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教育ソフトウェア(きょういくソフトウェア、英: educational software)は、教育と学習に関するソフトウェアである。
教育や訓練用途にコンピュータを利用することは1940年代初め、アメリカ合衆国でアナログコンピュータを使ったフライトシミュレータの研究が行われたのが最初である。その種のシステムの1つとして、1943年に制作された type19 synthetic radar trainer がある。以来1970年代中ごろまで、教育ソフトウェアはそれが動作するハードウェア(通常メインフレーム)と密接に関連していた。このころの先駆的事例として、イリノイ大学の開発したPLATO(1960年)やTICCIT(1969年)がある。1963年、IBMはスタンフォード大学の Institute for Mathematical Studies in the Social Sciences (IMSSS) と共同プロジェクトを開始した。哲学者 Partick Suppes の指揮の下、カリフォルニア州とミシシッピ州の多数の小学校向けにCAIの総合カリキュラムを開発するというプロジェクトである[1]。1967年、IBMと共同開発した教材や機器を学校に販売するために Computer Curriculum Corporation(CCC、現在のピアソンの一部[2])が創設された。初期の教育システム用端末は1万ドル以上の価格であり、ほとんど売れなかった。このころ登場した一部の言語、特にBASIC(1963年)やLOGO(1967年)は教育向けとされ、コンピュータやプログラミングそのもの教育に使われた。1972年にリリースされた PLATO IV システムには、後にホビーパソコン向けに制作された教育ソフトウェアの標準となった機能を多数備えていた。ビットマップ・グラフィックスを備え、簡単な音声を発生でき、タッチパネルなどのキーボード以外の入力機器をサポートしていた。
1975年、Altair 8800 の登場と共にパーソナルコンピュータの時代となり、教育ソフトウェアのあり方も大きく変化していった。それ以前はメインフレームをタイムシェアリングで使用することから、メインフレームを所有する機関に依存していたのに対して、パーソナルコンピュータ登場以後は2000ドル以下でコンピュータが購入できるようになり、家庭や学校でソフトウェアを作成/利用できるようになった。1980年代初めになると、Commodore PET や Apple II といったパーソナルコンピュータが利用できるようになり、教育ソフトウェアを専門とする企業や非営利組織が出てきた。このころの主な企業としてはブローダーバンドと Learning Company があり、非営利の教育ソフトウェア開発団体として MECC (Minnesota Educational Computing Consortium) がある。このような企業や団体がパーソナルコンピュータ向けに多数のソフトウェアを開発した。なお、その多くは Apple II 用であった。
ハードウェアの進化により、1990年代になると教育ソフトウェアも進化していった。グラフィックスとサウンドを多用したマルチメディア型の教育ソフトウェアが増えていった。また、CD-ROMが配布媒体としてよく使われるようになっていった。1990年代後半にはインターネットの発展と共に教育ソフトウェアの新たな配布方式が登場した。パーソナルコンピュータとインターネットの普及と共に、教育ソフトウェア市場も発展していった。最近ではブラックボード社などの仮想学習環境が大学を中心に利用されている。
1980年代中ごろ以降、家庭での幼児や児童の教育用のソフトウェアが多数リリースされてきた。学校のカリキュラムとリンクしたものも出始めている。家庭用教育ソフトウェアの設計は、コンピュータゲームの概念に強く影響されてきた。つまり、それらは教育的であると同時に楽しめるよう設計されている。教育を目的としたソフトウェアとゲームに比重を置いたソフトウェア(後述)は似ているが異なる。
以下に主な製品やベンダーを挙げる。
コースウェア (courseware) とは、元々は教師のための追加教材、あるいは学生向けチュートリアルであり、コンピュータ上で使うようパッケージ化されている。用語の意味は拡大され、科目(課程)全体を指すこともあるし、オンラインで参照する追加教材全般を指すこともある。企業は、ある科目(課程)向けの学習教材、テスト、その他をパッケージ化したものをコースウェアとして販売している。その実際の形態は様々で、Web形式でオンラインでしかアクセスできないものもあれば、PDFその他の文書ファイルとしてダウンロードできるものもある。eラーニングの多くの形式は現在、コースウェアと混合している。アメリカ合衆国では、従来特別な学校でのみ使われていたパーソナライゼーション技術に基づくコースウェアを一般向けに販売する SCORE! Educational Centers が1992年に設立されている[3]。
他に、大学などの高等教育機関の講義内容や関連情報を公開するオープンコースウェアもある。
教育ソフトウェアには、学校での授業で使うよう設計されたものもある。通常、教室の前に置いた大きめのホワイトボードに投影し、場合によっては教室内のネットワークで各デスクトップコンピュータ上で同時に表示する。このようなソフトウェアを classroom management software などと呼ぶ。家庭用ソフトウェアほどブランドが強くないカテゴリである。様々なベンダーが専門化した様々な製品を開発している。教育方面の出版社による開発も多い。
エデュテイメントとは、大まかに言えばコンピュータゲームと教育ソフトウェアを1つの製品にまとめたものである。より厳密に言えば、娯楽としての側面が第一で、教育的面も併せ持っているといった方がよく、教育的側面を売りにしていると言える。そのため、学校の教科とはリンクしておらず、リテラシーや計算能力などのコアスキルにも集中しない。
1990年代中ごろから、辞典や百科事典を出版している出版社が、それをコンピュータ上で使える教育ソフトウェアとしてリリースし始めた。これをリファレンスソフトと呼び、ソフトウェア化する作業はマイクロソフトなどの専門企業が行っていることが多い。
初期のリファレンスソフトは既存のコンテンツをCD-ROMに収め、マルチメディアコンテンツ(ビデオや音声)で補うことが多かった。その後、インターネット技術でCD-ROMコンテンツを補うようになり、最近では完全にインターネットに移行しているものが多い。
ベンダーによっては、デスクトップコンピュータは幼児や児童向けの学習ソフトのプラットフォームとしては不適当と考え、より子供向きの専用ハードウェアを開発しているところもある。この場合、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて1つの製品として販売することが多く、子供サイズの小さめのノート型のような形のものが多い。欧米では Leapfrog が有名である。専用のソフトウェアカートリッジしか使えないため、汎用のパーソナルコンピュータやPDAのような汎用性はなく、リテラシーや計算などの教育専用である。
元々普通のゲームとして開発されたものでも、何らかの学習的側面を持つものがある。特に様々な社会活動に関するシミュレーションゲームにそのようなものが多い。
以下に例を挙げる。
この種のゲームをエデュテイメントと呼ぶかどうかは議論の分かれるところである。
大企業での初期の教育ソフトウェアは、パーソナルコンピュータ(あるいは類似のデバイス)でスタンドアロンで動作するものが最初であった。この種のソフトウェアの歴史は SCORM 2004 2nd edition Overview (section 1.3) にあるが、正確な日付がない。技術的には2000年ごろからサーバベースの方式(ダウンロードして実行するか、Webにアクセスして閲覧する)になっていった。経営方針やコンプライアンスなど、全従業員の意識合わせが必要なことを、そのような形式で教育することが多い。最後に確認テストが付いていると、各部門で何人がそのテストにパスしたかが判り、管理しやすいという面がある。
教育ソフトウェアには非常に専門化した分野も多い。
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