スズキ目・サンフィッシュ科の淡水魚のうち、オオクチバス属Micropterusに属する8種(11亜種)の魚に対する総称 ウィキペディアから
ブラックバス(Black bass)とは、スズキ目・サンフィッシュ科の淡水魚のうち、オオクチバス属(Micropterus)に属する8種(11亜種)の魚の総称である。日本においては特にオオクチバス(ノーザン・ラージマウスバス)を指して用いられる場合が多いが、近年は日本全国に生息域が拡大しているコクチバス(スモールマウスバス)を指すことも多い。
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オオクチバス属 | ||||||||||||||||||||||||
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オオクチバス Micropterus nigricans | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Micropterus Lacépède, 1802 | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Black bass | ||||||||||||||||||||||||
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ブラックバス (Black bass) とは、Micropterus属の一種または全種を指して用いられる俗称であり、「ブラックバス」という名前の特定の魚類の種やグループは、存在しない。属名Micropterusは和名においておもに「オオクチバス属」と訳されるが、「コクチバス属」とする場合もある[3]。またMicropterusは「小さな尾」の意であるが、これは初めて捕獲された本属魚類の個体の尾鰭が負傷欠損によって小さかったために、誤ってその特徴が属名として名付けられてしまったものだと言われている[4]。
本来「ブラックバス」という呼称は、コクチバス(スモールマウスバス)の稚魚期の体色が黒いことから原産地北米において慣習的に呼ばれるようになった名称である。しかし日本においては、移入からの歴史が長く、分布範囲、個体数、認知度において群を抜くオオクチバスを指して用いる場合が多い。
本種はしばしば接頭辞を省いて単に「バス」とも略される[3]。オオクチバスは商業漁獲対象魚として普及させるため「クロマス」という和名で呼ばれたこともあるが[4]、サケ科のマス類と混同されやすいため、その呼称は21世紀現在では使用されていない。川鱸(カワスズキ)の異名もあったが、スズキ自体が淡水への順応性が高く、アユが生息するような淡水にものぼることもあるので、地域によってカワスズキは、スズキそのもののことを指す言葉として使われる。生態ピラミッドではスズキの方が上位になるため、スズキが生態する川には他の河川に比べるとブラックバスは少ない。
体の真ん中あたりに薄く黒い線がある、だいたいが緑などで統一されている
Micropterusすなわちブラックバスは、2014年現在8種を遊泳捕食性大型淡水魚のグループである。成魚の体長は日本で最も小型の種でおよそ40cm、最大型種フロリダバスは80cm以上に達する。
体型は側偏した紡錘形、背鰭が第1、第2に分かれて発達し第1背鰭よりも第2背鰭は大きい。他の魚類や水生小型動物を捕食するのに適した大きな口と顎を持つ。唇の内側には鋸歯状の細かく鋭い歯が並ぶ。浮き袋は独立した臓器ではなく、腹腔の脊椎側内壁に一体化して備わっている。
眼はやや頭頂部寄りに位置し、前方から上方にかけての視覚に優れる。これに側線で知覚される水の振動情報を併せる用いることで、ブラックバスは捕食対象を定位する。下方から後方の視野は持っていない。
全種とも自然分布域は北米大陸。内3種が日本国内で移入定着している。北米では五大湖周辺からミシシッピ川流域、メキシコ国境付近までの中部および東部、フロリダ半島などに広く分布し、10%程度の汽水域でも生息可能である[5][6]。
