放生祭
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放生祭(ほうぜまつり)は、福井県小浜市にある八幡神社(はちまんじんじゃ)の例祭。名称は放生会に由来する。若狭地方最大の秋祭り[1]と言われるが、神事は行われず、神輿の巡行が隔年という特徴を持つ。2002年(平成14年)4月23日に福井県の無形民俗文化財に指定された[2]。日本遺産「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群」の構成文化財のひとつ[3]。
放生祭は、旧小浜町民の氏神である八幡神社の例祭で、21世紀現在は毎年9月の敬老の日前の土・日曜日の2日間で開催され、旧小浜町内24区を半分に分け、1年交代で出し物を披露し奉納する[4][5]。若狭で最もにぎやかな祭りといわれ、出し物は、大太鼓に棒振り、獅子舞、神輿、神楽、山車(やま)が披露される[6][7]。演技は大人から子どもへ代々伝えられ、練習は8月の旧盆から始める[4]。江戸時代から継続され、各地の八幡神社の祭礼である放生会が訛り、地元では「ほーぜ(放生)」と呼ばれるようになったといわれる[8]。
放生祭は囃子の曲が多く演奏の質も高いとされ、「見られる」祭礼から「楽しむ」祭礼に変化したとされる[9]。若狭地方各地の祭礼に大きな影響を与えているとされる[9]。20年に一度の頻度で式年大祭を行っており、式年大祭には全24区が参加する[10]。直近では2011年(平成23年)に式年大祭が行われた[10]。
祭礼の前週には、各区で行われる本稽古を巡るスタンプラリーが開催される[11]。
放生祭の起源は定かでなく、祭礼次第は時代により変容してきた[12]。中世には管弦を奏し、流鏑馬を奉納した[12]。近世には能がさかんに奉納され、八幡神社には21世紀現在も能舞台が残り、芸舞台として活用されている。歌舞伎や相撲の奉納も行われた[12]。
江戸時代の八幡神社は荒れ果てていたが、氏子たちが社殿を修復した1743年(寛保3年)以降、8月14・15日は仕事を休み、神燈をささげるようになった[8]。
一方、八幡神社が500年以上の歴史をもつとされる廣嶺神社[注 1] の祇園祭(6月14日)の神輿が巡行する御旅所のひとつであったことから、氏子の町人たちは、放生祭と並行して、祇園祭の神輿巡行の復路で出し物を出し、賑々しく供をする慣習があった[8][12][13]。これが21世紀現在の放生祭の原型とみられる[12]。この祇園祭は、竹原(武家町)、西津下竹原村(漁師町)、町人町の旧小浜町が参加する例祭だった[14]。
1871年6月(明治4年5月)、旧小浜町の52町(現在の24区の町)に通達が出され、これ以降、廣嶺神社の祇園祭に出していた出し物は、祇園祭を離れ、小浜町民ら自身の氏神である八幡神社の例祭・放生祭に出すことになる[8][12][14]。
1874年(明治7年)の区割改正によって、小浜の町52町は新しい町名の24町となる。新しい町名は全国の有名神社からつけた。この24町が21世紀現在の24区である[15]。
出し物は、当初毎年すべての町が出していたが氏子たちの負担が大きいこともあり、大正末期より協議の上隔年で半数ずつ出すようになった[15]。このため、香取区のみが担当する神輿は、2年に1度しか巡行しない。
また明治以降は、見物人を楽しませるというよりも、自分たち自身が楽しむものとして芸や囃子を披露するようになっていく[15]。
太平洋戦争の影響で1938年(昭和13年)以降一時断絶し、終戦後もしばらく行われていなかったが、1951年(昭和26年)5月に八幡神社上葺を祝う大祭において全区に動員がかかり、復興した[16]。戦後は、戦前まであった行列は行われなくなり、それぞれの区が独自で巡行し、芸や囃子を披露した[17]。 1987年(昭和62年)に、住吉・広峰・大宮の三区が大太鼓の共演を初めて行い、以降出し物の共演披露が恒例化し、放生祭の呼物となっていく[17]。
2002年(平成14年)4月23日に福井県の無形民俗文化財に指定された[2]。なお、若狭地方では放生祭と同時に高浜町の高浜七年祭も指定されている[9]。
21世紀現在、放生祭では神事は行われず、放生祭が開催される2日間で各区が決めた時間に出し物が披露される[18]。出し物として、神輿のほか、山車(囃子)、獅子(三匹獅子舞)、神楽(太鼓)、棒振り太鼓の4種類の芸能を奉納する[19]。
福井県小浜市にある福井県立若狭歴史博物館が2016年(平成28年)9月に日本遺産認定記念テーマ展「小浜祇園祭と放生祭」を開催した。この時、同博物館が作成・配布した「小浜放生祭カード」は、西暦偶数年出番12区と西暦奇数年出番12区からなっている。
旧小浜町外のため出し物を持たないが、後年八幡神社の氏子に加わった駅前区と青井区も祭壇を設け、巡行を迎える御旅所となっている。
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