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横溝正史による日本の小説 ウィキペディアから
『蝙蝠と蛞蝓』(こうもりとなめくじ)は、横溝正史の短編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一つ。探偵小説誌『ロック (The Lock)』(筑波書林)昭和22年9月号に掲載された。
金田一耕助が登場する作品の一つで、角川文庫版で28ページの短編である。舞台は戦後間もない日本の平凡なアパート[1]で、蝙蝠とは主人公が金田一耕助につけたあだ名、蛞蝓は主人公が被害者につけていたあだ名である[2]。
順平は隣に引っ越してきた金田一耕助が蝙蝠にそっくりで気に入らない。裏に住む蛞蝓にそっくりのお繁も気になる。ある日ふと思いついて、お繁を殺してその罪を金田一にかぶせてしまうという小説の下書きを書く。しかし、翌日には自分の書いたものがつまらなく思え、そのうちそんなものを書いたことも忘れてしまっていた。ところが半月ほど経って、お繁が本当に殺害され、順平が殺人の嫌疑をかけられる。なぜか寝間着の右袖に血がついており、凶器は順平の部屋から持ち出された短刀、現場で犯人が血の付いた手を洗った金魚鉢に順平の指紋が残っていた。小説の下書きも殺人計画書とみなされてしまう。
連日警察の取り調べを受けていた順平だが、4、5日経つと担当刑事の態度が軟化してきた。ヤミ市か何かで金魚鉢に触れたことは無いかというのだ。どうやら金魚鉢に順平の指紋がついた経緯を調べているらしい。その翌日、取調室に金田一が現れる。金田一は事件の前日に順平が電気の修繕を頼まれてお加代の部屋に入り、真っ暗な中で電気の笠をお加代に持たされた様子を隣で聞いていた。金田一は、その笠が金魚鉢のような形ではなかったかと確認した。お加代はそうやって順平の指紋が現場に残るよう細工したのである。
金田一がそのことに気付いたのは、順平が小説の下書きにお繁が金魚鉢の位置を神経質に調整していることを書いていたからである。金魚鉢はお繁の定位置にはなく、水の量も少なかった。そこで金田一は金魚鉢が2個あって犯人が水を移し替えた可能性に思い当たったのである。
金田一はそもそも、毒を盛られていることに気付いた剣突の依頼でアパートに来ており、お加代が毒を盛った証拠をつかんだところであった。お繁は咽喉を縊られたうえ心臓をえぐられて死んでいたので犯人は2人であり、共犯の居ない順平は犯人ではありえない。お繁の持っている金に目をつけたお加代は、紅吉を巻き込み、順平の小説をヒントにして濡れ衣を着せる相手を順平に変えたのだった。[2]
JETの作画で『ミステリーDX』(角川書店)1999年8月号に掲載された。JETが漫画化した他の金田一シリーズと共に以下のコミックスに収録されている。
『シリーズ横溝正史短編集III「池松壮亮×金田一耕助3」『蝙蝠と蛞蝓』は、2022年2月26日にNHK BSプレミアムにて短編ドラマとして放送された[3]。
科白やナレーションを原作から抽出した文言とし、ストーリー展開もおおむね原作の通りであるが、以下のような差異がある。
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