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むずむずとした不快感と引っ掻き反射を引き起こす体表面の感覚 ウィキペディアから
痒み(かゆみ、英語: itch)とは、皮膚と眼瞼結膜、鼻粘膜に起こる、引っ掻き反射を引き起こす感覚を指す。痒みが発生すると、むずむずとした不快な感覚(掻痒感)を感じる。1660年にドイツの神経学者サミュエル・ハーヘンレファーによって定義された。
痒みと痛みは以下のような共通点を持つ。
一方で、以下のような違いもある。
なお、痒みと痛みは非常に複雑に関係していると考えられている(後述)。
アトピー性皮膚炎は痒み過敏の状態を引き起こし、衣服の接触といった通常では、痒みにならないような刺激を「痒い」と感じるようになる。
皮膚瘙痒症と呼ばれる目立った原因のない痒みについては、治療法が見つからない場合もある。乾燥や服の締付けなど色々理由は考えられており、高齢による老人性の乾皮症の場合は保湿剤を使用する。若者の場合は、抗ヒスタミン剤の効果が見られず、治療が長期化する場合もある。
痛みの意義については、外からの危害を避けるための無意識的な反射活動[10]と捉えられている。痒みも、従来は痛覚神経が反応して起きると考えられており、痛みと同様にその防衛反射をさらに補強するものと思われていた。言わば痛覚の軽微なものが痒みであり[1]、掻く事で痒みが抑えられるのは、明確な痛覚を与えるためと考えられていた。
しかし、1997年にドイツの医師によってかゆみのみを伝達する神経繊維が発見され、2009年に痒みが痛みとは独立した神経経路をもった感覚であり、痛みには反応しない大脳の頭頂葉内側部の楔前部で反応が起きていることが発見された[11]。痒みに対して掻くことで、症状を一層悪化させる[1][2]。身体に危機を発する痛みと異なって、痒みの意義については不明であり、現代医学の限界点である[要出典]。上述した痛み(痛覚)に関連したものと思われていたため神経回路の発見までかゆみの原理について研究が進められておらず、発見された2009年以降、世界各国でかゆみに関する研究機関が設立された。2011年にアメリカ合衆国のワシントンで最初の研究拠点が設立され、2019年8月にアジア初の研究拠点(順天堂かゆみ研究センター)が設立された時点では7つ存在する[12] 。
痒みを引き起こす代表的な原因物質であるヒスタミンが、痛みの神経を活動させたり、ブラジキニンやカプサイシンなどの痛みの原因物質が痒みの神経を活動させることがわかっており、痒みと痛みは非常に複雑に関係していると考えられているが、これらがどのような経路(内側毛帯路、脊髄視床路、皮質脊髄路など)で伝えられるか、同じく頭頂葉にある一次体性感覚野を含む中心後回との関連性は未だ解明されていない。
特に、掻く事で痒みが抑えられる理由については、かつては上述の通り痛覚との関連で説明されていたが、2009年に否定されてしまったため、不明になってしまった。痒みに過剰に反応してしまい、痛いと自覚するまでに自身を自傷してしまうことがある、痒みが引っ掻き反射行動を自律的に起こすことができる体の部位に限定されている、などの理由の説明はついていない。
痒みを掻く反応は、進化の過程で備わったとも考えられており[13]、食い込んだ、もしくは毛穴中のダニなど、異物を排除する目的などがある。ただし皮膚を掻きむしると、掻爬、瘙痒、瘙疹、掻き壊しとなる。
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