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異常震域(いじょうしんいき、英語: zone of abnormal seismic intensityまたは英語: zone of anomalous seismic intensity)は、通常ならば震源地(震央)で最も大きくなり、中心から同心円状に広がりながら小さくなるはずの地震で観測される震度(あるいは加速度)が、通常とは異なる傾向を示す現象、また、そうした震度分布がみられた地域のことである。
震源地より遠く離れた所で異常に震度が高くなる現象である。かつて地中に地震が伝わる特別な抜け道があると考えられ、地震みち(じしんみち)と呼ばれていた[1]。1920年代には異常震域という用語が用いられるようになった[2]。
異常震域が現れる原因は、
によるものの2つに分けられる。前者と比較して後者のほうが広い範囲で大きな震度が観測され、地震学の用語としては、異常震域は後者を指すことが多い[4][5]。
後者の例として、太平洋プレート中で発生した2007年7月16日の京都沖日本海の深発地震では、京都や、プレート境界をまたいだ中京関西地方や中部地方での揺れは小さかった一方、距離的には遠い北海道で大きな揺れを観測した。
着達する地震振幅は距離に反比例して、また着達までの時間には指数関数的に小さくなる[6]。地下のマグマ中を進む地震波の速度は非常に遅く、このため火山地下のマグマ溜まりをまたぐ震源では減衰して地震動が小さくなるということも起こりうる。
逆に、オホーツク海での深発地震や十勝沖から千島列島沖の太平洋プレート中で発生する地震では、北海道・東北地方の日本海側や新潟県より北海道・東北地方の太平洋側、関東地方で大きな揺れを観測する場合もある。東北地方の日本海側や新潟県での揺れが小さくなる理由は、東北地方の中央部に南北に連なる火山が影響しており、地下のマグマ溜まりにより地震波が減衰しているためと考えられている。
地盤が弱い地域の場合、大きい震度が観測される。深発地震での例も参照。
プレートは固い岩盤であるが、プレート境界には滑り面や破砕帯などの軟弱な地盤構造が存在する。このため地震波がプレート境界を越えるときに減衰が大きく、逆に同じプレート内では地震の減衰が小さくなる。
震源が深い地震を深発地震と呼ぶ。深発地震は、海洋プレートがマントル内に沈んだスラブ(英:Slab)が、深さ数百km付近まで沈んだところで周囲の熱や圧力により構造などが変化し、このとき発生するものと一般には考えられている。
震源の直上にはプレート境界面と柔らかい上部マントルがあり地震波は着達までに減衰してしまう。一方、同じプレートでは上記のプレート構造での地震動のように比較的減衰しにくい地震波が遠くまで伝搬し、地盤の弱い土地で強震度が現れる。さらに、断層破壊を伴うような大きな地震で現れる低周波地震動は、このような地震波は高周波に比べて減衰しにくい。大きな深発地震では地表に達するまでの長い経路により低周波成分の多い地震となり、低周波に共振しやすい高層建築といった局在した場所で大きな震度を観測する傾向がある。
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