お守り
日本の神社や寺院で配布されるお守り ウィキペディアから
お守り(おまもり、御守り、御守)とは、厄除け(魔除け)、招福(開運、幸運)、加護などの人の願いを象った物品(縁起物)である。護符、御符[1]苻[2]とも呼ばれる。外来語で言うとアミュレット[3]、タリスマン[4]、チャーム[5]、テフィリン、フェティッシュ[6]など。外来語のアミュレット、チャーム、タリスマン等には明確な定義の違いがあるが[7]、小野祖教氏[8]によれば神道において御札、お守り、護符等の言葉の定義に違いはなくどれを使っても問題はないという。[9]
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日本の神社や寺院で配布されるお守りやお札は鎌倉時代から存在するが、これらは道教の符録を日本化して利用したのが始まりである[10]。という説もあるが、日本で護符や呪符と呼ばれるものが作られ始めたのは奈良、平安時代以前であり、古代中国で用いられた魔除けを目的とした図像が日本の古墳の石室の壁から見つかる他[11]、奈良文化財団研究所が発掘している平城京跡の木簡から道教の護符と似たものが発見されている[12]また神道では、陰陽道や寺院が護符を作り始めたのに習い、御札をつくるようになったという。[13]
護符の種類・形状
要約
視点
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さまざまな形態の護符がある。
自然系
動植物や自然になんらかの超常的な力を見出してお守りとする。
- その他(山など)
架空生物系
宝石・金属系
イコン系
神や宗教者を像として形作ったり、図画にして用いる。
文字
文字を使った護符は世界中に存在するが、多くが聖典を引用した呪文、神や仏の名前もしくはそれを表すイニシャル、特定のシンボルを文字で表したものが多い[18]
- イスラエルのヘブライ大学によれば、ユダヤ教の護符には様々なタイプが存在するが、神の名前、神の名前のイニシャル、聖典から引用された聖なる句。その他に蝋台(メノーラやメノラーと言われる)やイスラム教でも使われるファティマの手と同じような手、神の名前のイニシャル、ダビデの星と呼ばれる六芒星、これらのシンボルを文字で模ったものを護符に使用するという。特に神の名前は発音してはならないと言われており、故に名前を記だけで魔を避ける効果があるとされる。[19]
- イスラム教では魔術を行ったり、魔術的なものを身につけることは重罪とされる。[20]コーランはアラビア語で書かれたものが聖典であり、他の訳はあくまで翻訳本に過ぎないという。アラビア語で記されたコーランは神聖なものであり、それを信じることで、人は魔除けに頼らなくともよくなる。コーランには許される行為と許されざる行為を定義したハラールとハラームがあるが、最も許されざる行為に魔術が当たる。東京にあるモスクの東京ジャミーの頒布物のほぼ全てがトルコ政府宗務庁の出版物であるが、ここの見解によれば聖書たるコーランを読みイスラムの正しい教えを信じていれば魔や邪を退けることが出来るので、護符は必要がないとしている[21]が、実情としてファティマの目やファティマの手というような護符が存在しイスラム圏で用いられている。それについてもトルコ宗務庁が土着の信仰とイスラム教の教えが混ざり間違って信仰をしているものがいるが、そのようなもの[22]を持つことは相応しくないと書いている。
お札系
ご利益のある文言や図画を書き記したもの。50音順に示す。
宗教の聖典
コイン系
コイン、もしくはコインの形状のものをお守りとみなす。
アクセサリー系
50音順。
- 千人針 - 太平洋戦争中、出征する兵士に贈られた。白い布に女性が1針ずつ玉結び(玉止め。弾と掛けた願掛け)を縫い付けたもので、腹巻とした。また、縁起をかつぐために銭貨や虎の模様を縫い付けることもあった。外来的な分類でいえば防具的効果を無しに矢が体に当たるのを防ぐ等の魔術的効果を期待しているものと同じ為、アミュレットに分類できる。[34]
- ピアス -耳から悪霊が入るのを防ぐ護符とされた
- ネックレス -呪術や豊作祈願等でも身につけられた
- ピアス - 耳から悪霊が入るのを防ぐ護符とされた
- ブレスレット - 身につけるタイプのお守りとして、現代でも使われている 神むすび等
- ポクポン - タイに伝わる、毛糸で出来たお守りを現代風にアレンジしたもの。
- 指輪 -魔除けの指輪など
その他
- 自作 - 部活/スポーツの仲間とお揃いで作る場合など[37]。フェルトやレジン、ミサンガをビーズ、プラ板などで作られる。その際によく使用されている言葉は、漢字1文字~4文字が一般的[注釈 1][要出典]。
- 千羽鶴 - 折り紙を用いて神聖な鶴の形を作り、それを千個作ることでなんらかの願掛けとする。折鶴自体は古くからあり、当初は必ずしも千個ではなかった(千は日本において「とても多い」の漠然とした意味)。
- 武器 - 戦闘や護身、狩猟のために使われた刀剣や弓矢などの武器は、慶事の縁起物や弔事の魔除けとして登場する[38]。
- ヘラクレスクラブ - 英雄ヘラクレスのこん棒を模したお守り。ローマ人の間で流行したものだが、ゲルマン人側ではドナー(トール)のこん棒というお守りがある[39]。
近年の傾向
近年の傾向として、厄除けと開運の御利益が同時に得られるとして、日本三大厄除け開運大師の、埼玉厄除け開運大師の通称で知られる龍泉寺、兵庫県の門戸厄神東光寺、広島県の大聖院などの寺院が人気を集め、このうち龍泉寺の「大開運守」は2020年にはヤフーの全国最強開運お守り10選で1位に選ばれるなどした。龍泉寺の2024年の初詣大祈願祭の人出は前年50万人から70万人に増えた[40]。
参考文献
脚注に使用したもの。主な執筆者、編者の順。
- 下出積与『道教と日本人』講談社〈講談社現代新書〉、1975年、187-191頁。
- 世界のお守り研究会 編『集めてみました開運世界のお守り』講談社、2009年1月、39頁。ISBN 9784062151832。
- 中山伸一『世界大百科事典』 31巻(改訂新版)、平凡社、2014年12月1日。
- 平凡社 編『神道大辞典』 1巻、平凡社、1941年、286頁。doi:10.11501/1913333。NDLJP:1913333。
- 北信郷土叢書刊行会 編「一、六文錢紋付品」『北信郷土叢書』(巻十一)北信郷土叢書刊行会、昭和10年、860頁。doi:10.11501/3434646 。
- 鎌原桐山「朝陽館漫筆」巻之36(文化9年)
- 片岡志道「越奥戦争見聞録」承前
- 岡川美矩「家童示訓」
- 本荘市 編「千葉元胤作扇面図脇差拵揃金具一括(10個)」『本荘市史』《文化・民俗編》本荘市、2000年3月。doi:10.11501/9541165。NDLJP:9541165 。全国書誌番号:20062179
- 外国語の書籍
- (中国語) 陰陽學 : 趨吉避凶的實用絶學 : 闡發易學精義宏揚中華文化 (增修本 3版 ed.). 劉訓昇. (1979-07)
- 李亮 「灿烂星河-中国古代星图」中国科学院/邦題:李亮「中国古星図」望月暢子 訳/科学出版社東京
- クリス・ゴスデン 訳:松田和也「魔術の歴史-氷河期から現在まで」青土社
- Sheila Paine「AMULETS :A World of Secret Powers, Charms and Magic 」Thames & Hudson/邦題: シーラ・ペイン 訳: 福井正子「世界お守り・魔よけ文化図鑑」柊風舎
脚注
関連項目
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