河川や湖沼に生息し、獰猛な肉食性で他の魚類や水生節足動物、水面に落下した昆虫、カエル等を捕食する。
捕食に視覚を多用するため、活動時間は主に日中であるが、朝と夕方に特に活発となる。夜間は水底で静止したままとなる。
温帯魚であるため冬期の低水温で斃死することは無く、深場で冬眠状態となるが比較的水温の高い日には冬でも捕食活動をすることがある。春から夏にかけて、砂礫質の水底にすり鉢状の産卵床を作り産卵する。卵と稚魚はオスが保護し外敵から防衛する。
1945〜
2010年代、オオクチバスはすべての都道府県で生息が確認されている。日本で合法的に放流されている自然湖は、オオクチバスの漁業権が認められている神奈川県の芦ノ湖、山梨県の河口湖、山中湖、西湖の4湖のみ。これらに関しては、放流は許可されているものの、生体魚の持ち出し禁止、流出河川にバスが逃げ出さないよう網を設置する等の措置がとられている。また、オオクチバスが認められている管理釣り場があるが、これらに関しても流出箇所にバスが逃げ出さないよう網等を設置することが義務付けられている。新潟県、秋田県(暫定措置)、琵琶湖のように、在来種の保護などのために再放流を禁止した県、湖、川などもある。琵琶湖の各漁港には「ギルやブラックバスなどは、非常においしい魚です。持ち帰って食べましょう。」という看板がある。
オオクチバスの亜種であるフロリダバスに関しては、奈良県の池原貯水池にしか移植されていなかったものが、近年琵琶湖等で発見されるなど、人為的な放流が行われていることが示唆される[16]。
コクチバスは、アユやゲンゴロウブナ等の種苗の産地では繁殖していないため、種苗への混入は想定できない。そのため、水系単位でみた場合、その分布は放流によるものと容易に判断できる[16]。
分布拡大の主要因として「他の琵琶湖の固有種(ハスやワタカなど)が全国に分布しているということ」を根拠に「琵琶湖産アユ種苗やヘラブナへの混入により生息域を拡大したのが大きい」とする主張がある。しかし、外来生物法における特定外来生物の選定時に開かれたオオクチバス小グループ会合において日本魚類学会自然保護委員会外来魚問題検討部会が提出した資料によれば、以下の理由によりその頻度はそれほど高くないと考えられている。
また、「一個人程度の放流が上手く行くかどうかという疑問の余地がある」とし、これを理由に「最たる原因は種苗は他魚の移入に混じっていた」とする主張や、「琵琶湖固有種だったハスが種苗により全国に広まった例などもあることから、すくなくともオオクチバスに限っては認めざるをえない要因である」との主張がある。しかし、混入に関しては上述の日本魚類学会の資料にあるとおり主要因とは考えづらいことや、バスの個人による放流に関しては種苗の産地で繁殖していないコクチバスが最初の発見から10年余りで少なくとも19都道県47水域で存在が確認されていること、過去に個人が放流して繁殖が確認されたことが記載されている雑誌・書籍[17]があることから、上の主張には根拠が無い、とする反論がある。
上記瀬能委員資料によれば、沖縄県を除く全都道府県でブラックバスの移植放流が漁業協定規則等で禁止された後でも、明らかに放流により分布が拡大したと推測される根拠があるとされており、特定外来生物に指定すべきという主張の根拠のひとつとなっている。
日本国内の19府県47地点から得られた(オオクチバス、コクチバス、フロリダバス)247個体のDNAハプロタイプを分析した。結果は、オオクチバスでは10のハプロタイプが知られているが、そのうち7タイプを確認した。山中湖には7タイプが生息しているが、ブラックバスに対し漁業権を設定しているため、資源量を維持する目的で全国各地から移植されている事が、ハプロタイプからも裏付けられた。琵琶湖ではフロリダバスとオオクチバスのハプロタイプが確認された[18]。
アメリカ国内のハプロタイプ分布は十分に解明されておらず、日本に移入された個体の系統の由来地域の解明も不十分である。アメリカ及び日本国内のハプロタイプ分布が十分に解明されると、日本への移入が既知の1925年と1972年以外に行われていたのかの解明が行えると期待される[18]。
