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『日米開戦』(にちべいかいせん、原題:Debt of Honor)は、1994年[1]に刊行されたアメリカ合衆国の小説家トム・クランシーによる小説。原題Debt of Honorは「名誉の負債」を意味する。ニューヨーク・タイムズでベストセラー1位に選ばれた[4]
ジャック・ライアンシリーズの一作で、作中の時系列では『恐怖の総和』→本作→『合衆国崩壊』の順。
日本の財界の支配者(財閥)が日本政府を動かしてアメリカ合衆国に対し軍事的挑戦をする内容である。この小説が出版された1994年(平成6年)には、バブル景気で経済大国のイメージが根付いた日本に対するアメリカの不信感(日米貿易摩擦)が強く存在していた時期である。このことが、現実とは異なる核武装国家として描かれ、アメリカに対する「敵国」として日本が名指しされたといえ、当時の世相を反映して[要出典]ニューヨーク・タイムズでベストセラー1位に選ばれた[4]。
日本経済の中心を担う自動車産業の攻勢によりアメリカ国内を走る日本車は人気を博し、日本の財閥はアメリカと対等な力を持つようになった。しかしそんな中で、日本車の自動車事故により幼い子供が亡くなってしまう。事故により日本車の燃料タンクに不具合が見つかったが、事前にアメリカのベンチャー企業が改良型の燃料タンクを日本に売り込んでいたのに、日本の自動車メーカーが採用を拒否したことが明らかになった。これらの事実がアメリカ議会で暴露され報道されるとアメリカ世論は反日感情に湧きかえり、低く抑えられていた日本の関税をアメリカの関税と同率に定める貿易改革法がアメリカ議会で成立する。これにより輸出が滞った日本経済は打撃を受けた。
そのため、日本政府を操る矢俣は日本経済を守るために武力行使を行うことを決めた。日本は中華人民共和国とインドと共に、「新大東亜共栄圏」を復活させ、その資源確保のためにシベリアへ進出する。これはアジア太平洋地域におけるアメリカの影響力を縮小させるものであった。また、旧ソビエト連邦のICBMであるR-36Mを入手し、極秘に核兵器を開発配備し、軍事的・経済的攻撃をアメリカにしかけた。
日米海軍合同演習の際にアメリカ海軍に対して海上自衛隊のこんごう型護衛艦及びくろしおが攻撃し、航空母艦及び潜水艦を戦闘不能にするとともに、アメリカの株式市場を崩壊させる画策を図った。また自衛隊の第一師団及び第一空挺団はマリアナ諸島を占領した。一連の戦いは日米間で宣戦布告がなされない奇妙なものであり、大多数の国民も知らないものであった。また現場で闘っている自衛隊もアメリカ軍も、初めは合同訓練の仮想敵国として訓練をしている間に、本物の戦争に発展していたものであった。
国家安全保障問題担当大統領補佐官となっていたライアンは、株取引を正常化させることに成功し、日本に対する軍事作戦を指揮することになった。アメリカはロシアの空軍基地を前線基地とし、ステルス・ヘリコプター「コマンチ」を日本に潜入させ、航空自衛隊のAWACS (E-767) を銚子市上空で撃墜し日本の防空網を破綻させたのを受け、日本の戦争指導者たちを暗殺する。 そして日本の核ミサイル基地を破壊するため、ステルス爆撃機B2を日本に向けて発進させ、核ミサイルの無力化に成功し、日本から奪われた領土を取り戻す。日本国内においては政変を誘導する事で親米政権を樹立させた。
日本との戦争状態を終結させたライアンの手腕は大統領に高く評価され副大統領に就任するが、その就任式の最中に航空機テロ(後述)によって大統領以下政府の要人が死亡する。危機を脱したライアンは憲法に則って大統領に昇格する場面で終わる。
一連の戦闘で護衛艦隊司令だった兄と航空自衛隊のパイロットだった息子を失った旅客機の機長が、復讐のために副操縦士を殺害して機体をハイジャックし、バンクーバーから大西洋に出た上でワシントンD.C.にある議会議事堂に突入した。その結果、ジャンボ機の搭乗員をはじめアメリカ大統領、最高裁判事、閣僚、上・下両院議員など多数の政府要人を死亡させた。
この小説の結末は、ジャンボジェット機を議会議事堂に突入させる描写であったが、後に発生したアメリカ同時多発テロ事件(2001年9月11日)における旅客機による自爆テロ攻撃に類似していた。
原書にある日本人の名前が実際には存在しない綴りであったり、空中警戒機の愛称が「神」となっているなど、日本人の描写も日本人から見ると珍妙な部分もある。
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