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素隠居(すいんきょ)とは、岡山県倉敷市にある阿智神社の例祭の御神幸の雌雄の獅子に付き添う老人の面をかぶった若者を指す[1]。
元禄5年(1692年)、阿智神社にほど近い戎町の宰領を務めていた沢屋善兵衛が寄る年波に勝てず、人形師の柳平楽に頼んで「翁」(じじ)と「媼」(ばば)の面を作らせ、店の若者にこの面を被らせ、主人の代理として御神幸の行列に参加したことに始まるとされている[2]。素隠居という呼び名は明治以後誰彼となく、この「じじとばば」のことを呼びはじめたようだが、ただの御隠居という意味で「素の隠居」であったり、「素晴らしい隠居」であったり、「素朴な隠居」というような意味が語られている。
この素隠居の面は見た通り、らっきょうの形に似ていることから怯えながらもこの素隠居を挑発する子供達は「すいんきょ、らっきょう、くそらっきょう」とはやしたてて逃げまどう[3]。素隠居が持っている渋うちわで頭を叩かれると、賢くなるとか、健康になるとか言われている[4]。
また、別の言い伝えには、この素隠居は神代の昔、天孫降臨の御先導を承った塩土翁の由縁にちなんで、御神幸の通路を清めて悪魔祓いするのだという説もある。
だから、倉敷の祭りでは、親たちは子供たちが怯え、泣き叫んでもその子供たちの頭を素隠居の前に差し出したり[5]、お年寄りは素隠居に手を合わし、感謝をしながら、頭を叩かれるという、奇妙な風景が展開される[2]。
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