日本のアマチュア野球(にほんのアマチュアやきゅう)は、日本において、競技または余暇スポーツとしての野球を行う文化的土壌と、それを基盤とする人間や団体の具体的活動や、その動機付けとなる基本精神を指す。
一般的には、選手を評価し技術や成果に対して報酬を与えるプロフェッショナルスポーツのプロ野球の対義語として使われる場合が多い。(プロに対して「アマ野球」と略される場合もある。)「アマチュア野球」という名称は厳密な意味では反動的で限定的な定義であるが、現実的には識者により「プロアマ問題」と題する所見が示される場合が少なくなく、その場合に利便的に用いられる。この場合に対象となるアマチュア団体としての代表的な組織としては、全日本野球協会(BFJ)、日本野球連盟(JABA)、全日本大学野球連盟、日本高等学校野球連盟、全日本軟式野球連盟などがある。
ここでは野球の発展と振興を理念とする志向性を最大公約数として自律的にアマ団体と認識する具体的諸団体を例として(プロ野球の反語も利用しながら)記述する。
広義の意味ではプロ野球以外の全てが対象となるが、狭義のアマチュア野球としては、学童野球・中学野球・中学の野球部(中体連)・一般カテゴリなどを除いた「社会人野球並びに学生野球(高校野球・大学野球)」に限定した範囲のいわゆる「アマチュア」に分類されている組織が掌握するものをアマチュア野球と呼んでいる。
用語の直接的な解釈上は、プロ野球以外の社会人野球・学生野球(大学・高校・専門学校)・学童野球・中学校・少年野球などの総称であるが、日本国内における野球界・関連マスコミにおける一般的な用法では、中学卒業以下が最終学歴となるプロ選手の存在は皆無である事から、特別に断らない限り、硬式の社会人野球・学生野球に留めた狭義の意味として用いられる場合が多い。
日本国内における組織形態の上では、全日本野球協会が存在するが、決して日本国内の全アマチュア野球関連団体のトップにある組織というわけではなく、硬式の社会人野球(日本野球連盟)と学生野球(日本学生野球協会)が対象になっているのみの組織であり、硬式野球としてのアマチュア全日本チームを編成して、オリンピックや国際大会に出場させるためにだけ組織された団体である。(後に一部の学童・少年野球団体を除くアマチュア野球の統括団体となった。)
元々日本では各カテゴリーの野球は独自に発展した歴史があり、野球界全体で縦割り文化が根強いことなどから長年別々に運営されてきた経緯がある[1]。このような事情から、同じ高校生対象でも、男子と女子・硬式と軟式の組織が分かれたり、同じ硬式野球でも、大学と専門学校も上部組織が全く無関係であったり、アマチュア野球と一言に言っても、実際には様々な団体が存在する。
国際大会出場に関する日本オリンピック委員会(以下JOC)や日本スポーツ協会(以下、JSPO)との関係も様々で、国体やアジア競技大会への参加にはJSPOへの加盟が必要だが、オリンピック出場にはJOCに加盟していれば可能となるため、その加盟情況も複雑になっている。先の全日本野球協会もJOCや世界野球・ソフトボール連盟には加盟はしているがJSPOには加盟していない。
また、学校における同好会・サークルや、いわゆる草野球チームなどもアマチュア野球の範疇に入るが、前述したものに比べて連盟などの組織力・運営力は比べるまでも無く、連盟等は基本的に無いに等しい。スポーツ用品メーカーやメディアなどが主催する全国大会や地区大会などが開催されている(注釈参照)。
2024年現在[2](※*印のあるものは、全日本野球会議への参加対象外の団体であることを示す。)
日本野球協議会 普及・振興委員会による、各カテゴリーの2010年(上)から2022年(下)の推移
(対象組織に加盟していない団体および選手や、趣味などで野球をしている者を含まない推移表である。(対象外組織の例:全国高等学校定時制通信制軟式野球連盟、東京六大学理工系硬式野球連盟、日本学生野球協会非所属の組織・チームなど。))[4]
男子
男子硬式【社会人/大学】(′22年:40,878名) |
- JABA・全日本大学野球連盟の記録。
- 社会人の最低人数は2011年の11,270名、最高人数は2017年の12,768名。
- 大学の最低人数は2010年の23,173名、最高人数は2018年の29,207名。
- 高野連の記録(高野連では部員数に女子マネージャーなど実際には試合出場できない生徒を含んでいる。)
- 高校男子硬式の最低人数は2022年の131,259名、最高人数は2014年の170,312名。
- リトルシニア、ボーイズ、ヤング、ポニー、フレッシュ、中学・その他(2013年まで)
- JABAの記録で、ポニーとその他の2010年のみ選手登録者数推定数として計算されている。
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<全体>4万人台は2016年から2018年で、表内の最低人数は2018年の48,682名、表内の最高人数は2021年の53,825名。 |
<リトルシニア> | 最高:22,341名(2012年) | 最低:20,072名(2017年) |
