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日向 冬樹(ひなた ふゆき)は、吉崎観音作の漫画『ケロロ軍曹』およびその関連作品に登場する架空の人物。アニメ版の声優は川上とも子(初代)→桑島法子(2代目)。声優の交代に関しては後述する。
ケロロの居候している日向家の長男で、彼のパートナー。夏美という姉がいる。この作品における準主人公的な存在。ケロロから没収したケロボールの管理をしている。
小学4年生のときに四鷹小学校[1]へ転校という形で入り(原作第146話より)、その後吉祥学園中等部へ入学し、現在は同校の1年B組である。部活動はオカルトクラブに所属している[2]。なお、原作では当初小学6年生だったが、アニメでは初めから中学1年生である。一人称は「僕」(ボク)。
上記のように、冬樹には夏美という姉が一人いる(詳細は日向夏美を参照)。この姉弟には対照的な面(具体例は下記に記述)がいくつかあり、たまに喧嘩もするが総じて姉弟の仲は良好である。
原作単行本の人物相関図において、12巻までは夏美に対して冬樹は「絶対服従」とされているが、本編を見る限り適切ではない。13巻からは夏美との関係が「ケンカしたり、ささえあったり」という言葉に変わった。夏美のことは「姉ちゃん」と呼んでいる。
髪と瞳の色は青みがかった黒(または紺色)で髪にはアホ毛がかかっており、後頭部の髪の先端が尖っている。原作第三話まではアホ毛が太いものと細いものの2本があったが、第四話以降では1本になっている。外見も初期の物と現在の物とではかなり作風が変わっている。また、このアホ毛と紺色の髪は母親・秋譲りである。
勉強の成績は平均レベルで、運動は苦手か平均前後と、一見すると取り立てて優れた点はない。だが、後述のように非常に博識で、また優れた観察力・洞察力を持つ頭脳派である。『ケロロ軍曹 ひみつ超ひゃっか』によると、「戦闘力」は最低レベルだが、「賢さ」は最高レベルとされている。
身体は丈夫だが、姉の夏美とは反対に運動が苦手[4]で、中でも跳び箱が特に苦手な様子(アニメ第123話Aパートより)。また「水泳は人類の進化を逆行する行為」「スキーは不毛な上下運動」というように、スポーツに関して難癖をつけて批判することがあり、運動会の時期になると非常に憂鬱そうな顔をして落ち込む様子が描かれる。ただしボウリングは得意で、夏美曰く「冬樹に一度も勝ったことはない」らしい[5]。また水泳に関しても、「泳げない」というより「息継ぎができない」というのが、より正確である様子。
ごく稀に、身の危険が迫った場合などには驚異的な身体能力を発揮することがあり[6]、周囲はこれを「日向の血の覚醒」と呼んでいる。
勉強は人並み[7]だが非常に博識で、作中においても様々な事柄(四字熟語、昆虫、ソメイヨシノ、相対性理論など)について調査・解説している。四字熟語に関してはこれを口癖とするモア以上に使い方がわかっており、間違えて使用している彼女に正しい使い方を指導したこともある(アニメ第74話)。
また母親譲りの旺盛な好奇心を持ち、興味の対象に対しては優れた洞察力・鋭い観察力を発揮する[8]。その反面、学校の勉強には興味が薄いため(むしろ嫌がっているらしい発言もある)夏休みの宿題をギリギリまでため込んで、新学期直前に焦りだすことも多いらしい。
アニメでは、上記の優れた洞察力・鋭い観察力を生かして友人の探し物を見つけるのが上手な「名探偵」としての設定が追加されている。その点を見込まれて、探し物以外でも事件の調査を依頼されることがある。ただし、依頼される事件には冬樹自身も「どうってことない」と評する程度のものが多かったりする。
非常に穏和な平和主義者で、友情を大切にする性格。ケロロがこの世から消滅してしまいそうになった際本気で泣いたり(アニメ第23話)、ガルル小隊によってクローンと入れ替えられ記憶を抹消されそうになった時には、友達にして家族のような存在のケロロを最後まで守り抜くために敵わないことを承知でガルルたちの前に現れたり(原作第83話)、ガルルによって記憶と思い出を消去され本来の冷酷残忍な性格になってしまった時も泣きながらケロロのことを信じていると訴え続けた(アニメ第103話)など、そのことが窺えるエピソードは多い。
また周囲が大騒ぎしているなかで悠然と(のほほんと)しているなど、冷静(あるいはマイペース)な人物でもある。ただしオカルトが関係すると目の色が変わり、新しい宇宙人(特にケロロの仲間)の来訪を聞くと興味を示す[9]。オカルトの他に天体観測も趣味としている。
幼少の頃は現在と違い、やんちゃな性格だった。体が子供に戻ってしまう話では、わがままで暴力的な性格も描かれ、ケロロたちを翻弄してしまう。また、「(国会を征服して)日向冬樹帝国を作る」とか「世界征服する」というのが、将来の夢だったらしい。とはいえ、世界征服したら「おもちゃ屋のおもちゃを無料にする[10]」あるいは「良いおもちゃのみ売る」ことによって、「みんなが楽しく暮らせるようにする」とされていることなどを見ると、幼少の頃から根は優しい性格だった様子である。
