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水生カメムシ類(すいせいカメムシるい)とは、カメムシ目カメムシ亜目に所属する昆虫のうち、水中、水面、水際など水環境に生息する種類の便宜上の総称である。分類学的にはタイコウチ下目、アメンボ下目、ミズギワカメムシ下目の3下目にまたがっており、あくまでも人為的なくくりである。タガメやタイコウチなど水生昆虫の中でも目立つものも多く、昆虫愛好者などに人気が高い。
なお、分類上の単位であるタイコウチ下目 Nepomorha の名称としても「水生カメムシ類」「水棲カメムシ類」「水生カメムシ群」などの用語が使用されることがあり、この場合は他の2下目は含まないため、同じ呼称でも指し示す範囲が異なることに注意が必要である。
水生カメムシ類には実にさまざまなものがあり、よく名を知られているものも多い。大型のものが多いのも目立つ理由であろうが、小型の種も多い。ほとんどは淡水産で、海産のものはほとんどアメンボ類にあるのみである。
肉食のものが多く、湿地性、水面のものは主として昆虫をねらう。水中性のものは他の水生昆虫や魚、オタマジャクシなどを餌としている。それらの種は、前脚が鎌状の捕獲装置になっている。また、口器は短く下向きに曲がる。口針を獲物に突き刺して麻痺毒を含む唾液を注入して仕留め、さらに消化酵素を含む唾液を獲物の体内に注入して体組織を体外消化し、体液と共に吸い込む。
中肢・後肢は遊泳用に発達するものが多い。
水中生活のものであっても、大部分は空気呼吸である。翅と胴体の隙間を空気ボンベとして使うものが多い。腹部末端を水面に出して空気を取り入れ、そのための長い付属突起をもつものもある。
卵は水面より上に産むものが多い。親が卵を守るものも知られている。
前脚が鎌になり、捕獲装置になっているもの。
それ以外のもの。
タガメ、タイコウチなどは養魚場等では害虫とされる場合がある。刺すものもあるが、偶発的なものが多く、出会う機会は少ない。
タガメの一種であるタイワンタガメは東南アジアでは食用とされる。
これらの昆虫は、そのような実用的側面より子供のペットとして親しまれてきた。水辺での遊びでは、このような昆虫たちは注目の的であった。現在では、自然環境下でこれらを見る機会が減ったこともあり、ビオトープ施設では大事にされ、またマニアやコレクターのために販売されていることも多い。
現在では、これらの水生カメムシ類は、各地で減少し、絶滅に瀕しているものも少なくない。その理由は様々であるが、水回りの環境の悪化が大きな原因と思われる。
現在、日本で最も見ることが難しいのはカワムラナベブタムシとコバンムシだと思われる。カワムラナベブタムシは琵琶湖水系の固有種であるが、1960年代以降、生息が確認されていない。コバンムシは水草の多い、低地の池に生息していたものであり、埋め立てや開発による池の減少、周辺環境の悪化による池の富栄養化や汚染、あるいは周辺植生の単純化、ブラックバスの侵入などで激減し、極めて限られた場所でしか見ることができなくなっている。
水田では、1950年代(昭和20年代)頃まではタガメがごく普通に見られたが、1970年代(昭和40年代)には既に非常に少なくなり、タイコウチばかりが目立つようになる。1980年代以降では、それも非常に少なくなり、多くの場所ではミズカマキリが稀に見られる程度となった。このような水生カメムシの急激な減少は、農薬散布や周辺環境の変化、それにともなったカエルやメダカなどの餌動物の減少、さらにはオオクチバスやブルーギル、アライグマなどの肉食性特定外来生物による捕食などが大きく影響していると考えられている。また、ペット業者やその関係者などによる捕獲が多少なりとも影響を及ぼしている可能性もある。
ビオトープ池などのように、彼らの暮らしやすい環境を整えた場所では、ミズカマキリやタイコウチはすぐ繁殖するようになるが、タガメを見かける機会はやはり稀である。タガメのような大型種の場合、より広い範囲で十分な餌が得られる環境が必要であろう。
触角が短く、背面からはほとんど見えない。
触角は長く上翅は半翅鞘にならず、腹部気門は10対。肢の爪間には褥板(じょくばん)がある。
触角は長く上翅は半翅鞘となり、腹部気門は通常8対。肢の爪間には褥板(じょくばん)がない。
この下目には他にLeotichidae(マレーシアの洞窟のコウモリ糞の中)とLeptopodidae(熱帯-亜熱帯の乾地)の2科があるが、これらは水生ではない。
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