<ボーイズ> | 最高:22,967名(2021年) | 最低:20,304名(2010年) |
<ヤング> | 最高:5,834名(2022年) | 最低:4,809名(2010年) |
<ポニー> | 最高:3,025名(2022年) | 最低:1,395名(2012年) |
<フレッシュ> | 最高:1,960名(2010年) | 最低:830名(2022年) |
- 小学リトル、小学ボーイズ、小学ヤング、小学ブロンコ、小学フレッシュ(小学ブロンコは100名以上になった2020年からの表示。)
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- JABAの記録で、リトルのみ選手登録者数推定数として計算されている。
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<全体>合計最高:18,173名(2013年)、合計最低:8,581名(2022年)。 |
2019年から1万人を割っており、13年間で52%以上の減少となっている。 |
軟式【一般/高校/中体連男子/小学学童】(′22年:755,142名) |
- 一般、高野連軟式、中体連男子、小学学童
- JABAの記録で、ポニーとその他の2010年のみ選手登録者数推定数として計算されている。
- 一般/小学学童は全軟連・中体連男子は中体連・高校は高野連の記録で、
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一般/学童の2018年までは選手登録者数推定数として計算されている。 |
<全体>合計最高:1,322,489名(2010年)、合計最低:755,142名(2022年)。 |
2018年から100万人を割り、13年間で42%以上の減少となっている。 |
<一般> | 最高:723,980名(2010年) | 最低:439,629名(2022年) | → 約39%減 |
<高野連軟式> | 最高:11,014名(2010年) | 最低:7,787名(2020年) | → 約29%減 |
<中体連男子> | 最高:291,015名(2010年) | 最低:137,384名(2022年) | → 約53%減 |
<小学学童> | 最高:296,480名(2010年) | 最低:170,309名(2022年) | → 約43%減 |
大学/専門学校は全軟連の記録(選手登録者数推定数の計算)で、2010年からの13年間で |
大学が9,940名から8,800名、専門学校が4,020名から800名へ減少している。 |
また、還暦軟式の登録選手数は2016年以降で18,790名から2022年の21,037名と増加している。 |
女子
女子硬式【社会人/クラブ/大学/高校/中学】(′22年:2,701名) |
- WBFJ 硬式(2015年以降)の記録。全日本女子野球連盟の2015年から2018年の記録は、選手登録者数推定数として計算されている。
- WBFJでは2015年の1,519名から2,701名に増加している。(上記の連盟に属していない女子選手は含まない。)
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女子軟式【全軟連/中体連女子】(′22年:6,416名) |
- 全軟連(2014年以降)、中体連女子の記録。全軟連の2014年以降の記録は、選手登録者数推定数として計算されている。
- 全軟連では2014年の1,820名から2,480名に増加、中体連では2010年の1,505名から3,936名に増加している。(上記の連盟に属していない女子選手は含まない。)
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注釈
女子部員、大学生や大学チーム(全日本大学野球連盟への所属は除く)、専門学校のチームの登録・加盟も可能。また18歳以上の定時制通信制高校の生徒やチームの登録・加盟も可能。
女子は部員として所属・登録はできるが、選手として出場不可。
(現在の全日本大学軟式野球連盟を称する団体から分離独立)
5年制の為、3年次までを高野連所属チーム、4,5年を大学連盟所属チームとして登録する学校もある。(高専大会との重複は支障なし)
全国官公庁野球連盟は各官庁や他の行政機関や色んな団体による野球連盟で官庁・他の行政機関の公務員や役人(もしくは官僚も含む)やその団体職員のチームによる野球大会が行われている。ボールは軟式。大会場所・大田スタジアム。後援・報知新聞社。詳細全国官公庁野球連盟中央大会参照
不動産会社の野球団体で毎年行われている不動産会社よる野球大会RBA野球大会が開催されている。野球ボールは軟式。他にRBAインターナショナルというNPOが成立されている。これは1989年に成立し、青少年の健全な育成と国際人輩出のための国際交流を行っていくことを目的とするNGOとして活動をはじめた。
出典
“野球団体関係図”. 全日本野球協会 (2023年3月15日). 2024年5月6日閲覧。