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明浄学院事件(めいじょうがくいんじけん)は、学校法人明浄学院において2016年から続く一連の騒動。この事件で業務上横領の嫌疑を受けたものの、2021年に無罪判決を受け確定したプレサンスコーポレーション株式会社元社長に対する冤罪事件については、プレサンス事件[1][2]またはプレサンス冤罪事件[3]などと呼ばれる。
元々は、明浄学院高等学校の郊外への校舎移転計画を発端とする。移転中止となったことを契機に横領事件に発展し、2019年には学校法人明浄学院元理事長の大橋美枝子をはじめとする数名が逮捕されることとなった。また、その余波で学校法人の資金繰りが悪化して運営資金の確保が困難になったとして、2020年には民事再生法の適用を申請した。なお、2020年10月には大阪地方裁判所に民事再生計画が認可された。2022年5月、民事再生手続を終結し、大阪地方裁判所よりその旨決定を受けた。
従前より明浄学院高等学校には郊外の吹田市への校舎移転計画があった[4]。2016年春に、後に明浄学院の理事長となる大橋美枝子[5]は、当時のプレサンスコーポレーション社長・山岸忍から18億円を借りることに成功した(このとき、山岸は部下らから学校法人に貸し付けるものと説明されていたため、学校法人に貸し付けるものと認識していた[6])[4]。大橋は、18億円のうち5億円を運転資金に困っていた学校法人明浄学院に寄付し、さらに10億円は当時の学校法人明浄学院理事長吉本富男に又貸しされた[4][7]。大橋は自ら副理事長に就任した上で知人らを要職に起用するなどして理事会を固め、実質的な経営権を握った[4][8][9]。プレサンスコーポレーション社長の知人(後述の不動産業者ピアグレースの山下隆志社長)も理事に就任して移転計画を進めたが[4]、吹田市への移転計画は保護者からの強い反対によって頓挫した[10]。
明浄学院高等学校は移転を取りやめ、校舎の建て替えで現地で存続することになったが、その建て替え工事のために、用地の約半分(約7300平方メートル)が売却されることになった。2017年6月には明野に代わって大橋が理事長に就任し全権を握り、同年7月、ピアグレースに32億円で売却する契約を締結した[11]。その契約の際ピアグレースが支払った手付金21億円はプレサンスコーポレーションが用意したものであり、事実上ピアグレースを介してプレサンスコーポレーションに土地を売却するものであった[4]。プレサンスコーポレーションからピアグレースを経由して学校法人明浄学院に21億円が振り込まれると、大橋は学校法人明浄学院から21億円を株式会社サン企画に預託、同社を経由して分散送金し[12]、プレサンスコーポレーション社長に対する18億円の返済や、協力者への報酬として分配した[4]。これが大橋らによる着服事件の概略である[4][11]。
2018年4月に大橋と男性理事は上場直前の仮想通貨の購入を計画する。大橋は大阪観光大学の運営資金1億円を理事会に諮らずに、関連会社へ送金し現金で引き出して仮想通貨の購入に充てられたが[13]、仮想通貨はほぼ無価値となった[14][15]。2019年7月の学校法人の会見では9000万円は回収済みと発表されている[13]が、関連会社の元職員によれば、帳簿上の付け替えや学校への請求を相殺して返済したことにしたとのことである[15]。
2019年6月に大橋は仮想通貨への不正流用の責任を問われて理事長を辞任したものの、まだ大半の理事に影響力があり[16][8]、隠蔽をしたい理事会の方針で[17]法人顧問に就任した[18][19][12]。後任の理事長には西和彦が就任した[19][12]。この際に、辞任した仮想通貨を購入した理事を再任、内部告発した理事を解任した[7] 。しかも数日後に(西が21億円の横領を刑事告発する姿勢に転じたため)今度は西を理事長職から解任するよう他の理事に働きかけ、それを知った西は顧問契約を解除した[要出典]。2019年8月には、西は大橋を背任の疑いで刑事告訴しようとしたが、逆に理事会にて理事長及び理事を解任された[20][8][19][9]。
2019年12月、大阪地検特捜部は、学院の土地売却代金21億円を着服し私的に流用したとして、業務上横領の疑いで学校法人明浄学院元理事長・大橋美枝子、株式会社プレサンスコーポレーション社長・山岸忍、同社子会社元社長・小林佳樹、不動産業者ピアグレース社長・山下隆志、仲介業者サン企画社長・池上邦夫、同社顧問・小谷隆を業務上横領容疑で逮捕した[11][21][22]。
西は「大橋容疑者が選んだ理事がまだ法人に残っている現状はいかがなものか[16]」「金策に悩んだ学院が資金を出す部外者にすがり、経営権を譲渡したことが土地の切り売りを招いた」と取材に答えた[9]。学生数の減少から、以前から法人は資金繰りが悪化していた[10]。西は、事件が報道され、さらに金策が苦しくなった学院がまた「同じ轍(てつ)を踏む危険性は十分にある」と警鐘を鳴らしていた[9]。その後、裁判所の決定で学校法人明浄学院の理事の職務は停止され、その間に民事再生法の適用を申請するなどして体制を一新した。明浄学院高等学校は2022年4月に学校法人藍野大学に継承され、大阪観光大学は引き続き学校法人大阪観光大学が経営する。
2021年10月までに、大橋美枝子(元理事長)に懲役5年6カ月の有罪判決が確定した[23]。プレサンス社子会社元社長についても有罪判決が出ている[23]。一方、2021年10月28日には、大阪地裁は「着服計画を認識していたとするには合理的な疑いが残る」として山岸に無罪(求刑・懲役3年)を言い渡し、後に無罪が確定している[23][24]。
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