を知ったフェイフォンだったが、やがて英国の魔手が彼とその仲間に及ぼうとしていた。
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
---|---|---|---|
ソフト版 | フジテレビ版 | ||
ウォン・フェイフォン | ジャッキー・チェン | 石丸博也 | |
リン(継母) | アニタ・ムイ | 戸田恵子 | 雨蘭咲木子 |
ウォン・ケイイン(父) | ティ・ロン | 堀勝之祐 | 青野武 |
フク・マンケイ(老武道家) | ラウ・カーリョン | 宝亀克寿 | 緒方賢一 |
ジョン(敵の武術家) | ロウ・ホイクォン | 田中正彦 | 大塚芳忠 |
ツァン(魚屋) | フェリックス・ウォン | 星野充昭 | 小杉十郎太 |
フォウ(製鉄工場に勤める男) | チン・カーロウ | 平田広明 | 田原アルノ |
ヘンリー | ホスン・パク | 中田和宏 | 谷口節 |
ファン(蛇売りの女性) | ホー・ヨンファン | 沢海陽子 | 坂本千夏 |
ツォウ(ウォン家の家臣) | チャン・チーコン | 桜井敏治 | 竹村拓 |
イギリス(領事) | ルイス・ロス | 小島敏彦 | 小川真司 |
諜報員(特別出演) | アンディ・ラウ | 平田広明 | 藤原啓治 |
将軍 | トン・ピョウ | (日本版には未出演) | |
※ブルーレイ版コレクターズ・エディションには、ソフト版・フジテレビ版両方の日本語吹替が収録。
主人公ウォン・フェイフォン(黄飛鴻)は当時実在した中国武術の大家であり、彼を主人公にした映画は数知れず制作されている[※ 2]。なお本作の監督であるラウ・カーリョンは、実在のフェイフォンの弟子の孫であり、数多くの映画などで過大に装飾されていったフェイフォンについて、実在の当人の伝承を最も正確に伝える人物の一人である。
「力なき市民を虐待する権力の横暴に立ち向かうヒーロー」を描いた正統派カンフー映画を志向するラウ・カーリョンが監督になったことで、列強進出が激しくなった物語の時代背景を反映したレジスタンス活劇映画として作られ、英国人とその配下の粗暴な武芸者たちによる市民虐待描写を過酷に描くなど、明るく楽しい活劇に仕上がった前作とは異なりコメディ要素が薄まり、かなり重々しいアクション映画となった。
敵の足技使い役のロウ・ホイクォン(ロー・ワイコン)は、香港ムエタイのプロ選手として7年活躍した後、クラブで用心棒をしていたところをジャッキーに見いだされて芸能界入りした異色肌だが、そのムエタイから来る打点の高くて素早い足技によって成家班(ジャッキースタントチーム)のエースとなった。『ジャッキー・チェン マイ・スタント』の中でもトレーニングパートナーとして登場するほか、私生活においてもジャッキーの用心棒を務めている。『酔拳2』以降のジャッキー映画の敵役に足技使いが多いのはこのためである。
本作のオリジナル版(香港公開版)は、
フェイフォンが国宝密輸を阻止するために、工業用アルコールを飲み、酔拳を使い見事密輸阻止に成功する。その後フェイフォンを表彰するために新しい警察署長トン・ピョウ(董驃)が、彼の家に表敬の額を持参して訪問し、両親らと記念撮影をするが、肝心のフェイフォンがいない。署長は両親から「フェイフォンは、酔拳を使うために工業用アルコールを飲んでしまったため、副作用で目が見えなくなってしまった」との説明を受け、家の庭まで案内される。そこではフェイフォンが下男に珍妙な稽古を付けていた。署長は両親から「盲人拳の練習だ」と説明を受けるが、下男は「フェイフォンは、目だけでなく頭もおかしくなってしまっている」と説明する。次の瞬間、フェイフォンが顔を歪めて舌をペロペロと出し、手足をひきつらせて笑いながら近寄ってきた。フェイフォンは工場で酒の代用に工業用の油を飲んで戦ったために狂人になってしまっていた。その有様を見た一同が驚愕するシーンで幕を閉じる。
このくだりについては、後に出版された書籍で「酒を飲むと罰が下るという宗教上の理由」とされている。
主人公が発狂するというブラックジョーク的な結末について、香港で発売されたLDおよび中国本土で発売された初期DVDには収録されていたものの、ジャッキーは本作の国際公開版からはカットしており、日本を含むアジア圏では、工場戦のラストで仇敵ジョンを倒した後に泡を吹くシーンから直接エンドロールに繋ぎ、アメリカ公開版では、警察署長が額を持参してウォン家を訪れ、フェイフォンの両親と記念撮影をする場面で切って(オリジナル版ではこの後で狂ったフェイフォンが登場する)、エンドロールに繋ぐという短縮編集が行われている。
台湾など一部のアジア地域では春節期の映画としても公開されたため、本編前に短いながら10秒ほど香港版エンディングの格好をしたジャッキーが登場し新年の挨拶をするシーンが追加されている。このシーンは一部アジア地域で発売されたビデオを除き以降のソフトでは特典としても未収録であったが、ブルーレイ版コレクターズ・エディションに隠し映像として収録。また、これとは別に大ヒット御礼として日本向けにジャッキーが新年の挨拶や映画の見所を語るプロモーションビデオが存在していた。こちらも先述のブルーレイ版コレクターズ・エディションに特典映像として収録されている。
オリジナル版のソフトについては、1995年に香港で美亜社から発売されたレーザーディスクとVCDが、本作のオリジナル画面サイズであるシネマスコープサイズで発売されていたがいずれも絶版。DVDでは中国本土で中国録音録像出版社から限定発売されたソフトと後にアメリカで発売された先者のソフトに英語字幕をつけただけのソフトがオリジナル版のDVD化であった。後者はビスタサイズにトリミングされていて、2018年までシネマスコープサイズのオリジナル版ソフトはいずれの国においても発売されていなかった(後述)。
日本では2000年に、ビスタサイズにトリミングしたバージョンがパイオニアLDCから発売され、その後日本公開版とアジア公開版のダブル収録を謳った2枚組商品が再発売される。この2枚組の仕様は、日本公開版はパイオニア版ソフトの再録で、アジア版ディスクはオリジナル版ではなく2018年現在ワーナー・ブラザースが権利を持っている国際公開版(シネマスコープサイズ)が収録されているため、両ソフトとも結末はカットされた短縮版である。
日本では2018年10月にコレクターズ・エディションという形式で2枚組のブルーレイ化。本編ディスクにはシネマスコープサイズでHDデジタル・リマスターされ、日本初収録となるオリジナル版エンディングも含めた香港公開版本編にソフト版とフジテレビ版(ゴールデン洋画劇場版)の日本語吹替の収録、特典ディスクには国際公開版、US公開版(ジャッキー本人の肉声はこのバージョンのみ)、日本公開版の本編3種類が収録されるという仕様で発売された。
香港公開版本編
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