バスフィッシング(Bass fishing)は、川や池に棲息するバス(ブラックバス)を対象とした釣りのこと。
ブラックバスは、釣りの対象魚として人気があり、疑似餌のルアーを使ってのルアーフィッシング(lure fishing)が一般的。他に生きた小魚を使っての泳がせ釣りや、エビやミミズ、ブドウムシなどの生き餌を使ったウキ釣り (float fishing)、毛鉤の一種である フライを使ったフライフィッシング(fly fishing)が知られる。
生き餌を使っての釣りの方が匂いや餌の活きが良いので釣果が期待できるが、難点はミミズ等を餌にした場合にバス以外の魚種が釣れやすいことである。
現地で調達した生きた小魚の他にも、カエル、エビ、ザリガニ、ドバミミズのように大きなミミズを1匹、またはシマミミズを数匹チョンがけしたもの。変わった例では、クツワムシやコオロギなどの昆虫やネズミなど。冬季はイワシやサバなどを使っての死魚に、専用のオイルなどを染込ませて釣る方法もある。中でもエビはブラックバスの特効薬ともいわれよく釣れるという。ルアーを使った釣りには一定のルールの下に行われるトーナメントと呼ばれる競技会があり、プロフェッショナルのバス釣りが存在する。競技会では基本的に、主催者が策定した競技規則のもと[19]各参加者が一定時間内に釣り上げたブラックバスの中から、一定の匹数の合計重量を競い、勝敗が決定される[20]。
ブラックバスは魚食性が強く、日本列島に移入されたことで在来種が減ったとする主張があり、またこの問題を実証的に論じた学術論文も存在している。
環境省は、生態系に関わる被害および農林水産業に関わる被害があるとして、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づき、ブラックバスを特定外来生物に指定し、防除を行っている[21]
ブラックバス問題に関する議論を、過去にWikipediaに投稿された主張を中心にまとめる。
環境省はこのような事態を重くみて、2005年6月より施行された「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」により、ブラックバスのうちオオクチバスおよびコクチバスの輸入、飼養、運搬、移殖を、原則として禁止することとした。
主な方法としては成魚を捕獲する方法と卵の孵化を阻害する方法がある。
駆除に係わる問題点として、
具体的には、
山梨県の河口湖でのブラックバスの漁業権は1989年に[30]、山中湖と西湖での漁業権は1994年に認められ[31]、2005年施行の外来生物法でブラックバスの放流が禁じられた後も「特例」として許可されてきた。2014年1月の免許更新期を前に、地元漁協や自治体が継続を求め、日本魚類学会やNPOや自然保護団体などが反対していた。山梨県が地元漁協の免許の特例更新を認める方針を固めた。
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ブラックバスの害魚論が問題になっている一方、河口湖や山中湖などブラックバスを漁業指定対象魚とし、入漁料徴収の対象としている湖もある。これらの湖をはじめ、全国にはブラックバスフィッシングの愛好家を対象とするビジネスを展開する多数の事業者(貸しボート業、売店、飲食施設、宿泊施設等)があり、地域経済の中心にこの魚を置いているところも少なくない[要出典]。また、ブラックバスは釣魚としては優秀で、ブラックバス愛好家は日本釣振興会によれば300万人に上るといわれており、愛好家の多い釣りである。
ブラックバス擁護派を含め、同種にはなんらかの規制を行うことは必要不可欠との認識が、専門家および釣り関係者の中では支配的である。生態系の保護・維持と経済魚としてのブラックバスの活用を上手くすみ分けることがひとつの大きな課題となっている。
奈良県下北山村の池原貯水池はブラックバスを積極的に観光資源として活用し、また放流も行い、全国のバサーにとっては「ブラックバスの聖地」と注目されている。特にこのダム湖は日本では珍しいフロリダバス(正確にはオオクチバスとの交雑個体群)がおり、60–70センチのサイズが釣れることでも知られる。