幼少時からオカルト、超古代文明、未確認動物や宇宙人といった話題に並々ならぬ関心を示し、「学校の宿題より大事」とか「運動会をやるならオカルト大会も開くべき」「オカルトは自分のすべて」と発言するほどのオカルト好きで、原作・アニメ共にオカルトクラブを作るほどである。アニメでは『モンスター大百科』という本がきっかけでオカルト好きになった。オカルト界では小学生の頃からちょっとした有名人で、どこか学者のような言動を見せる。
オカルトに対する好奇心の強さはアンチバリアの効力をなくし、日向家に侵入したケロロを見抜けるほどである[11]。
自他共に認めるオカルトマニアだが、オカルトなら何でも妄信しているというわけではない。星座占いを「大雑把すぎる」と評したり、心霊写真を「ごっこ」と言い切りほとんど信用していないなど、論理的・科学的な考察に基づく理論・実証を優先するタイプであり、非理論的な説を騒ぎ立てるのは嫌っている。このため、捏造写真を多用する吉祥学園新聞部とは対立が絶えない。
数多くのオカルト知識を活かして怪談話をするのが非常に上手く、クルル作成の「恐怖BOX」よりも怖かった(恐怖カウンターの反応より)ため、かつて夏美が恐さの余りに気絶してしまい「二度とやるな」と言ったほどである。ただし霊感は全くなく[12]、自身は霊的な体験をしたことがない。この点でもオカルト否定派でかなりの霊感体質の夏美と対照的であり、冬樹は夏美が霊感を持っていることをうらやましく思っている。
宇宙法などで明確に規定されたわけではないが、事実上、地球唯一の「宇宙外交官」という立場にあり、外交面で地球の平和を担っている[13]。
温和な冬樹は宇宙人に対して、まずは「対決」でなく「友好」で臨む場合がほとんどで、結果的にケロロ小隊をはじめとする多くの宇宙人たちと親しくなることに成功している。特にケロロは、冬樹との間で強い絆と友情を誓い合っており、彼の「友達じゃないか」という台詞に異常なほど弱い。原作10巻でガルル小隊が地球侵略の任務交代に来た際に、ケロロは完全に地球人と過ごした記憶や思い出を全て洗い流されたが、肉体の浄化までは完全にできず冬樹の涙ながらの必死の言葉によって元に戻った、ということがあり、これがケロロと冬樹の強い絆を裏付けているといえる[14]。またガルルに対しても、一度は対決した相手でありながら、彼が休暇を利用して、ある意味の観光とてやって来た際には歓迎しており、自宅へあがるように勧めていた。
その一方で、したたかな策略家としての顔も持っており、時々その手腕を発揮する。普段は興味があるから見逃している宇宙人の活動に対しても、本当に危険と判断した場合は交渉・駆け引き・策略を通じて、それなりの対応をとっている。相手の性格・性質に合わせた策をとるのが冬樹のやり方で、例としては以下のものがある。
また冬樹と対立する吉祥学園新聞部も、彼の策略の結果「大衆をなめるな」と読者に言われるほど信用を損なって売り上げを大幅に下げてしまった[17]。さらにウェットルマン戦における解説(?)では「友好的と見せかけて何をしてくるかわからない狡猾な人物」といった、冬樹本人には少し不服そうな紹介がなされた。
このように、冬樹は多くの宇宙人との友好・信頼関係を築き、また外交官らしく(?)策略の手腕もあるが、彼自身の戦闘能力は非常に低いため、問答無用で来られると簡単に拘束されてしまう場合も多く、猛獣のような、交渉が通用しない相手だと非常に弱い。
冬樹の弱さを補っているのが、姉の夏美である。戦いが苦手な冬樹が、夏美の活躍で助けられた例は多い。
対ガルル小隊戦・対ウェットルマン(アニメではウェットルキング)戦・対ゼゼゼットトトソ戦などの例外を除けば滅多に戦うことのない冬樹だが、行いが度を過ぎたとき[18]には非常に凶悪な表情を露にし、激しく怒る。
激怒した時の表情の詳細は全く不明[19]だが、この表情は「伝説の顔」とも「衝撃映像」とも言われ、これを見て恐怖を抱かない人物は存在しないほどである。たとえ怒りの矛先がケロロであったとしても、タママは泣き出してしまったり、ギロロはおろか、常に飄々としているクルルでさえも冷汗を掻くほどである。原作第7話では「あの頃ケロロ」の状態になり夏美を凌ぐほどの好戦的になったケロロですら、その顔を見ただけで完全に戦意喪失してしまい、さらには数日間も身体の震えが止まらないほどにまで恐怖していた。なお、少し怒っている程度なら顔は後ろ向きではない。
普段は大人しくて優しい上、滅多に怒ることがないだけに、怒らせてしまうと日向家の中では一番怖く、その恐ろしさは夏美を軽く上回るため、一度怒らせると短気で好戦的な夏美ですら全くなだめられず、むしろ恐怖で青褪めて慌てふためいているほど。原作第71話では「冬樹が怒ったら私でも止められない」と言っている。その夏美は原作11巻でガルル小隊たちに「冬樹がキレたらシャレにならないわよ」と脅しに利用したこともある[20]。
原作第71話ではその様子に気づいた夏美がクルルに頼み、怒った冬樹をジンセイガニドアレバ銃で5-7歳の幼児にまで逆成長させて強制的に止めたことがある。だがこれは「例外」と考えたほうが良さそうであり、基本的には如何なる方法を駆使しても、彼を止められないようである[21]。
ケロロが一番恐れているのは、ニョロロに水分を吸われてしまうことでも夏美からボコボコにされることでもなく、冬樹が本気でキレることなのである。それ故、ケロロは冬樹を怒らせてしまったと思うと恐怖心から大量の冷や汗を掻き、命乞いをするかのようにひたすら謝り倒す[22]。
この「冬樹の激怒」は『ケロロ軍曹 メロメロバトルロイヤル』・続編の『ケロロ軍曹 メロメロバトルロイヤルZ』では超必殺技となっており(技名「衝撃映像!」)、リーチは短いものの捕まったら最後防御不可能なゲーム中最高の攻撃技とされ、基本能力が低めに設定されている冬樹にとってのまさに最後の切り札である[23]。
冬樹は現在多くの女性に好かれている。特にクラスメートの西澤桃華が彼に恋愛感情を抱いているというのはよく触れられ、彼女はなんとか告白しようとするができずにいる。冬樹本人が恋愛感情に鈍感ということもあり、好意を寄せられていることに気づいていない様子。普段は桃華のことを「西澤さん」と呼んでいる[24]。基本的に冬樹の桃華に対する認識は「友達」[25]である。なお、桃華の母・桜華に対しても「西澤さんの友達」と自己紹介している。
また、月神散世とアリサ=サザンクロスも彼に好意を抱いている。さらに原作当初では冬樹が時々影を帯びる描写があり、そこが可愛いと言われていた。これで春世が恋を感じたこともある。アホトロン星人であるすももは彼の影を帯びる時の様子を「どちらかと言えば、カワイイタイプ」と評していた。
その一方、冬樹が海でノントルマの少女と出会った時には彼女に惚れていたようである[26]。また、アニメ第34話Bパートでは冬樹が幼い頃通っていた床屋の娘と遭遇した際に顔を赤らめていた描写がある。
アニメ269話Aパートでは、クルルの発明した惚れ薬を吸い込んで、目が覚めた際に桃華を見たが効果がなかった。この薬は、薬を吸い込んでから初めて目にしたものに惚れてしまうが、それを最初から好きであった場合または薬を吸い込んだ者が恋愛に興味がない場合には、薬の効果がない。つまり冬樹は、桃華を最初から好きなのか、または恋愛に興味がないか、両方の可能性が示唆されている。
なお、アニメ49話Bパートでは、西澤家のシミュレーション通り、桃華に下水道で告白するような描写があったが、556が通って中断される。これが本当に桃華への告白だったのかは不明だが、61話のように額にキスしてしまったのに慌てたりキスされそうになるのに緊張したり、98話で吉岡平と桃華の駆け落ちを仕方のないことだと言って少し寂しげな顔をしたりしたこともある。原作単行本20巻の劇場版2では桃華を意識しているような描写もみられるので、2人の距離は少しながら縮まっている模様。また小説版第3巻では、桃華を王妃にしている(ギロロに聞かれた時、顔を赤くしていた)。
決して無口でも内気でもない冬樹だが、彼は一人で読書などをしているのが好きなようで、桃華やクラブ活動の友人を除けば彼の友人はほとんど本編中に登場しない。しかし原作1巻の発言によると、全くいない訳ではないようである。しかし第131話で夏美に「絶対友達少ないでしょ」と言われたことも。また上記のように、吉祥学園新聞部とはオカルトに関して対立している。
ケロロのことは「軍曹」と階級で呼ぶが、他のケロロ小隊隊員は名前で呼ぶ。ただし、ギロロのことは「伍長」と階級で呼ぶことも多く、またクルルも階級で呼んだことがある。ケロロのことは小説版で「ケロロ」と名前で呼んだことがある。
アニメではクルルとの会話や共に行動する場合(第60話・第134話など)も多く、またソウルダイバーの修理に協力するなど仲が良いようである。
この節に雑多な内容が羅列されています。 |
テレビアニメ版では230話(2008年9月20日放送[27])まで川上とも子が冬樹役を担当していたが、長期の病気療養に入ったため、代役として桑島法子に交代することになり、232話[28]Aパートの初めに「川上とも子さんが病気療養中のため、冬樹役の声が変わります」と注釈された[29]。ただし劇場版第4作(2009年3月7日公開)では川上が闘病中に冬樹の声を担当している。
テレビアニメ版終了後の2011年6月9日に川上は卵巣がんのため死去、テレビアニメ版第230話と劇場版第4作が最後の出演となった。現在はそのまま桑島が冬樹役を引き継いでおり、2014年のフラッシュアニメ版でも桑島が冬樹役を担当した。
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