生食での顎口虫症などの危険性があり[36]、加熱調理が推奨される。滋賀県農政水産部水産課が発行している「遊漁の手帖」には、「美味で、フライ、ムニエルなどにして食べる」[37]と記されている。
アメリカでは、水産資源としてフライやバター焼き・ムニエル等に調理され、一般に食されている魚であるが、日本では、生臭くて料理に向かない魚というイメージが強い[要出典]。しかし、料理愛好家などからは、調理方法として揚げ物(フライ)、焼き物(ムニエル、ポワレ、ソテー)、煮物(アクアパッツア)、味噌田楽(魚田)等の料理法が推奨されている[要出典]。また、駆除のために捕獲されたブラックバスを調理して給食の副食として提供している自治体や、蒲鉾・魚肉ソーセージの材料や鮒寿司の鮒の代用とすることで、釣られたブラックバスを食材として消費して、駆除に役立てようとしている業者も存在する。
ブラックバスの駆除に熱心な琵琶湖近辺では、特産の鮒寿司と同様ななれずしを作り、ビワスズキという名称で試験的に販売しているところもあり、琵琶湖周辺やブラックバスフィッシングの有名地である芦ノ湖周辺などでは、フライなどのブラックバス料理を売り物にしているレストランなども存在する。
悪臭の元は皮(生息環境や大きさによる、35cmを越えたあたりから臭くなると思ってよい)および浮き袋の付け根にある稜線状(三角形)の脂であるとされており(大きさによっては肛門まわりや腹の身も臭い)、皮を剥がし、包丁や鱗とりで脂を取り去り調理すれば白身で淡泊な味の美味な魚であり、また、コイやウナギなどの淡水魚と同様に、きれいな水に入れて泥抜きを行うことで身の臭みは軽減すると言われている[要出典](芦ノ湖などのオオクチバスは臭みが少なく美味であるとも言われている)。しかし、特定外来生物に指定されており生体での持ち出しが禁止されているため、実際には釣果後すぐに血抜きとワタ(内蔵)の処理の必要があり、未処理の場合「臭い魚」という扱いを受けることが多い。簡便な方法として切り身を一定時間、牛乳や豆乳に浸して臭み抜きの下処理を施してから加熱調理(揚げ物など)を行い食する。三枚におろして皮を引いた物であれば塩水処理(海水程度濃度の冷えた食塩水に10分~20分ほど浸す)で臭みは感じにくくなる。
藍藻はゲオスミンや2-メチルイソボルネオールを作り、これが魚の皮膚や血合肉に濃縮される。このゲオスミンが、ブラックバスやナマズなど淡水に棲む淡水魚が持つ泥臭いにおいのもとでもある。ゲオスミンは酸性条件で分解するので、酢など酸性の調味料を調理に使えば泥臭さを抑えることができる。
駆除や混獲の結果得られたブラックバスは魚粉に加工され、肉骨粉の代わりに畜産(養鶏・養豚など)飼料や魚類の養殖飼料や有機肥料として利用される。外来魚駆除の取り組みとして、地産地消品として有効利用されている。
また、宮城県のマリンピア松島水族館では県内で駆除されたブラックバスを無償で譲り受け、飼育している大型淡水魚の餌として活用していた[38]。一方、神戸市立須磨海浜水族園では駆除されたミシシッピーアカミミガメを殺処分せずに保管しているが、膨大な餌をまかなうため一般からのブラックバス(殺処分済み個体)の持ち込みを受け付け、その対価として入園料をサービスするシステムを導入している[39]。
最近では滋賀県あたりでペットフードとして加工される事もある。先述のとおりビタミンEや猫に必須なタウリンなどの栄養素を多く含んでいる。
ウナギ Eel | スズキ Bass | ナマズ Catfish | |
アビ Diver | カモメ Gull | アジサシ Tern | ミサゴ Osprey |
この他にもブラックバスの幼魚は、ライギョ、ドンコ、カワアナゴ、ギギ、ハス、ウグイ、ニゴイ、ナマズなどの魚類やカワウ、カワアイサなどの鳥類から襲われる。幼魚のうちは、水生昆虫のタガメやタイコウチ、また、ブラックバスの成魚から襲われる事もある。
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